3話  魔法少女は街に行く


 私はロアと一緒に街に行くことになった。


「ソラお姉ちゃん、あのケルベロスどうするの?」


 あっそうだった。ここは異世界、ゲームじゃない。解体とかしなきゃダメ?


「冒険者ギルドに行けば、買い取ってくれると思うよ?」

ロアが教えてくれる。


 そうだよね。異世界だからそういうのもあるよね。解体しないと安くなるとか?よく漫画とかであるやつ。


「ありがとう、教えてくれて。」


 でもこれどうやって持ち運ぼう。手で持ってくのとかやだよ。


「あっ収納機能あるじゃん!」

そうだよ、ステッキにそんなスキルあったよ。


「収納機能?」


 しまった、口に出てた。


「いやね、このステッキには物を収納する力があるんだよ。」

こうしか説明のしようが無いからそう言う。


「へ~凄い!」


 うん凄い、私もそう思う。


「それよりどうしてロアはこんなとこにいたの?」


 小さい子どもがこんな森の中にいるなんて不自然だ。


「…少し前にお母さんが死んじゃって、お父さんの仕事もうまくいかなくて、その、妹がいるんだけど体調がずっと悪くて。」


 え…凄い家庭だね。お母さんが死んじゃって、お父さんは仕事うまくいかない?

更に妹が病気…なのかな?


「大変だったね。でも危険なことはしちゃダメだよ。もしそれでロアまで死んじゃったら妹はどうなるの?」


 こんな幼いのに働いてるのは偉いけど、働き過ぎは良くない。それにロアはまだ子ども。本当だったら働く必要なんてない。


「ごめんなさい…」

悲しい顔をする。別に叱ってるんじゃ無いよ?


「お父さんはこのこと知ってるの?」

知っていたら危険だと注意してほしい。


「ううん。私がしたくてやってるの。お父さんに知られると危ない事するなって怒られちゃうから。」


 あぁいいお父さんじゃん。

いい親にいい子ども。そんな家族がこんなに大変な思いをしてるなんて。


「ねっねぇ?街まであとどのくらい?」

話を変えにいく。


「もうすぐだよ。」


 あぁ私の苦労はなんだったんだ。もし、あのまま行ってたら私永遠に森にいることになった。


「ほんとにありがとう。」

ロアと会わなかった時のことを考えると震えてくるので、もう一度お礼をする。


「だからお礼をするのはわたしの方だよ。」


 いい子だねほんと。


「なんで私に助けを求めたの?こんな変な格好してるのに。」


 私の服を指す。自分で言ってて悲しくなってくる。


「分からない。でも優しそうだったから。」


 優しそう?私が?


「そうなんだ。」

私はそう返事を返す。


 ロアと喋りながら歩いていたら目の前に門が見える。


「すみません入れてください。」

そう言ってロアはカードを渡す。


 これは市民カードとかギルドカード的なやつを渡すと入れるとか?


「またお父さんに内緒で薬草を取りに行ったのか?」

門の人が言う。


「はい。」

俯きながら言う。


「気をつけるんだぞ。いくら魔物が少ないからといって、いないわけじゃないからな。」


 門の人は優しく言う。


「で、そこの変な格好をした嬢ちゃんはどうした?」


 うん。変な格好って言わないで。せめて可愛い格好って言って。


「私が魔物に襲われてる時に助けてくれた、ソラお姉ちゃんです。」


「あぁそうなのか。嬢ちゃんみたいなのが魔物を…」


 私のことを上から下へ、下から上に視線を移して見る。


「私みたいなのが魔物倒して悪い?」

なんかムカついたので強めに言う。


「あっあぁ悪い。ロアを助けてくれたんだな。ロアは俺の友の子どもだ、礼を言う。」


 頭を下げてお礼を言われる。


「いや、私はただ魔物を倒しただけだよ。」

門の人に頭を上げるよう言う。


「嬢ちゃん、すまないが通行料を頼めるか?この街の住人じゃないだろう?」


「あ、はい。」


 なんか神様が魔物から何かドロップするとか言ってなかったけ?

お金入ってないかな。入ってないとやばいよ?


 ステッキの収納を見るとお金が入ってる。銀貨が3枚。これってあたりの部類?


「いくらですか?」

値段がわからないので聞く。


「言うのを忘れてたな、銅貨3枚だ。」


 銅貨3枚か、銅貨なんて持ってないよ。

銀貨を分解とかできないのかな?


 収納を欄を見つめてると銀貨が銅貨100枚となった。お、やった。でもこんなに要らない。


「はい銅貨、3枚。」


 お金を払い終え、街に入る。


 街の人たちに凝視されている。この格好、めっちゃ恥ずかしいんだけど。せめて仮面かなんか欲しい。


 あとギルドカードみたいなのも欲しいよね。通行料取られずに済むし。


「ロア、冒険者ギルドの場所って分かる?」

ギルドカードが欲しいので聞く。


「はい、分かります。」


 分かるというのでギルドまで案内してもらうことになった。


 これから私は冒険者になるのか。それ終わったらなんか服買いに行こう。そうしよう。


 そんなことを考え私はロアの後ろについて行く。



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