悠久の機甲歩兵・設定集

竹氏

登場人物

玉匣一行

 ・天海恭一

 種族:神代人(古代人間)

 年齢:28歳(新共通歴準拠)

 性別:男性

 出身:企業連合

 誕生日:11月19日(新共通歴準拠)

 身長:179cm

 【容姿】

 黒い短髪と切れ長の目に黒い瞳が外見的特徴で、他にも女性陣からは手が大きい、ダマルからは面長等とも語られている。また、戦争で受けた古傷が身体に残っており、右肩と右腹部には銃創痕、左上腕部には切創痕がある。体格は細身の筋肉質で、無駄のない身体をしており、現代の戦士たちとも互角にやりあえる膂力を持つ。

 普段から着慣れていることを理由に、ネイビーブルーの戦闘服と黒いインナーシャツと合皮の半長靴を愛用しており、現代の服を身に着けることをはほとんどなく、初期はマキナ着装時でもこの格好だった。生身での行動時にはこれにボディーアーマーを着用することが多い。スノウライト・テクニカの戦闘以降は、マキナ着装時と生身での戦闘時においてパイロットスーツを着用する。また、正式な場ではガーデンにおいて見つかった企業連合軍の礼服を着用することもある。

 生身で行動する際は、銃剣装備の自動小銃をストラップで背負っていることが多く、軽装の際も自動拳銃と銃剣は基本的に持ち歩いている。


 【人物】

 本作の主人公。生命保管システム内で保護されており、現代に蘇生した機甲歩兵。

 性格は温厚で仲間想い。一人称は僕であり、基本的に誰とでも分け隔てなく話すが、仲間や友人への差別感情に対しては不快感を露わにし、拳に訴えるような血の気の多い一面も持ち合わせる。戦闘時は心のスイッチを切り替えるような形で、冷徹に外敵を打ち払う。特に身内に危害を加えた相手には容赦がなく、周囲からたしなめられることも多い。親愛の感情は明確に表現する一方、恋愛感情に対しては自他を問わず鈍感であり、遠回しな好意にはほとんど気付かないことから、好意を向けてくる女性たちを悩ませている。800年前時点においては、兵士の身では明日もわからないと言って恋愛自体を避けていた。そのため恋愛に関する経験も少なく、ストレートな言葉をぶつけられると動揺する場合が多い。これらに対する自覚はあり、他人の心の機微を読むこと自体が苦手であると自嘲するが、恋愛感情以外について極端に鈍いということはなく、場合によっては鋭くさえ見えることもある。

 生命保管システムのエラーによって記憶の再生に失敗しており、蘇生直後から800年前の記憶には多くの欠落がある。特に生命保管装置に入った経緯や、文明崩壊に至る戦争の末期と、ストリ・リッゲンバッハに関連する内容はほぼ完全に忘れていたが、現代において刺激を受ける中で少しずつ回復していった。

 ストリを失った衝撃がトラウマとなっており、初めてシューニャたちに言い寄られた時は、深い心の傷がフラッシュバックして拒絶することしかできず、好意と過去の間で酷く思い悩んでいた。しかし、女性陣が誰1人として玉匣を去ることなく、同じように接してくれる中で徐々に心が氷解。マオリィネとの約束とポラリスという衝撃的存在の保護もあって大きく揺さぶられ、最終的には皆の好意が揺るがないと知らされたことで、思考を前向きなものへ変えていった。その後、夢で出会ったストリとの『全員を幸せにする』という約束を、自分の頭が生んだ幻影だと理解しつつも、二度と違えないと誓ったことでトラウマに決着をつけている。以降は、5人との重婚については800年前の倫理観から、本当に誠実と呼べるのかを悩むことになり、女性陣への回答を一旦保留のまま引き延ばしていたが、スクールズの言葉によって解消され、最終的には皆と幸せな人生を歩むことを決意している。

 企業連合軍最強とも謳われたマキナの戦闘技術を持ち、機甲歩兵装備のほとんどを自在に扱える他、生身での射撃と格闘術にも秀でており身のこなしも軽い。特にマキナ着装時には武器を持っていなくても、貫手や関節技などを駆使して容易く敵を撃破できる程。前線で戦っていた士官であるため、機械の簡易整備も一通りこなすが、ダマルからは不器用という厳しい評価を得ている。また裁縫が苦手で階級章を縫い付けるのにも苦労していた。料理もできるが、得意ではなく味付けが単調になりがちなため、自ら包丁を握ることは滅多にない。一方、入院療養中の手慰みだった折り紙は得意で、何も見ずに孔雀やダリアなどを綺麗に折れる他、紙飛行機は異常に良く飛ぶものを作れる。また、ストリを相手取っていた経験からテーブルゲームの類には異常に強く、博打は苦手と言いながら未経験のゲームでアポロニアを一方的に叩きのめしていた。その他は、前線での疲労回復を目的に軍医から学んだマッサージを得意としている。小隊長時代には部下はもちろん、他の小隊長などからも好評を得ているなど腕は確かで、一時期指圧隊長という異名すらとっていた程。しかし、最初は激痛が走るため、お仕置き的に使われることも多い。

