キメラリアの種族
・キメラリア・ケット(猫)
猫に似た身体的特徴を持つ種族。性差はあるものの、一般的な成体の身長は150cmから180cm程。出生環境や家系によっては、200cmを上回る大柄な個体や120cmに満たない小柄な個体も居るが、基本的に極端な体躯の者は珍しい。柔軟な身体と凄まじい筋力、優れた嗅覚と聴覚を持ち、夜目もそれなりに効くなど総じて身体能力が高い。一方、持久力は他種族と比べて劣っている。出生に関しては、キメラリアとしてもやや妊娠しにくい傾向にあるとされるが、カラと同程度には見かける存在でもある。
自由を好み束縛を嫌う傾向が強い種族とされ、キメラリアの中でも特に集団へと属しにくく単独行動をとる者が多い。その奔放ともとれる性質からカラやアステリオンとは反りが合わず、ファアルからは一方的に嫌われている。
人間社会においては、その性質から労働者や奴隷としては扱いづらいと敬遠される傾向にあり、一般的にはあまり溶け込めてはいない。逆にバックサイドサークルのような裏の環境には馴染む者が多く、傭兵やリベレイタ、中には盗賊として生計を立てる者もしばしば見られる。
800年前においてはF型キメラリアと呼称され、その身体能力の高さを人類に獲得させるための研究も進められていたが、デミの時点で身体能力は失われることがほとんどであり、結果的に上手くはいかなかったとされる。
・キメラリア・アステリオン(小型犬)
犬のような身体的特徴を持つ小柄な種族。多くの共通点を持つキメラリア・カラを含め、単に犬などとも呼ばれる。キメラリアの中でも小型の種であり、成体の平均身長は120cm前後であり、130cm台後半のアポロニアでも大柄な部類に入る。人間よりも筋力に劣る一方、軽い体も相まって持久力には非常に優れ、嗅覚と聴覚も人間を凌駕する。
カラと同様に、明確な上下関係に従うことを求める本能的ともいえる傾向があり、自らが主と定めた者に対しては忠誠心が厚い。そのため、比較的人間社会と関わりを深めやすく、社会へ浸透している者も多く見られる。
性格上キメラリア・ケットとは反りが合わない場合が多く、種族同士で嫌い会う風潮もあるが絶対ではない。また、非力を理由にキメラリア・ファアルから親しまれる貴重な種族であり、排他的な同種と他種族との橋渡しにもなっている。ただ、アステリオン側としては自分たちにだけ友好的である理由が、種族柄自嘲的に語ることの多い非力さと小柄さであるため、あまり好意的には受け取られていない。
人間社会においては、疲れにくく身軽であることを活かし、家政婦や農夫、斥候兵などとして働き口を得やすいとされる。その一方で、人間より非力で扱いやすく、目上のものに反抗しにくいことや、キメラリアの中では比較的多産で数が多いことなどを理由に、安価な奴隷として扱われる者も多い。
800年前時点ではカラと区別されておらず、犬のような特徴を持つ種族として、C型キメラリアと呼称されていたとされる。
・キメラリア・カラ(大型犬)
キメラリア・アステリオンと比べて大柄な体躯と、犬のような特徴を持つ種族。その見た目から大型犬とも呼ばれる。性差はあるものの、成体の身長は150cmから190cm程の個体が一般的。犬系の特徴である優れた持久力と耳鼻を持ち、筋力もキメラリア・シシに次いで強いとされる。一方、種族としての出生数は控えめであり、キメラリアの中では平均的な数値程度に留まっている。俗説では、アステリオンとの間に子を成すと多産になると言われており、実際にカラとアステリオンの番では出産数が増える傾向にはある。しかし、産まれた子はアステリオンである割合が多く、カラの種族単体で見た場合の出生数増加につは疑問が残る。
アステリオンと同様に、明確な上下関係を求める性質と厚い忠誠心を持つことから、他のキメラリアと比べて人間から有用と見なされやすく、強靭な肉体労働者や優れた戦士として働くものが多い。中にはマルコのように、要人の護衛とされるほど信頼される者も居る。
