第9話 学生生活

あれからいつも通りの朝が来る。

もう、彼女がいることに慣れて来たせいか寂しさはなかった。

1年が過ぎ、中学2年生になった。目まで伸びていた髪もショートヘアに

してみた。オシャレとはまだ言い難いものである

クラスでは彼女に好きな人ができた。

そんな噂でざわついていた。僕の心もざわついてその日は落ち着かなかった。

好きな人ができたらきっと家から出ていってしまう。

そんな気がしたのだ。授業が終わり、今日も一緒に下校する。

ただの噂だが気まずい。好きな人がいるのに自分と帰ったら勘違いされてしまうのではないか。そう思ったからだ。僕は沈黙のあと彼女にこう告げた。

「好きな人がいるなら今度から別で帰ろうか」

彼女はなぜか悲しそうな顔をしながら、「えっ、うん。そうしたいなら良いよ‥‥」と返し、またうつむき黙り込んでしまった。

何か悪いことを言ってしまったのだろうか。その日の彼女はやけに静かだった。

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