5話 魔法少女は魔法を覚える
「いらっしゃい…ませ。」
店員の女の子が私を怪しい目をしてみる。
別に怪しい人じゃ無いよ。ちょっと怪しい人だよ。
「泊まりたいんだけど、一泊いくら?」
女の子に値段を聞く。今持ってるお金で最低でも2日は泊まりたい。
「あっ…はい朝晩の食事付きでは小銀貨7枚、食事無しでは5枚となります。」
小銀貨という、聞き慣れないワードが聞こえてくる。
え、私の持ってるお金で足りる?あ、足りた。
「食事有りで、一応2泊分を。」
「はい、分かりました。それでは小銀貨13枚です。」
あれ?14枚じゃ無いの?あっ朝ご飯が無いからか、
「はい、小銀貨13枚です。」
銀貨を渡して部屋の鍵を貰う。
綺麗な宿だなぁ、掃除も隅々までされてる。
自分の部屋に着いたので、鍵を開けて中に入る。
「そこまで広くは無いけど、寝るだけだから良いか。」
綺麗な割に安いのは部屋が広く無いからか。
いや、そんなこと言ったら失礼だ。
私はフードを取り、上着を脱ぐ。
「ふぁー疲れた。今日、異世界に転生したばっかなのに大変だったなぁ。」
手を思いっきり前に伸ばす。
「あの、お食事はいつ用意、します…か…」
あっ…見られた。この姿を見られた。
私は冷や汗を垂らしながら言い訳を考える。
…ダメだ。こんな格好をどう説明すればいいんだろうか。
「いやっ、これはその違くて……」
焦りながら言い訳をしようとすると
「…可愛いです!その格好、可愛いですね!」
へ?なんて?
「あの、お名前なんと言うんですか?」
「空ですけど。」
圧がすごいので一旦退いてもらって自己紹介する。
「ソラさんですね。私はエリーです。よろしくお願いします。」
エリーか。見た目では17、8歳ぐらいだね。
「私はエリーって呼ぶからソラって呼んで。同じくらいの歳の人にさん付けされるのは嫌だから。」
「はい!ソラ。」
笑顔で私をの名前を呼ぶ。
「エリー、仕事サボら無い。」
お母さんらしき人が叱る。
「ごめんなさい。ソラ、ご飯もう食べますか?」
そういえばこっちに来てから何も口にして無い。
思い出しちゃうと一気にお腹が空いてくる。
「お腹空いてるから、お願い。」
エリーにご飯を頼む。
「はい!分かりました。お母さん、ご飯にするって。」
あんまり叫ばないでほしいな、なんか恥ずかしい。
「エリー、お客さまのことをそんな大声で話さない。」
優しく注意する。
「はい、ごめんなさい。」
「謝るのは私にじゃ無いでしょう。」
「ソラ、ごめんなさい。」
エリーが私に謝ってくる。
私がちょっと恥ずかしくなっただけだから大丈夫だよ。
「別にいいよ。」
私は許してあげる。
「すいません。この子、いつもこんなにはしゃぐ子じゃ無いんだけどね。」
多分この格好に反応したんだと思う。
って言うかお母さんはこの格好どうも思わないんだ。普通はこっちを見るのに。
あと宿屋で聞きたいことがあるんだった。
「あっあのひとつ聞きたいんですけど、この近くに本屋とか図書館ってありますか?」
魔法少女なのに魔法が1つしかないからね、魔法が載ってる本とか欲しいよ。
「図書館はこの街には無いけど、本屋はここの裏にあるよ。」
そう答えてくれる。
「ありがとうございます。ご飯食べたら行きますね。」
もう夕方近くだけどまだ間に合うはずだ。
「エリーご飯持ってきなさい。」
はいーと下の階から聞こえてくる。
「遅くなりました、すみません。」
私は受け取り、冷めないうちに食べることにする。
「あっ美味しい。」
パンもモチモチして美味しいし野菜炒めもシャキシャキしてて美味しい。
美味しいしか言ってないけど私はリポーターでも何でもないから仕方ない。
「ごちそうさま。」
手を合わせて言う。
私は下に皿等を返却しに行く。
「エリー、美味しかったよ。」
返すときに言っておく。
「ありがとう、ソラ。」
笑顔で言う。
エリーって笑顔が可愛いよね。エリーは多分モテモテなんだろうな。
「エリー、今仕事中。」
「ごめんなさい。」
エリーはしょぼんとしながら謝る。
私は私で本屋に行く。
あるかな?この世界は魔法が弱いって言ってたよね?無かったら困るんだけど。
私は本屋に着き、店員さんを探す。
するとお婆ちゃんがレジらしきところで座っている。
「あの、魔法が載ってる本ってあります?」
お婆ちゃんに聞く。
「あぁ、…あったかなぁ…」
ガサゴソと辺りを探り始める。
「あっあったあった、これだよ。」
少しボロいが使えそうだ。
「いくらですか?高かったら買えませんけど。」
「タダだよ。そんなものにお金を払ってなんてもらえないさ。ただえさえそんなボロボロなのにねぇそれが魔法の本ときた。」
えっ魔法の本ってそんな価値低いの?
「買うとしたら貴族様かそこらさ。その時はこんなボロいのじゃなく良いのを買うんだろうけどね。」
私は本を受け取る。
「ありがとうございました。」
お礼を言って店を出る。
「やった、タダで貰っちゃった。」
出費が浮いた。足りなかったら稼ぐつもりでいたけど、必要なかった。
ステッキに本を収納したらピコーンと鳴った。
「えっなに?」
私は驚く。見てみると
名前 美水 空
年齢 17歳
職業 魔法少女
レベル 3
攻撃130 防御100
素早さ180 魔法力390 魔力550
装備 魔法少女服 魔法少女ステッキ
魔法 アクアソーサー 魔導書
スキル 魔法生成 魔力強化 魔力付与
魔力感知 魔法記憶
SP 250
なにこれ?魔導書?魔法記憶?どういうこと?
あと収納見てみたら本が消えてるんだけど。
気になるのでタップしてみる。
魔導書
この魔法は魔導書に載っている魔法を全て使うことができる。SPを使用すればプラス値が振れる。
魔法記憶
一度使用した魔法や見た魔法、本を収納することによって魔法を生み出し、詠唱無しで発動できる。
なにこれ、私が努力する必要がかけらも無いんだけど。チートすぎない?
そう思いながら宿屋に戻る。
「ソラ、買えた?」
休憩中なのかくつろぎながら聞く。
「まぁ一応。」
買えたけど吸収されたなんて言えないので濁して言う。
部屋に戻りやる事が無くなったのでSPを振ることにする。
「魔導書があるからほとんど生成しなくてもいいと思うけど、魔導書って簡易魔法しか無いよねたぶん。」
SPを振るならやっぱり魔導書でしょ。
私は画面を出して振り始める。
魔法 アクアソーサーI 魔導書II
アクアソーサーの方は50、魔導書は100かかってSPが無くなった。
「よし終わったー。」
SP振りも終わったので一眠りすることにする。
明日は仕事する予定だし休まないと。
私はベットに潜るとよほど疲れていたのかすぐに眠れた。
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