【詩集】はさみでは切れない紙に書いた

清水らくは

夢の十字路


扉を開ける鍵を拾ったから

泥沼も歩ける靴が買えたから

些細なことでもいいから

飛び出してみたかったある朝


いつも見ていたはずの街路樹

昨日も付いていたはずの紅葉

なのに今輝いている

胸に手を当てて息を吸う


儚さは今夢の十字路で

月の影その光を見る

孤独が二つ手をつなぎ歌う

時計の針を袋に詰めた


わからないことがあるうちに

この道だけは踏みしめてみたい

泣きたい日には鏡の中で

踊っていられる夢で笑った


切なさも今夢の十字路で

風の速さで踵を返す

孤独が二つ思い出で回る

さようならは言いたくなかった

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