 風呂好きの一面もあり、現代の希薄な入浴文化の中で、どうやって日々湯に浸かるかを真剣に考えていた。また、風呂には静かに入りたいというこだわりを語ったこともあるが、誰かと騒がしく入ることも嫌いではなく、風呂場ではサフェージュの背中を流してやるなど、いつもより少々開放的になっていた。食事の好き嫌いはほとんどないが、香りの強い食品はあまり得意ではなく、酒類には滅法弱い。交友関係において、技術面でも精神面でも現代の支柱なっているダマルを相棒と呼んでいる一方、骸骨のセクハラ行為やはっちゃけた行動には辟易することもしばしば。また、女性陣には平等な愛情をもって接し、心の底から家族として大切にしている。ただ周囲からは、ポラリスに対してのみ極端に甘い、とも見られていた。


 【800年前の経歴】

 最終的な所属と階級は企業連合第一軍、高月師団第三機甲歩兵大隊麾下、特殊作戦中隊SOF所属大尉。夜光中隊の異名を取った特殊作戦機甲歩兵部隊の中隊長であり、精鋭揃いと呼ばれた同部隊のエース。

 企業連合軍徒手格闘技術大会優勝者である笹倉大佐に師事していたことから、近接戦闘術に優れる他、マキナ搭乗時には取り回しに難があるマキナ用機関銃をほぼ突撃銃と同じように扱ったり、高い精度の長距離狙撃も行えるなど射撃にも秀でる。

 元より圧倒的な撃墜数を誇っていたが、玉泉重工へのテロによってストリを失って以降は、復讐心から一層過激な戦闘へ身を投じて戦果を上げ、共和国側に鬼神とあだ名される程となっていた。一方、続く戦争の中で次第に心を疲弊させてもいた。

 最後に従事した作戦では、共和国軍からの大攻勢により前線の後退を余儀なくされ、中隊と共に撤退する味方部隊の殿を務めた。その際、大損害を出した夜光中隊の部下に対し、撤退する味方を護衛しながら退避するよう命じ、自身は単機でロシェンナの大部隊に立ちはだかって友軍撤退の時間を稼いでいる。

 後に僚機だった井筒タヱ少尉によって、大破し行動不能となっていた翡翠と共に回収されたものの、既に瀕死の状態であり、通常の医療による回復は絶望的とされ安楽死を推奨される有様だった。しかし、リッゲンバッハとコルニッシュ・ボイントンによって考え出された、生命保管システムを利用して身体を再構築するという前代未聞の荒業によって回復に成功。ただ、意識を取り戻す前に文明崩壊が始まったため、そのまま800年間保存されることとなり、物語冒頭へ繋がっている。




 ・ダマル

 種族:骸骨

 年齢:不明

 性別:男性(骨格及び言動より)

 出身:企業連合

 誕生日:10月8日(新共通歴準拠)

 身長:179cm

 【容姿】

 白骨化した人体そのもので、周囲からは骨格標本とも称される。

 日常においては骨格を人らしい形に見せるため、プロテクターを入れた軍作業着を着用していることが多く、メカニカルグローブも愛用している。ただ、人間だった頃の癖から全体的に着崩し気味。一方、現代の文明社会と接する際は、細いスリットだけで可動部のないフルフェイスの兜を被り、ギャンベゾンに金属装甲を貼り付けたスプリントアーマーとガントレット、綿入りのズボンを身に着ける。この兜をダマルは非常に気に入っており、暗視装置や望遠機能など様々な改造が施した上で、後頭部には呪われていて外せないことの言い訳に、骸骨のホロステッカーが貼られている。護身用として、普段から機関拳銃を携帯している。


 【人物】

 自称、食い、眠り、動き回り、考える骨。

 普段の性格は快活なお調子者で、軽薄な女好き。一人称は俺で、ほとんどの場合砕けた口調で喋り、同時にカタカタと顎が鳴る。デリカシーがなく、セクハラ紛いの発言や、余計な一言を躊躇いなく口にしてしまう癖があり、その度に周囲から制裁を受ける。一方、口調の割に思考は理論的であり、特に重要な場面では自分たちの置かれている状況や、他者の心の機微を細かく読み取って、適切な判断やアドバイスを行うなど、非常に真面目で思慮深い一面も持ち合わせており、仲間からの信頼は厚い。

 恭一と同様に生命保管システムに保護されていた1人であり、恭一ほどではないものの記憶の一部が欠けている。元は普通の人間だったと語る一方、肉も筋もない身体となった理由は何も覚えておらず、何故動けているのか、どういう存在なのかということに関して、プログラムと化したリッゲンバッハから話を聞くまで、ダマル自身にも全く理解できていなかった。

 骨格は自動修復性のある超硬セラミックであり、ファティマの斧剣をぶつけられても傷つかない程の強靭を誇る。ただ、ヤークト・ロシェンナから自動散弾銃を受けた際には耐えきれず、鎖骨を骨折している。骨同士の結合は大した強度を持っておらず、ファティマやアポロニアには制裁としてよく解体される。しかし、解体されても致命傷とはならず、頭蓋骨だけでも普通に会話が可能であり、痛覚が共有されなくなるなどの利点もある上、組み立てれば元通りになる。自らの意思で部品を切り離すことも可能。しかし、両腕が動かせない状態では誰かに組み直してもらわなければ復旧できない上、空間エーテル濃度が薄いと骨格の結合を維持することができず自然に分離してしまう。更に希薄化が進むと会話が不可能となり最終的には意識を失って動けなくなるという弱点も持つ。また、骨格は発熱箇所を持たないためか寒さにも非常に弱く、暖炉の前で毛布を被っても温めた果実酒を飲んでも耐えられず、薪ストーブをはじめとした暖房器具を自作する決意を固めた程。