・キメラリア・カラ・ウルヴル(狼)
キメラリア・カラの特殊個体とされる種族。犬ではなく狼と呼ばれ区別される。身体能力に秀でた種であり、キメラリア・ケットに並ぶ程の筋力と、キメラリア・アステリオンすら凌駕する持久力を併せ持つとも言われる。また、生来の才能として
一方、ウルヴルは妊娠確率が非常に低いという特徴を持つ。その上、運良く同種同士の夫婦が妊娠できたとしても、子がカラとして産まれることの方が圧倒的に多い。逆にカラやアステリオンの子がウルヴルとして誕生することもあるが、これも非常に稀有な例であることから、キメラリアの中でも絶対数が極めて少ない。
また、俗説においては毛無が産まれないと言われているが、その希少性から情報が非常に少なく真偽は不明である。
800年前のウルヴルは、他種族と違って意図的に生み出された存在ではなく、C型キメラリアから突然変異によって発生したとされる。だが、初めて発生が確認されたのが文明崩壊の直前だったことから、C型甲種変異体という記録が残された以外に満足な研究が行われることはなかった。
・キメラリア・キムン(熊)
熊のような身体的特徴を持つ種族。非常に大柄であり、キメラリア・ケットを軽く凌ぐ怪力に、キメラリア・シシ以上に頑丈な体、キメラリア・カラよりも優れた耳鼻を持つとされ、最強のキメラリアとの呼び声も高い。一方、視力と器用さに関しては他種族より劣っており、乱視に悩まされる者が多いとされる。成体の身長は性差を含め180cmから220cm程で、動物的特徴が強いほど大柄になりやすい。
種族の代表的な特徴としては、物や人に対する執着心が非常に強い傾向にあることと、毛無と毛有で身体能力に隔絶した差のあることがあげられる。特に後者は、毛有のキムンは毛無10人分以上の力を持つとさえ謳われる程。しかし、毛有として産まれるものは極めて少なく、種族の大半が動物的特徴が最低限の毛無であることから、他種族に比べて毛の有無に関しての関心が非常に強い。また、キメラリアは毛有は強く毛無は弱いという俗説は、このキムンしか持たない種族的特徴から広まったとされる。
他種族と比べても妊娠確率が低いため、出生数はキメラリアの中でもかなり少ない部類に入るとされる。そのため、群れを成すことも稀で、家族単位以上の集団を形成することはほとんどない。
そのあまりに圧倒的な身体能力から、人間社会においても他のキメラリアとは一線を画す存在と考えられており、戦士として国家や社会に認められる者も多い。逆に生産職には全くと言っていいほど向かないため、独自の文化は野性味溢れるもの以外が全くと言っていいほど存在せず、思想に関しても強者こそ絶対という単純な感覚が非常に根強い。戦闘職以外では、養蜂や漁業に従事する者が見られるが、こちらも極めて稀な存在である。
800年前においてはU型キメラリアと呼ばれており、身体能力の高さにこそ注目が集まっていた。しかし、その絶対的な出生数の少なさから、人類にエーテル汚染耐性を付与するという計画本来の目標達成が困難であると判断され、文明崩壊直前に研究は打ち切られていたとされる。
・キメラリア・クシュ(鳥)
鳥類に似た身体的特徴を持つ種族。羽毛の存在が特徴的であり、中には腕が翼となっている者も見られるが、飛翔能力はない。性差はあるものの、一般的な成体の身長は140cmから180cm程。極端な体格の者は少なく、140cm前後の体躯を持つのは獣に近い毛有に多い。キメラリアの中では最も視力に優れているとされ、動体視力や距離感を掴む能力にも長けることから、射手や物見に向く。カラ程ではないが持久力も優秀。一方、筋力は一般的な人間と大差がなくキメラリアとしては劣っている他、骨格が脆く防御力に難がある。出生数に関してはキメラリアの中では平均よりやや多い程度とされるが、身体構造の脆さから成人前に命を落とすケースも多く、絶対数はケットやカラと大差がない。
