13

「どうしたの?」と、巧也。


「スカルボ04、レストア―ド、コネクション……だって」と、しのぶ。


「どういう意味?」


 眉を寄せる巧也に、しのぶは笑顔で応える。


「データリンクが復活した、ってこと……つまり、ジョーが……帰ってきたんだよ!」


「ええっ! マジで!」


 席を立ってしのぶの後ろに駆け寄る巧也の目に、画面に並んだ以下の文字が飛び込んできた。


Scarbo03 Restored Connection

Scarbo04 Restored Connection


「あ、三番機……エリーも帰ってきた。二人とも無事なんだ! やったぁ!」


 喜びのあまり、巧也はしのぶの肩をつかんで揺さぶってしまう。


「きゃっ! ちょ、ちょっと、タク……」


「……ああっ!」


 しのぶの声を聴いた瞬間、巧也はとんでもないことをやらかした自分に気づく。


 やっちまった。しのぶが女の子であることを忘れて、ボディタッチしてしまった。


「ご、ごめん!」飛びのくようにして、巧也はしのぶから離れる。


「……」しのぶは顔を赤くして、うつむいていた。


「ごめん!」巧也はしのぶに向かって直角に体を折り曲げる。「ほんと、ごめん! ぼく……すごく嬉しかったから……つい……」


「ううん、いいの……」微笑みながら、しのぶ。「わたしに対しては……タクはそういう気持ちがないってこと、よくわかってるから……大丈夫だよ……」


 少し悲しげな笑顔だった。それを見た瞬間、巧也の胸がキュンと苦しくなる。


 その時。


『こら、タク!』教室のスピーカーから、町田二尉の大声。『シノに変なことしちゃダメ、って言ったよね?』


「ええっ!?」


『言い忘れたけど、その部屋、監視カメラとマイクがあるから』


「……」


 そうだったのか。別に自分ではしのぶに変なことをしたつもりはない。が……結果的にしのぶを含めて周りにそう思われてもおかしくないことは、してしまった。言い訳した方が、いいんだろうか……


 と、巧也が思案していた時だった。


「違います!」しのぶにしては、やけにはっきりと大きな声だった。「タクは何も変なことしてません!」


『そう。シノがそう言うのなら、いいんだけど』二尉の声のトーンが下がる。『そうそう、いいニュースよ。エリーとジョーが無事に帰ってきたの。ジョーは燃料切れになって大変だったけど、なんとか着陸できたわ。今エリーが着地タッチダウンしたところ。これで一安心ね。あなたたち、もう少しそこで待ってて。もちろん変なこともけんかもなしでね』


「はい、わかりました」巧也が応える。


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