 元は企業連合軍の整備中隊で班長を務めた軍人であり、武装や兵器から一般的に普及した家電に至るまで、修繕整備に関しては天才的な技能を誇る。その技量故に、オートメックを中心とした整備作業を雑であるとして嫌っていた。また、元整備兵でありながら、激戦に何度も巻き込まれた経験から、機関拳銃を用いた近接戦闘や格闘術に加えて敵の尋問も得意としている。その他にも多様な支援兵器の運用知識を持ち、偵察用バイクから大型トレーラー、偵察ドローンに至るまで様々な機器の運転操縦をそつなくこなせるなど多彩な技術を持つ。趣味的ではあるが、雑学的な知識にも明るい。一方、過去の経験から着装恐怖症を患っているため、マキナの操縦は非常に苦手としており、前哨基地で必要に迫られて黒鋼を操縦した際は、着装するだけで身体が震えるほどだった。

 日常生活においてはどちらかというと自堕落な傾向があり、不精であるため家事は基本的に不得意で金銭感覚も大雑把。特に料理はシューニャ以上に壊滅的で、携帯食を温めるかそのまま出すようなことくらいしかしない。博打と酒と煙草を好み、特に煙草にはこだわりがあり、元々吸っていた電子煙草から現代の紙巻煙草に切り替えた際は、雰囲気はいいが不味いと文句を言っていた。食事に関してはキノコ類が極端に苦手な以外は、特に好き嫌いはない。ケイヤキクの臭いに対してアレルギー反応があり、近くで実が破裂した際は鼻水と涙が止まらなくなる。

 異性に対して興奮した口調を見せるものの、恋愛に関しては自身が骸骨であることから不可能と考えており、恭一を妬むような発言をしながらも誰かに対して踏み込んだ関係を得ようとはしていなかった。しかし、骸骨であることを知らないジークルーンに好意を寄せられたことで、関係性がどうあるべきかに苦悩する。その後、事故的に骸骨であることが発覚した際は、ジークルーンに対して冷静に状況を説明し、遠回しに恋心を諦めるよう促したが、私の騎士様を怖がるはずがない、と真正面から好意をぶつけられ、以降はどうやって彼女と生きていくかと考え方を前向きに改めた。

 恭一の事はスケコマシ等と呼んで嫉妬心を露わにしたり、女性関係をからかったりする一方、相棒としては絶大な信頼を置いており、不安に駆られる女性陣に対し、アイツなら大丈夫、あるいは、アイツが負けるなら誰にも勝てない、と言ったような発言もしている。

 アポロニアのことを最初は犬や犬っコロと呼んでいたが、タグリードとの一件で涙する彼女を見て以来、アポロと呼び方を改めている。また、子どもは嫌いだと発言しながらも、直感が鋭く思考の回転が早いポラリスのことはなんだかんだ気に入っており、気のいい兄貴分として振舞うことが多い。


 【800年前の経歴】

 前線付近の基地に配置されていた整備中隊の整備班長。最終階級は中尉。生前の名前や年齢などは不明。

 休暇中に車を買い替えたことで、減った貯金をカジノで増やそうと試みて失敗。買い換えた新車ごと身ぐるみを剥がされることとなったため、休暇中の生活資金を稼ぐ必要から軍が主導する治験に応募、合格したことで生命の器計画の被験者となった。実験体として優秀と見なされたことで、社会的には行方不明という扱いになり、その後アストラル体を実験用擬似人体へと移動された中で唯一の成功例となった。しかし、ほぼ奇跡的な成功であり理由が判然としなかったことから、その後計画自体が頓挫。非人道実験の証拠として厄介者扱いされたダマルは、そのまま生命保管システムの臨床試験へ投入され、結果として文明崩壊を生き延びることとなった。



 ・シューニャ・フォン・ロール

 種族:現代人間(司書)

 年齢:17歳(司書の谷独自歴準拠)

 性別:女性

 出身:司書の谷

 誕生日:種蒔の月(リンデン交易国の春頃)

 身長:141cm

 【容姿】

 司書の特徴とされる金髪と翠色の瞳を持ち、色白な肌をしている。髪型は癖のないショートボブ。また、鉄仮面とも称される無表情も特徴で、顔に感情を表すことはほとんどなく、口調もあまり抑揚を付けず必要なことを淡々と喋る場合が多い。恭一からは、まだあどけないながら顔立ちの整った理知的な美少女と称されている。体格は小柄で細身、女性的な発育はよくなく体の凹凸が薄い。

 普段から埃除けとして、半身を覆う程のポンチョを身に着けている。最初は茶色の安い生地の物だったが、あちこちがほつれていたために、恭一から紺色地に銅色の線と白い渦巻模様が入った上等な物をプレゼントされ、同時に手渡された焦げ茶色のキャスケット帽と共に愛用している。ポンチョの下には半袖のシャツとショートパンツを身に着け、ブラウンレザーのアンクルブーツを履く。

 腰回りに小道具を入れているポーチと、護身用の短剣も装備しているが、剣に関してはほぼ飾りである。恭一とダマルから回転式拳銃オートリボルバーの訓練を受けて以降は、ベルトにホルスターを付けて剣と一緒に持ち歩いている。


 【人物】

 ブレインワーカーを生業としながら、テクニカの研究員を目指していた少女。

 司書の谷の出身であり、幼い頃に掟を破って封印の扉に近付いたことで死罪を言い渡されたが、両親その他の懇願によって減刑され、成人と同時に故郷を追放され、ブレインワーカーとなった過去を持つ。

