第13話誕生日

 アツシが家でいい?と聞いてきた

 もちろんと答えると

 放課後ふたりでケーキを買いに行った。


 アツシが途中で転んで箱ごと潰れた

 アツシはめちゃくちゃ謝ってたけど

 私は

 大爆笑していた、

 道の端でケーキの箱を開けて指で食べた


 美味しいー!と私は言った、

 アツシはホットした顔をした

 私はアツシの口に無理矢理ケーキを詰め込んで、また、大爆笑した

 アツシのほっぺにもクリームを付けて笑った

 2人ともクリームまみれの顔で

 アツシは私にキスをして

 誕生日おめでとう!と言った。

 私は

 すっごい、ありがとうと言った。

 ケーキを食べながら

 アツシの家に行った。


 アツシのお母さんが、 

 花ちゃんのママに

 花ちゃんアツシとクリームだらけで帰ってきたよーって連絡しといたよ!

 ほら写真も送るから

 その2人のバカな顔見せてと。

 アツシのお母さんとママは中学からの友人だ

 ママもアツシくんならって安心しているようだった。



 花!

 誕生日改めておめでとうプレゼント

 はい。どうぞ。


 わー、ありがとう。

 開けて良い?


 すると

 開けて開けて!と、アツシが言った


 開けてみると

 PRADAの財布だった。


 え?すっごい高くない?と私が聞くと


 えっと!俺、短期で力仕事のバイトしました。

 て、誇らしげにアツシが言った。


 嘘〜ありがとう

 私は泣いた。


 私はよく泣くな。とふと、思った。


 アツシは

 プレゼントあげて、泣かれるって1番嬉しいな

 と言った。


 大事にするね。

 そう言った瞬間

 ヒロのチェーンの時の言葉が浮かんだ


 大事にするって言ったからって


 大事にしたい

 その気持ちがよく分かった。

 アツシはまた壊れものを触るみたいに優しく私を抱いた。


 私はアツシに


 アツシ、ありがとうと、真剣に言って

 初めて私からキスをした。


 アツシは照れ臭そうにして

 帰るか?と。

 送ってくれた。


 帰って

 お風呂に入り出てくると


 LINEが入ってた


 ヒロからだった。



 花へ

 happy birthday

 18歳おめでとう


 俺は花に出会えた事に感謝します。

 そして

 叶うならば

 来年もその先もずっと

 花に

 happy birthdayが

 言えますように

 心を込めて

       ヒロ


 私はこの文を思わずスクショした。

 ヒロはアツシとの事を知ってるはず。


 何も聞いてこない

 自分の恋愛事情も話して来ない


 優しいヒロ

 皆んなに優しいヒロ


 だけどこのメッセージは

 特別な気がした。

 嬉しかった。


 でも

 家の中では自暴自棄になっているママに

 嫌気が差して来ているパパがいた

 家に帰って来なくなる日が増えた。

 ママは車椅子でも。すごく美人で

 自慢のママだった。

 私には女神だった。


 彼氏の話し恋の話し、ママにはなんでも話した。

 友達に余り話さないのは

 ママが一番の親友だったからかもしれない

 私は週に一度位のペースでアツシと会い

 後はママと過ごした。


 アツシはお母さんから聞いていたから

 その事には何も言って来なかった。


 だけど

 週一が少ないのは分かってた


 アツシが我慢してるのもわかってた

 だけど私は何より

 ママを優先した。

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