文化面では基本的には家族単位の生活を基本としているが、比較的柔軟な環境適合能力を持っており、大規模な集落を構成することも単独生活を送ることもある。全体的に社会性が高く聡明である場合が多いため、人間社会へと順応する者も少なくない。ただ、キメラリアの中では筋力に特徴が見られないことから、奴隷としての価値は高くなく、雑に扱われて使い潰されることもままある。
800年前にはB型キメラリアと呼ばれていたが、形態が多岐に渡った事でより詳細な区別に関する議論が行われていた。
・キメラリア・クシュ・レーヴァン
クシュの中で黒い翼を持つ者を指す。基本的にクシュと大きな違いがある訳ではないが、現代では珍しい漆黒の髪を持つため単一の呼称を持つと考えられる。俗説的ではあるが聡明な者が多いと言われており、コレクタユニオンのブレインワーカーやテクニカ研究員として働く者が比較的よく見られる。一方、狡猾であり人を騙すことに長けるという偏見も存在し、クシュの中でも人間社会に溶け込むことのハードルが高い。
800年前の時点では特に区別が行われておらず、クシュ同様にB型キメラリアとして扱われていた。
・キメラリア・アラネア(蜘蛛)
蜘蛛のような身体的特徴を持つ種族。性別を含めて蜘蛛女、蜘蛛男などと呼ばれることも多い。毛無が非常に少ない種族として知られ、蜘蛛がそのまま立ち上がったような個体がほとんど。その見た目から、人間の中には人語を解するだけの虫と呼び、強い嫌悪感や忌避感を抱く者は多く、毛無であってもアラネアと言うだけで受け入れられない者も少なくない。
成体の身長は120cmから200cmを超えるものまであり、体格の個体差が非常に大きい。毛無であっても、出糸突起のある蜘蛛の腹部に当たる器官を必ず持ち、個体によっては毒性のある刺激毛も備えている場合がある。
出糸突起から複数種類のアラネア糸を作り出すことが可能であるため、糸繰や機織等といった繊維産業に優れる文化を持ち、誰もが優れた繊維加工技術者として現代の服飾文化における影の先駆者となっている場合が多い。また、無音で行動することと、強靭なアラネア糸を罠や武器として扱うことに長け、瞬発力にも優れることから、暗殺者や盗賊として活動する者も居る。一方、体は人間よりも脆弱であり、小細工無しの戦闘や重量物を扱うことは一般的に苦手としている他、毒物の分解機能が他種族劣っており、食品や薬の摂取には様々な制約がある。特に幼年期の生存性における大きな障害となっており、ファアルに次ぐ多産種でありながら、絶対数が増えない最大の要因となっている。なお、過去にはアラネア単独による国家を形成したが、上述の弱点を人間に知られたことで井戸に人には無害な毒を流され、一夜にして崩壊したと語られている。
基本的に人間社会へ積極的に浸透する者は少ないが、バックサイドサークル等のキメラリアに寛容な地域では毛無毛有共に比較的目にする機会が多い。糸という武器を自ら生み出せるため使役することが難しく、人間から嫌われやすいこともあって奴隷商の間でもほとんど取引されることがない。
800年前における呼称はA型キメラリアだったが、種の形態が多様であることから、より詳細な分類についての議論が研究者の間で交わされていた。
・キメラリア・シシ(猪)
猪に似た身体的特徴を持つ種族。比較的大柄で肩幅の広い体躯を有し、成人の平均的な身長は150~180cm程。時折キムン並みの背丈を持つ者が現れる一方、小柄な者は珍しい。非常に頑丈な骨格と分厚い筋肉を持つことから体重が重い一方、キメラリアの中では1、2を争う身体強度を誇る。身体能力はケットとカラの中間と言われ、筋力、持久力共に優秀。嗅覚はやや優れるものの、その他の五感は人間とほぼ大差がない。出生数はカラやケットよりやや少ない程度で、キメラリアとしては平均の範囲内。
慎重で冷静な性格を持つ者が多いとされ、重装鎧を好んで着用する文化を持つ。そのため、戦闘スタイルは守りを重視した前衛型でカウンターを多用する。また、自身の身体強度と重装鎧を用いた突進が、必殺の一撃として人間社会においても恐れられている。その他にも、非常に綺麗好きで沐浴を好むとされる。