 性格は冷静かつ合理的な常識人。一人称は私で、誰に対しても基本的には淡々とした口調で接する。勉学と経験から得た知識を用い、物怖じせず社会を渡っていく力を持っている一方、頭でっかちな一面もある。司書の谷にはキメラリアがほとんど居なかったことから、種族分け隔てなく話すことができる稀有な人材でもある。ただ、知識優先で感情を表情にも声にも表さないスタイルから、人形と呼ばれて気味悪がられることも多々あり、交友関係こそ広くなっているものの、心から信頼して話せる仲間は恭一たちと出会うまで作れていなかった。これは、幼少期には感情をなくせば、人は苦しむことも悲しむこともないのではないかと考え実践したことが原因である。同時に、恋愛感情には非常に疎く初恋の経験すらないという初心さであり、恭一を意識しはじめる前は色恋に乱される人心というものが理解できない、と考えているほどだった。その反動からか、恭一を意識し始めてからは、自分の気持ちが何物なのかを理解するのにも悩み、感じたことのない羞恥や興奮と、恋物語などで得た知識による妄想とを交差させて悶々とする、いわゆるムッツリ的な性質が顔を覗かせるようになっている。また、最初は気にしていなかったが、恋愛感情を持つようになって以来、胸を中心としたスタイルの話題に敏感に反応し、羨望や嫉妬を向けるようになった。

 完全な知識職であり、護身用の短剣こそ所持しているものの、基本的にはトラブルを回避するための飾りに過ぎず、近接戦闘能力はほぼ皆無。ただ、身体能力に勝る相手や危険な生物に襲われた場合への対応策として、臭いで獣を追い払うケイヤキクの実や、目潰しに使われるチコハグの卵の殻に入れたカプペニヨなどを常備しており、投擲の命中率は高い。また、タグリードに拉致された後、万が一の際は自らの身を守れるようにと、恭一とダマルから回転式拳銃の扱いを学んでおり、アルキエルモでは咄嗟の射撃でファティマの窮地を救うまでに成長している。

 趣味は本を読むことと未知の存在を調べる事で、事務作業なども得意とする。時折、興味を惹かれた物に執着しすぎて、周りが見えなくなるほど興奮することもある。逆に運動は全般的に苦手であり、手先の不器用さについても、母親であるアドーサ・フォン・ロールから家のことは何もできないと言い切られてしまう程。実際、料理や裁縫の腕に関しては、アポロニアとマオリィネが呆れるほど。一方、興味を持った事に対しては努力を惜しまず、ダマルから玉匣の運転を習ってドライバーを担当できるまでになり、拳銃の射撃についても、咄嗟にサンタフェの腕を撃ち抜いてファティマの危機を救う等、結果を出している。

 食事に関しては苦いものが極端に苦手で、魚の内臓やハッキリした焦げ目などは、器用に全て取り除いてから食べる。逆に甘いものは好物であり、恭一にピルクパイを買ってもらう約束を取り付けた時は、無表情のまま両腕を高く上げて喜びを表現していた。

 ホラー系の話が苦手であり、下手に聞いたり読んだりすると、1人で眠れなくなることがある。



 ・ファティマ

 種族:キメラリア・ケット(毛無)

 年齢:17歳(自称、基準歴不明)

 性別:女性

 出身:不明(カサドール帝国領?)

 誕生日:不明(カサドール帝国の雨季頃?)

 身長:158cm(耳を含まず)

 【容姿】

 大きな耳と長い尻尾、金色の瞳に鋭い八重歯を特徴とする毛無のキメラリア・ケット。橙色で先端が跳ねる癖毛の髪は、全身を覆える程の長さと量であり、それを纏めて踵近くまで伸びる三つ編みにしている。体格が均整の取れた女性的なスタイルである一方、大きな目にはまだ幼さが残っており、恭一は健康的な愛らしさがあると評している。ただ、本人は意図して体格を作ったりはしていない。肌の色は少し白っぽいくらい。

 最初は装備の一切がコレクタユニオンからの貸与品で、へそが出る程短い布のノースリーブとホットパンツをインナーとして、上から金属製の胸当てと、スケイルアーマー状のラップスカートを身に着け、革編のサンダルを履いていた。しかし、借金の返済後は恭一と中古の仕立服を選び、革製のノースリーブとキュロットスカートをインナーに、銀色地に赤いラインが走る胸甲と金属小札の腰巻を鎧として身に纏い、靴も革製のデミブーツとなった。なお、へそ出しスタイルを可愛いと考えこだわっており、買い足された革のノースリーブもわざと丈を切り詰めている。

 大ぶりな斬撃武器を好み、長い間数打ちの2振りの板剣を背中に結いつけていたが、借金返済後は斧剣1本となり、失敗作との戦闘で斧剣が破損するとそれもミカヅキへと入れ替わっている。


 【人物】

 リベレイタとして働いていた少女。

 生まれてまもなく捨てられた赤子だったとされ、物心ついた頃には奴隷商ラルマンジャ・シロフスキの商品だった。戦奴を闘わせる品評会や、野盗の撃退などで優れた戦果を上げていた他、幼い頃から商品価値を高めるため、簡単な読み書きと計算も教えられていた。しかし、養育コストも含めたラルマンジャの高い値段設定と、強くても毛無という風評から売れ残り、成人と同時に捨て値でグランマに売り渡され、リベレイタを欲していたヘンメ・コレクタに卸された。

