8話 魔法少女とギルドマスター
私たちは冒険者ギルドに着いたので一旦別れることになる。
「じゃあ報告してくるから。」
ロアはいつも通り右の方の棟に行って薬草を売りに行く。
「うわ、朝の何倍も人いるじゃん。」
なんか嫌なのでフードを深く被る。
受付に着き、私はギルド嬢に話しかける。
「あの、依頼達成したのでこれお願いします。」
私はギルドカードを渡す。
思ったんだけどこのギルド嬢ずっと居るけど休憩とかちゃんとしてるよね?
「ソラさんですか、ゴブリンの核石を見せてください。」
解体してないんだけど。どうすればいいんだろう?
「解体していない場合はその魔物を見せてくれればいいですよ。」
ギルド嬢が教えてくれる。
私が戸惑ってるのを見て気持ちを汲み取って教えてくれるなんて、プロだね。
「分かりました。これなんですけど…」
私は19匹のゴブリンと1匹の赤ゴブリンを出す。
「えっ……」
ギルド嬢が口に手を置いて驚く。
…?どうしたの?なんか周りの冒険者もなんかこっち見てるし。
「これ、今日倒したんですか?」
そんなことを聞いてくる。
「今日以外いつがあるの?」
私は昨日この世界に来たんだから倒してる暇なんてないよ。
「これは群れだったんですか?」
「そうですけど。」
更に目を見開き振り返る冒険者も多くなる。
だからどういうこと!?
「あの、こちらのゴブリンはゴブリンのボスで、強さによりますがE~Dランク相当です。」
え?そんなに高いの。
「そして15匹以上の群れだとCにまで上がる可能性もあります。」
あれ、これ私やっちゃった系のやつ?
「あの、少し待っていてください。」
どうなっちゃうの私?
私は数分程度受付で待っていると。
「お待たせいたしました。」
そこにはギルド嬢とクールでな感じでおじさん手前の人がいた。
「その人は?」
「ギルドマスターです。」
え?ギルドマスター?ここのギルドの一番偉い人じゃん!
「ギルマス、ランク上げます?」
なんか二人で喋ってる。何喋ってるんだろう。
「ソラだったか?本当は一定量の数こなさなきゃランクは上がらないが実力に合わないランクだと不便だろう。ソラのランクを上げさせてもらう。」
やった…なのかな?
するとギルド嬢が画面を操作してランクを上げる。
「ジフェゴブリン合わせた20匹の討伐達成ということで、ランクを…Dに上げます。」
一気にそんな上げちゃっていいの?
「2個も上げていいの?」
ギルドマスターに尋ねる。
「あぁ。それだけの実力があるのだからな。本当はCにでも上げてやりたいんだがな。」
それは上げ過ぎでしょ。
「お前はあんな魔物を倒したというのに疲労があるようにも見えんし倒したことを何でもないかのようにしている。まだまだ余裕ということだ。」
いや、余裕ってのは間違いではないと思うけど、何でもないようにってただの亜種ゴブリンだと思ってた
「魔法というのは弱くて、支援魔法しか使われないんだがな。」
へぇ、そうなんだ。
「はい、お返しいたします。」
カードを受け取り、しまう。
「なぁ、ちょっと話したいことがある。来てくれないか。」
なんだろう、面倒ごとの予感だ。でもギルドマスターだしなぁ受けるしかないか。
「分かりました、どこ行けばいいんですか?」
「こっちだ来てくれ。」
私はギルドマスターの…ギルドマスターって言うの面倒臭い。ギルマスの後をついていく。
「ここだ。ほらそこに腰掛けてくれ。」
机にはお茶が置いてあり、ソファ?のようなところに座る。
「それでなんの話なんですか?」
気になるので話を急かす。
「あぁ、ソラに頼みたいのはある討伐の依頼だ。魔物の名はスネイクという魔物だ。」
スネイク…スネークか。蛇の魔物だと思う。
「最近群れが出来ていてブラックスネイクというボスのスネイクがいるんじゃないかと思っている。」
それを討伐しろと。
「他の冒険者に頼めばいいんじゃ。」
私は聞く。
「スネイクは大きい。ボスとなれば尚更。怖がって行きたがるものは少ない。一組やるというパーティーがいるが心もとないから頼んでいる。」
そんな魔物女の子の私に頼むかな?普通。
「なんで私なの?」
「それは冒険者になりたてのお前が魔物に臆することなく倒しに行けるメンタルを持っているかだ。」
それはゲームとかのやり過ぎで、恐怖心より好奇心が勝るからだよ。
「やってくれるか?」
でも、面白そうだね。私の強化した魔法も試したいし、やってみるか。
「…分かりました、やります。」
私は了承する。
「行くのは移動時間も考慮し明後日だ。明日、昼に顔合わせの時間を作るから来てくれ。」
「分かりました。」
パーティーを組むのか。まぁ、仮なんだけど。
「あっ、依頼料もらってない。」
危ない危ない。あと宿屋にプラスでお金渡さないとな。
「あぁ、悪い。」
ギルド嬢を呼び、依頼料をもらう。
「それでは明日。」
「はい。」
短く返事をして帰る。
「あっロア、ちゃんと売れた?」
ロアを見つけたので確認する。
「はい。今日はいつもより高く売れました。」
それはよかった。
「ソラお姉ちゃんは?」
ロアは聞き返してくる。
「ランクが2も上がっちゃったよ。」
苦笑いしながら言う。
「えっ!凄い…」
ロアも驚いている。
「ゴブリン売ったら一緒に帰ろ。」
そしてゴブリンを売りに行ったらそこでも色々な人に驚かれたのはまた別の話。
売り終わった私はロアと歩き始める。
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