第418話

 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。


「白石高校―――三番―――」


 三番打者が打席に立つ。

 ハインがサインを送る。

 松渡が頷く。

 打者が構え―――松渡が投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 外角の中央にボールが飛んでいく。

 打者がスイングする。

 ボールが左に曲がりながら沈んでいく。

 バットの下を掠めて、ハインのミットにボールが入る。


「―――ストライク!」


 球審が宣言する。

 松渡のシュートがワンストライクを作る。

 スコアボードに127キロの球速が表示される。

 ハインが返球する。

 松渡が捕球する。

 打者が構え直す。

 ハインがすぐにサインを送る。

 松渡が頷いて、投球モーションに入る。

 打者がジッと観察する。

 指先からボールが離れる。

 真ん中にボールが飛んでいく。

 相手の打者がタイミングを合わせて、スイングする。

 打者手前でボールが三個分落ちていく。

 松渡の深く握ったフォークボールだった。

 バットが空振り、ボールがハインのミットに入る。


「―――ストライク!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに130キロの球速が表示される。


(くそっ! あっという間にツーストライクに追い込まれちまった。三番打者なのにこれじゃあ監督に怒られる!)


 打者が悔し気に構え直す。

 ハインが打者をチラッと見て、返球する。

 松渡が捕球して、構える。


(ハジメ―――打者に力が入っている。ここでアレを投げろ)


 ハインがサインを送る。

 松渡が頷いて、投球モーションに入る。

 打者がジッと観察する。

 指先からボールが離れる。

 打者がハッとする。


(内角? 早い!?)


 内角高めにボールが飛んでいく。

 打者が振り遅れる。

 バットの上をボールが通過して、ハインのミットに入る。


「―――ストライク! バッターアウト!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに141キロの球速が表示される。

 松渡のツーシームだった。

 三球三振でワンアウトになる。



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