 性格は基本的にマイペース。一人称はボクであり、誰に対しても少し間延びした敬語で話す。嘘を吐くことをせず表裏はないに等しいが、言いたいことを誤魔化さずズバズバ口にするため、周囲を引かせてしまうことも多い。本人が好きな物にはしつこいと語っている通り、お気に入りとなれば人に対しても物に対しても執着やこだわりが強い一面も持ち合わせる。ただ、恭一に拾われるまでの間は、ほとんど私物を持っていなかったため、耳尻尾の毛並みを除けば、へそ出しスタイルの服装と斬撃武器にこだわっていた程度であり、自由にできるお金や物を手に入れてからはこの感覚が一層顕著になっている。特に恭一から貰った斧剣やミカヅキに関しては、宝物と語って大切にしており、斧剣が破損した際には本気で凹んでいた。剣を振るって戦うことを楽しいと感じる根っからの戦士であり、また戦闘行為そのものこそ自らの役目であるとも考えている。そのため、神代の兵器が戦力の中心である玉匣の中にあっては、自分が役立たずのお荷物なのではと悩んでいた。怒った時は尻尾の毛を逆立てながらフシャー! と声を上げ、甘える時は身体を摺り寄せてゴロゴロ咽を鳴らすなど、猫っぽい仕草をすることが多い。また、人間を圧倒する膂力を持っていながら、空中で身体を捻って姿勢を変えられる程に全身が柔軟。

 長い間自分の身すら自由にできない立場にあったため、異性に対する恋愛感情はおろか、キメラリアが持つ発情などと言った身体変化のことすらほとんど知らず、アポロニアに呆れられた程。なお、ファティマは恭一やダマルをはじめとした相手の行動や言動に対し「エッチですね」と口にすることがあるものの、上述の通り性的な知識はほぼ0であるため、漠然とした身体の触れ合いであったり、被服に覆われていなければならない部分の露出であったり、それらによって異性が喜んでいること、という程度の漠然とした理解しかなく、エッチが具体的に何を指すのかはほぼ理解しないまま使っている。同時に、恋人や夫婦が好き合っている事は分かっていても、そう呼ばれることの意味は雰囲気でしかわかっていない。

 恭一に対して人生で初めての発情を経験したことで、それまでの恩義や感謝を昇華させる格好で、急速に異性として意識するようになり、本能的にスキンシップを求める形で直接的な愛情表現を見せるようになっていった。そのため、アポロニアやマオリィネには対抗心を燃やすことが増えた一方、シューニャのことは好きだと語る通り別格に気に入っており、ガーデンからの帰路には彼女に対して嫉妬心が芽生えたことに困惑するなど、親愛を超えた何かを感じている節すら見受けられる。

 戦闘スタイルは、最初こそ素の高い身体能力による力任せなものだったが、ミクスチャに歯が立たなかったことと人間であるロンゲンに押し負けたことの衝撃は大きく、王都に入ってからはマオリィネに剣術を学び、ケットらしからぬ技術を織り交ぜた戦い方をするようになった。また、恭一から800年前の軍隊で用いられた徒手格闘も学んでおり、身体能力の高さも相まって、一旦組みつかれれば師である恭一すら逃れられない程の技量を持つに至っている。

 趣味は寝ることと戦うことであり、自らの寝床に危害を与えられたり、安眠を妨害された時は躊躇わず拳に訴える。寝起きも悪く、仕事が無ければ昼になっても起きてこないことも多い。誰かと一緒に眠るのも好きで、よくシューニャやポラリスを抱き枕のようにしているが、寝ぼけると相手を舐めたり噛んだりする癖がある。奴隷時代に価値を上げるためとして一定の教育を受けており、生活に必要となる簡単な読み書きと計算はできるが得意ではなく、難しい会話だと感じるとよく聞き流している他、家事炊事も人並みにこなせるため、アポロニアが合流するまでは進んでやっていた。また、砥石車で刃を研ぐ作業も気に入っていたが、装備がミカヅキに更新されて以降は不要となってしまったため、家事道具の包丁や握りばさみなどを研いで気を紛らわせている。

 食の好みについては、肉類と魚類、甘い果物等が好物である一方、野菜はあまり得意ではない。ただ、幼少期から奴隷だったこともあり、出された物は何でも食べる。種族的な特徴として、ケイヤキクやメントッカ等のキツい臭いを嫌っており、湿布や薬品の臭いにも鼻をつまんでいた他、耳のよさから雷も大の苦手で、雷鳴が鳴り出すと混乱して隠れようとしてしまう。また、水に浸かることもあまり得意ではなく、入浴にも中々慣れなかったが、生活の中で克服に成功した。



 ・アポロニア

 種族:キメラリア・アステリオン(毛無)

 年齢:20歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:女性

 出身:カサドール帝国領東北部地域のバックサイドサークル

 誕生日:カサドール帝国乾季上旬頃

 身長:136cm(耳を含まず)

 【容姿】

 茶色の瞳に小さな八重歯、厚さのある耳と柴犬のような太い尻尾を持つ、毛無のキメラリア・アステリオン。ボリュームのある赤茶色のミディアムヘアを短いポニーテールに纏めている。アステリオンという種族の中ではそれなりに大柄な部類に入るものの、人種全体で見れば子どもと間違われる程の小柄さであり、玉匣の中では最も背が低い。一方、スタイルは成熟した女性そのものであり、特に胸は本人が自慢とするほど大きく、サフェージュをからかっている姿を見た恭一は、性癖を歪めかねないと危惧していた。肌の色は黄色系。

