第563話


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。


「香月高校―――七番―――」


 七番打者が打席に立つ。

 ハインがサインを送る。

 松渡が頷いて、構える。

 緊張している打者も構える。

 松渡が投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 ボールは外角の中央に飛んでいく。


「は、早い!」


 打者が見逃す。

 ツーシームのストレートボールがハインのミットに収まる。


「―――ストライク!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに141キロの球速が表示される

 ハインが返球する。

 打者が構えを解かない。

 捕球した松渡が構える。

 ハインがサインを送る。

 松渡が頷いて、投球モーションに入る。

 打者がジッと観察する。

 指先からボールが離れる。

 真ん中にボールが飛んでいく。

 打者がスイングする。

 打者手前でボールが三個分落ちる。

 バットがボールの上を空振る。

 フォークボールがハインのミットに収まる。


「―――ストライク!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに132キロの球速が表示される

 ハインが返球する。

 松渡が捕球して、構える。

 打者が構え直し、緊張していく。

 ハインがその様子をチラッと見て、サインを送る。

 松渡が頷いて、投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 外角高めにボールが飛んでいく。

 打者がスイングする。

 打者手前でボールが左に曲がりながら沈む。

 バットの上部を掠めて―――ハインのミットに収まる。


「―――ストライク! バッターアウト!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに131キロの球速が表示される


(ハジメのボール球になるシュートに手を出したか―――焦りが見えていたから楽に攻略できたな)


 ハインが返球する。

 松渡が上機嫌になる。


(二人続けて三球三振~♪ 陸雄のデッドボールのことで不謹慎だけど、抑えられて気分いいなぁ~)


 松渡が捕球して、構える。




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