家族単位以上で生活することはほとんどなく、種族単独による集落などは珍しい。しかし、人間社会には比較的順応できており、持ち前の身体能力を生かして土木作業や農耕、港湾労働等に従事する者も見られる。一方、バランスの取れた身体能力は様々な場面で役立つことから、高価なキメラリア奴隷として奴隷商に狙われることもしばしば。
800年前においてはS型キメラリアと呼ばれていたが、実験開始が遅かったため大して研究が進められない内に文明崩壊を迎えている。
・キメラリア・ファアル(鼠)
鼠に似た身体的特徴を持つ種族。キメラリアの中ではかなり小柄であり、成体の平均的な身長は80cm程。アステリオン以上に非力であり、個体の身体能力は他と比べて低い者が多い。一方、非常に環境適応能力が高く、飢餓や病気に強い耐性を持っており、手先が非常に器用で生産職に向いている。また、アラネア以上の多産種族で、絶対数はキメラリアの中で最大とされる。
他種族より小さく弱いことから独特の思想や文化を持ち、単独で力の強い者や身体の大きな者を嫌う、数こそ力という信念を持っており種族全体主義的で血族や親族の概念がない、単一種族による複数の長を持った大集団を形成する、などが挙げられる。そのため、ラウルのような大柄で力の強い個体や、個人の意思を重視する者は集団から排斥されることが多く、人間社会で見かけるファアルはほとんどがはぐれ者である。ただ、これらの思想は他種族に理解を得られにくく、特に夫婦関係を作らず集団内の誰とでも子どもを設ける風習から、ファアルは淫乱で無秩序な存在と見なされやすい。しかし、上述の通り種族としての社会秩序は厳格であり、子どもも集団全体が親として育てる等社会成熟度は高い。
基本的に排他的で閉鎖的な社会構造を持つが、唯一非力かつ小柄という似た特徴を持つアステリオンに対しては一方的に親しみを持っており、集団と交易を行える数少ない存在となっている。
人間社会においてはその集団性と飢餓や病気に強い特性を利用され、集団ごと奴隷化して鉱山労働や開拓労働、大規模農業などに従事させられることが多い。ただ、何らかの要因で使役側が失踪すると、鉱山や開拓地をそのまま引き継いで、大規模な集落を形成することもある。
800年前にはR型キメラリアと呼ばれており、その環境耐性の高さに注目が集まっていた。
・キメラリア・フーリー(狐)
狐に似た身体的特徴を持つ種族。性差はあるものの、成人の身長は140~170cm程で、比較的小柄な者が多い。基本的に細身であり、鍛えても目に見える程筋肉が成長することは稀。そのため筋力は人間とほぼ大差がないが、軽快な運動能力を有し、特に跳躍力に関してはキメラリアの中でも群を抜く。ただ、持久力の面ではケットにこそ勝るものの、やや息切れが早い。男女ともに顔つきが美形な者が多いとされる。
寒さに強いという特徴を持っており、主に雪原や雪山等といった地域に居住する者が多い。基本的には家族単位で生活するものの、一定規模の単一種族による集落を形成する場合もある。寒冷地であるため独自の狩猟文化を築いており、農耕は全く行わない。一方、暖房や防寒に関する技術は人間社会よりも優れている他、戦士はフェイスペイントを行うという文化を持つ。基本的な出生数はケットと同程度だが、寒冷地という生育環境の厳しさから人口が増えにくく絶対数は少ない。
基本的にカサドール帝国領北部より、なお北に位置する寒冷地で生活しているため、人間との接点は少なく人間社会の町村で見かけることは稀。ただ、上述の見た目から一部の好事家の間で愛玩奴隷として好まれ、高い値が付くため奴隷商には専門とする者も存在する。
800年前にはV型キメラリアと呼ばれており、寒冷環境耐性の高さに注目が集まっていた他、成長した個体が美形だったことから、一部研究者の間で熱烈な人気があったとされる。
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