 元々はカサドール帝国軍の斥候兵装備である、装甲面積の狭いコートオブプレートと黒いホーズに、革の手袋と革のロングブーツという恰好だったが、脱走兵となった後は手袋とブーツ以外を捨て、一時的に恭一の予備だったネイビーカラーの戦闘服をぶかぶかの状態で身に着けていた。ユライアシティ到着後、ウィラミットのコーディネートによって、コーデュロイ生地で作られたタートルネックと帆布製のハーフパンツを色違いで数種類手に入れた他、焦げ茶色のアラネア繊維ダスターコートとブラウンレザーの編み上げロングブーツを身に着ける。

 武装はカサドール帝国軍のグラディウスを所持していたものの、玉匣の捕虜となった際に捨てており、団結する者の戦闘以後は予備の自動小銃を身に着ける他、前哨基地の歩哨から奪った小振りなククリ刀も装備する。また、スノウライト・テクニカ到着後には、対戦車ロケット弾発射器なども状況に応じて背負うようになった。


 【人物】

 カサドール帝国軍、ハレディ将軍麾下第三軍団イルバノ百卒隊所属の斥候兵だった女性。

 両親が失踪したことで孤児となった過去を持ち、幼少期は物乞いとして路上で生き繋ぎ、成長後は日雇労働や下女としても働きながら、生活に必要な知識や技術を身につけていた。その後、食いっぱぐれない仕事を求めて帝国軍に志願し、簡単な文字の読み書きと計算ができることから斥候兵となった経緯がある。

 性格は基本的に明るく活発。一人称は自分であり、誰が相手でも~ッスという語尾を付けてフランクに話す。一方、自身を非力でひ弱なアステリオンと卑下して自信を持てなかったり、世渡りの経験から人の顔色を窺ってしまう癖も持つ。また、命が助かるならと躊躇いなく帝国軍からの離反を宣言し、博打的に玉匣への合流を望むなど、アステリオンとしては意外とも言える軽薄な雰囲気を纏っていたが、これは帝国軍に対して、食うに困らないから所属している、という程度の感情しか抱いていなかったためである。そのため、玉匣を居場所と定めてからは種族らしい誠実さを見せ、ご主人という呼び方に偽りなく、恭一を自らの主と定めて接するようになり、彼の過去と心の傷を知った直後には、自らの恋心を押し殺してでも、重石になりたくないと叫ぶまでに至った。

 恋愛に関しては、過去に気になった相手こそ何人かは居たものの、環境の変化や種族の壁によって自然消滅するのが常で、本気の恋までは発展しなかった。そのため、普段でこそ自分の身体を使ってからかうような挑発的な言動をするものの、素直に返されるとよくしどろもどろになるくらいには奥手であり、内心弱気な性格もあって相手から求めて欲しいという願望が強い。そのため、普段から入念な毛並みの手入れに磨きをかけたり、惚れ薬的な作用があると噂される物に頼る傾向がある。一方、場の雰囲気に呑まれたり、自らに自信が持てない不安から相手の感情を探ろうとして、勢い任せな行動に出てしまうことも少なくなく、恋愛感情には矛盾を抱えている。

 種族的に小柄で軽く非力であるため、長槍や剣による打ち合いは得意ではないものの、斥候兵をしていただけあって身のこなしは軽快で、軍獣アンヴなどへの騎乗も得意とする。中でも飛び道具を扱うセンスには天性の才があり、初めて握った機関拳銃や自動小銃を命中させてミクスチャを牽制したことから、以後はもっぱら神代の歩兵火器を扱う担当として訓練を積んだ。自動小銃による狙撃や車載機関銃の扱いから始まり、パイロットスーツの筋力補助を受けて以降は対戦車ロケット発射器も扱いはじめ、仮想空間による速成訓練を受けた後は、無反動砲や対戦車誘導弾発射器に至るまで範囲を広げている。また、ファティマと同様に恭一から近接格闘術も学んでおり、銃剣を装備した自動小銃での格闘もそれなりにこなす。

 手先が器用ということもあって家事全般を趣味としており、特に料理は自ら味を上げるために試行錯誤するなどこだわりが強く、誰よりも早く起きて食事を作ることすら苦としていない。帝国軍時代から博打も気に入っており、不慣れな相手になら一方的に勝利できる程度の実力もあるが、他を圧倒する程の強さはなく、恭一には本気を出しても歯が立たなかった。毛を持つキメラリアの女性らしく、尻尾と耳の手入れには気を遣っており、日々の入浴や石鹸類を使用していることによって、日に日に毛艶が良くなっている。また、玉匣に属する現代人の中では唯一泳ぐことができる。

 食事の好き嫌いはなく、何でも美味しく食べられることを自慢にしている他、無類の酒好きであり、安酒なら浴びるほど飲んでもテンションが上がるだけで泥酔することはほとんどない。一方、高価な酒には耐性が無く、アチカ・ブランデーを流し込まれた時には失神していた。ファティマ同様、ケイヤキクやメントッカなどキツい臭いの物は苦手としている。また、慣れないと乗り物酔いしやすい体質であり、初めて玉匣が狭隘きょうあいな悪路を走った際は、その振動で嘔吐する程気持ち悪くなっていた。



 ・マオリィネ・トリシュナー

 種族:デミ(人間とキメラリア・クシュ・レーヴァンのダブル)

 年齢:19歳(ユライア王国歴準拠)

 性別:女性

 出身:アチカ

 誕生日:雪解の頃(ユライア王国の初春頃)

