1月25日 障害や困難とは、…(アレックス・ロビラ)

 障害や困難とは、人生においてどんな意味を持つのだろう。ヘレン・ケラーの生涯を思うとき、私は考える。喜びの多い彼女の人生はどんなふうに作り出されたのだろうと。


 ヘレンは生後一歳七ヶ月で病気になり、光も音も奪われた。だが目も見えず、耳も聞こえない彼女は、視聴覚障害者として初の大学卒業者となる。やがて世界的に有名な演説者、作家として、八十八歳で亡くなるまで世界中を駆けまわった。ヘレンは訪れた様々な国の講演で、「本気で望めば、欲しいものを手に入れることができる」と何度も口にしたが、まさにその言葉通りの人生だった。


 献身的な家庭教師アン・サリバンが果たした役割は大きい。ヘレンが大学に通っていたころも、彼女の隣にはいつもサリバンがいた。教師の話すことをサリバンが一字一字ヘレンの手のひらに書いて伝えていった。ヘレンは「サリバン先生の指が壊れてしまうのではないか」と胸を痛めた。幾何学の授業は特に悩ましかった。黒板に描かれた図形はどうすれば理解できるのか。サリバンは針金で図形を作り、そのつどヘレンに触らせることにした。問題は解決した。そうやって、ふたりはいつも努力と工夫を重ねていったのだった。


 ヘレンは語る。


「悲観主義者は一人たりとも星を発見しなかったし、知らない海を航海したこともない。人間の精神へと向かう新しい扉ひとつ開いたこともない」


 ヘレンもサリバンも、力強い楽観主義者だった。


『人生の贈り物』アレックス・ロビラ 訳 田内志文


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