第2話

 恵美と梨々は、テーブルに向かい合って座り紅茶を飲みながら、語り合っていた。


「さて、と、恵美」

「なに、お姉ちゃん?」

「今日は恵美の誕生日よね?」

「あ、うん。覚えててくれたんだ」

「当たり前でしょ、家族なんだから

はい、プレゼント」


 そういうと、梨々は、後ろに置いていた紙袋を恵美の前に差し出した。


「わぁ……ありがとう、お姉ちゃん!

開けていい?」

「もちろん!」


 紙袋から中に入っているものを取り出す。

 そこに入っていたものは、赤いリボンがついているクマのヌイグルミだった。


「さすがに、その年齢じゃ、つまらないものかもしれないけど……」

「ううん、そんなことないよ!ありがとう、お姉ちゃん!」


 恵美が笑顔でそう返すと、梨々は安心したというように、胸をなでおろす。


「そういえば恵美って今年で17よね?」

「うん!」

「儀式は、受けたの?」

「うん、受けたよ」

「じゃぁ、何か魔法を使えるようになったのよね?見せて見せて!」

「うんっ!」


 恵美は席を立つと、梨々の方へ手を向けた。


「ちょ、ちょっと、何してるのよ!」

「まぁまぁ、黙って見てて」

「?」


 その言葉に梨々は不思議そうな顔をした。

 次の瞬間には、恵美の手の平に小さな光の粒が集まり、その魔法を"宣言"する。


「ヒール!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る