 身長:163cm

 【容姿】

 膝近くまで伸びる癖のない黒い長髪と、吊り目に琥珀色の瞳が特徴のデミ。髪の色は母親であるクシュ・レーヴァンの外見的特徴が遺伝した極めて稀な事例だが、デミであることを隠すため、社会的には黒染め趣味の変人ということになっている。ハッキリした目鼻立ちの小顔で、スタイルがよくモデル体型。玉匣女性陣の中で最も背が高い。恭一とダマルからは最初、クールビューティと密かにあだ名された他、女性陣からも美人であると評されている。肌はやや色白だが健康的。

 ユライア王国の女性騎士であることから、白銀色に輝く真銀製ラメラーアーマーとガントレット、装甲ブーツなどを身に纏う。また、鎧下としてウィラミットの手によるオーダーメイド品である、黒染めされたアラネア繊維製のバトルドレスを愛用しており、鎧を必要としない日常や旅装時においても、バトルドレスと黒いロングブーツという形で着ていることが多い。ポラリスを保護した後には、雪石製薬地下研究所に残されていたパイロットスーツも戦闘時に着込むが、体の線が出るのははしたないとして、インナーとしてバトルドレスの下に着用する。

 武装は真銀製で護拳に家紋の刻まれたサーベルを常に帯刀する他、騎乗時には騎兵槍ランスも携えることがある。


 【人物】

 ユライア王国貴族トリシュナー子爵家令嬢であり、ユライア王国軍白色騎士団第2警戒隊を指揮した若い女性騎士。

 トリシュナー子爵家唯一の子だが、人間で正妻だったトリシュナー夫人は生まれつき体が弱く子を成せなかったため、建前上は使用人だったクシュ・レーヴァンの妾との間にマオリィネは設けられ、デミとして生を受けた。ただ、表向きはあくまでトリシュナー夫人の子であったため、黒髪の遺伝は予想外の大問題となった。しかし、急激な体調の悪化によって床に伏していたトリシュナー夫人が、自身の不調を出産の無理が祟ったことを宣言した上で亡くなったことで、貴族社会と民衆を納得させることに成功している。また、トリシュナー子爵がキメラリア好きの変人として知られていたことで、妾の母が乳母となっても疑問は持たれず、幼い頃からの黒染め趣味も、乳母によく懐いていることを理由とできた。一方、自身がデミであることを幼くして理解していた彼女は、成長するにつれ、身分を偽る必要とキメラリアの立場に疑問を抱くようになり、名声によって社会を変えようと騎士に志願する遠因となっている。

 性格は真面目で責任感が強く、それでいて柔軟な思考を持ち合わせる。一方、意地や見栄から空回りすることも多く、重責から逃れたいという弱さも併せ持つ。また、普段は貴族として凛とした雰囲気を纏っているが、予想外の事態に弱く、慌てるとすぐに表面の冷静さが剥がれ、そそっかしい内面が顔を出すため、周囲からは残念美人呼ばわりされることも多い。だが、プライドや恐怖などを振り切ってしまえば芯は強く、土壇場でやり抜くだけの地力を持っている。

 地方都市の出身であることから、王都の貴族と比べて庶民的との距離が近かったことで、貴族らしい金銭感覚や価値観は比較的薄い。またその出自から、チェサピーク伯爵家に連なる貴族と合同し、キメラリアの社会的地位向上を図っており、考え方は一般的な貴族とはかけ離れている。

 王国最強の剣士と名高いガーラット・チェサピークに師事しており、自身も剣の腕に優れた騎士として名を知られる。その腕は、細身のサーベルでファティマの振るう斧剣を弾き、軽く軌道を逸らしてみせる程で、ポラリスの氷で作られた剣を握った際は、ミクスチャの表皮すら斬り裂いていた。剣以外にも騎兵槍やクロスボウを扱うことも出来るオールラウンダーであり、ガーデンでの仮想空間訓練後はクラッカーの音声指揮やポラリスの魔術との連携など、特殊な戦闘スタイルをこなすようにもなっている。一方、年齢が若く戦場の経験や気迫が足りないことから、老齢の猛将スヴェンソン・リッジリーには手も足も出ずに敗北した他、マキナやミクスチャなど力量だけでは対応できない相手との戦いでは、直接戦闘を避けねばならない場面も少なくない。ただ、貴族として教育を受けた聡明さと前線指揮官としての経験から、状況を見渡す力があり、咄嗟の戦術立案によって状況を打開するなど、後方支援役としても優れている。

 趣味は読書や服飾、お菓子作りなど。日常生活においても大体のことはそつ無くこなす一方、やや器用貧乏な所も目立ち、貴族という出自から時折天然な大ボケをかますことも。特に衣類は、他の貴族ほどではないと言いながらも、庶民では考えられない量と種類を持っており、リンデン交易国への旅路にさえドレス数着と控えめな宝飾品を持っていこうとしていた。しかし、服飾も含めて趣味への執着はあまりなく、暇があれば嗜むという程度。

 料理は酸味が強い物を好む傾向にあり、逆に辛味の強いものは苦手としている。また、庶民とは違い様々な料理を口にしてきたことから、味付けなどにもうるさい時がある。大の虫嫌いであり、バイピラーやロガージョなどの大型昆虫から爪先ほどの小さな虫まで、絶対に触れようとせず距離をとり、不意に近づかれると絶叫して逃げだす。また、高所恐怖症でもあるため、防壁上などには極力登りたがらず、翡翠に抱えられて飛んだ時は始終悲鳴をあげ続けていた。



 ・ポラリス

 種族:ホムンクルス

 年齢:10歳(新共通歴準拠)

 性別:女性

 出身:企業連合中央第2州

 誕生日:1月20日(新共通歴準拠)

 身長:138cm

 【容姿】

 大きな空色の瞳を持つホムンクルスの少女。

 あちこちが外側へ跳ねる癖のある青みがかった銀色の髪を、腰あたりまで伸ばしている。成長期ではあるものの、まだまだ背丈は小さくスタイルも幼児体形が抜けきっていないため、女性的な凹凸は皆無だが、全体のバランスで見れば足が長く腰の位置も高め。非常に色白であり、恭一やダマルからは雪ん子と呼ばれることもある。また、遺伝子をほぼそのまま受け継いでいる影響から、顔立ちなどはストリ・リッゲンバッハと酷似する。

 雪石製薬地下研究所の試作型生命保管システムから出てきた際は、薄手のワンピース型検査着1枚という恰好だったが、玉匣及びスノウライト・テクニカで保護された後は、同研究所施設内から見つかった白や紺のセーラーワンピースと白いクルーソックス、フェイクレザーのローファーを主に着用する。なお、これらは800年前時点において、藤堂研究員が彼女に買い与えた物だった。

 遺伝子操作によって発現した魔術を自衛手段としているため、武装は一切しておらず、刃物や銃火器を扱う技術を持たない。ただ、戦闘時には身体能力を補助する目的から、パイロットスーツをインナーとして着用する場合がある。


【人物】

 兵器実験のために生み出されたホムンクルス。

 雪石製薬研究所において、メヌリス・リッゲンバッハの主導により実施された、星の子計画のオリジナルロットであり唯一の成功体。ストリの遺伝子をベースとしてはいるものの、超能力の発現を中心とした有益と思われる遺伝情報も組み合わせられており、多くの部分でストリに酷似しながら、明らかに異なる外見を持つ要因になっているとされる。

 性格は無邪気で明るく素直。好奇心も旺盛で、色々なことに興味を持つ。野菜を嫌がって逃げ出したり、玉匣の姉たちに悪戯をしたりと、実年齢よりやや幼い印象を受ける言動が目立つ。一方、大人っぽい振る舞いやスタイルに憧れる一面も持ち合わせ、唐突にませたことを口走って周囲を驚かせることもしばしば。特に恋愛面では、恭一を未来の旦那様と言ってはばからず、一緒に入浴したいと言い放ったり、不意をついて唇を奪うなど、大胆な行動に出ることが多い。逆にそう言った面で子ども扱いされると怒って拗ねることも。しかし、相手から求められたり褒められたりすることには慣れず、司書の谷で正装のドレス姿をお姫様のようだと恭一に言われた際は、羞恥が先に立ってしまい、顔を真っ赤にして隠れてしまっている。

 元々の開発コンセプトが超能力兵器であり、現代においては魔術師と呼ばれる才能を持つ。その能力は冷気を操ったり氷や雪などを出現させるもので、視界の範囲内であればほぼどこにでも発現させることが可能。また、自身の後方に氷柱をいくつも浮かばせ、相手に向かって射出するような使い方もできる。その威力は一般的なミクスチャの表皮を容易に貫通し、全力を注いだ際には温度低下と凍結によってシンクマキナさえ行動不能にしてみせる等凄まじく、現代の一般的な魔術師は勿論、炎を操ることに高い素質を持つエリネラでさえ全く相手にならない。一方、魔術の行使は肉体的にも精神的にも大きな負担がかかるため、大威力の魔術を行使したり、長時間に渡って展開し続けると、最終的には昏倒してしまう。特に魔術の扱いに慣れていなかった雪石製薬研究所内における戦闘では、1週間近く意識を取り戻さなかった。ただ、ポラリス自身の成長に伴って、限界に至るまでの時間は着実に長くなっている他、威力の細かな加減や氷で作られる物体の精度も大きく上昇しており、履帯のピンやマオリィネの剣を複製するなど、様々な芸当が可能になりつつある。特に液体を触媒にすると魔術の精度が格段に高くなり、巨大なミクスチャの体液を辿って凍り付かせるような技もやってのけた。

 魔術の他、過去の勉学から簡単な神代文字の読解が可能であり、魔術行使による肉体への負担を軽減する目的と合わせて、玉匣の砲手として速成訓練を受けている。その際は、数日でダマルが自信を喪失する程の進歩を見せ、後の実戦においても、弾種を使い分けながらの的確な射撃をこなす等、才能の片鱗を覗かせている。

 日常においては、これぞという趣味こそないものの、何事に対しても好奇心が強く、家事炊事から動物に賭け事、バイクのタンデムや整備作業、果てはマキナの操縦に至るまで様々なことに対して興味を持つ。また、現代において、初めてできた同世代の友達であるヤスミンや、背格好が近く精神年齢もやや近いエリネラと遊ぶことも楽しみにしている。

 食事に関しては好き嫌いが多く、肉や果物、菓子類は好む一方、野菜や茸類は種類を問わず大いに苦手。また、魚類や甲殻類は食べにくいからと敬遠する。しかし、現代では好き嫌いをすること自体が贅沢であるという教育によって、野菜の苦手を克服する努力もしている。

 幽霊や心霊現象なども得意ではないが、怖がりながら楽しむことができるタイプでもある。



 ・アラン・シャップロン

【詳細はイーサセラ・テクニカの同項目を参照】


 ・サラマンカ

【詳細はイーサセラ・テクニカの同項目を参照】

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