第77話 1月17日 翔くんとのデート(上)
土曜日になりました。
今日は翔くんと温泉複合施設に行く日です。
「美月、お待たせ!」
私が翔くんの最寄りの改札で待っていると、3分程で翔くんと合流できました。
現在の時刻は8時、と少しだけ早めですが目的地に着くのは約2時間後なのでちょうど開店するぐらいになりそうです。
電車に乗ってから1時間ほど経ちました。
現在2回目の乗り換えが終わったところです。
2回目の乗り換え後、15分ほどで3回目の乗り換えになります。
ここまでだったら1時間15分とそこまで長くはないのですが、3回目の乗り換えで乗る電車が目的地までの時間を2時間に伸ばしていました。
「なんかこっちでは見ないね、45分に一本の電車なんて」
今、翔くんが言った通り3回目の乗り換えからは電車が45分に1本しかこないのです。
さらに気をつけなくてはいけないのが終電が19時で終わってしまうこと。
今回行く温泉複合施設の最寄駅は一つしかないらしく、その最寄駅からですら30分ほどかかるらしいです。
最寄駅とは……って感じですね。
「そうだね。私も電車調べた時びっくりした」
「んー2時間電車乗るのって案外疲れるんだね」
「私も少し腰痛いよ」
それから10時ちょうどに最寄駅に着いた私と翔くんは温泉施設専用バス停でバスを待つ事に。
「バスがあるのは本当に救いだったよね」
「そうだね。でも僕は歩いてもよかったんだよ?」
「もう!そうやっていじめるのはやめてください!」
「あはは、ごめんごめん」
歩いて行けば手が繋げるかも、と思いましたが、それよりも楽さが私の中では勝ってしまいました。
「うわぁ〜大きいね!これが温泉施設だなんて……」
「す、すごいですよね?わ、わ、私も写真で見た時はなんだこれって思いました……」
バスの窓から温泉施設を見て興奮している翔くんは気付いていません。
窓側にすわる私に接近している事に。
「あの、翔くん……ちょっと乗り出し過ぎ……だよ」
「え?…………あ、ごめん」
私の言葉に、振り向いた翔くんの顔と私の顔が急接近しました。
少し動けばキスが出来るんじゃないかってぐらいに……
「はい……大丈夫です」
とてもドキドキしています。
こんな事でドキドキしていては漫画読むときどうするのだと思ってしまいますが、それとこれとは違うのです。
やっぱり翔くんはカッコいい……
施設内に入るとエントランスと受付があります。
建物の造りは1階にフードコートと温泉。
2階、3階に漫画コーナーと岩盤浴エリアとなっていました。
2階より先は専用のタッチカードが必要で一人一枚渡されるようです。
「最初どうする?」
受付を済ませた後に翔くんから質問をされました。
「そうですね〜……最初はお風呂に入りますか。それから専用服に着替えてここに集合って事で!」
「オッケー!わかった!」
「はい!では、後で」
そう言って私たちはわかれました。
(ふぅ〜いい気持ちでした。先に出てきたのは……私ですね)
どうやら翔くんよりも早く出てきたみたいです。
私は髪の毛とかは濡らしたくなかったので体だけしか洗っていませんからね。
やっぱりこう言うところでも、一人でいると目線を感じますね。
最近は翔くんといる事によって気にしなくなっていたし、実際見られることは減ったかな、と思っていたのですが……
そう思っていると、2人の男性がこちらに近づいて来ました。
(あ〜これは絶対そうだ。こんな事本当にいつぶりだろう)
「お姉ちゃん可愛いね!1人なら俺たちと遊ぼうよ」
こう言う人たちって心から馬鹿だと私は思います。
だって明らかに私は誰かを待っているじゃないですか……
「いや、1人ではないですし、仮に1人だったとしてもあなた達とは遊ぶことはしませんよ」
「そんなこと言わないでさ〜ほら行こうよ」
そう言って1人の男性は私の手を掴んできました。
「ちょっと……手を離してください」
なんでこんな所でこんな大胆な行動ができるのでしょうか。
私がいくら手を振り解こうとしても離してくれません。
翔くん助けて……
「美月お待たせ……って何してるんですか」
私の願いが届いたのか本当に翔くんは来てくれました。
「何って逆にお前こそなんだよ」
「ほら、お前みたいなやつはあっち行ってな」
連れが来てると言うのに、この人たちは一向に私から手を離しません。
翔くんはと言うと……私は翔くんを見て息を呑んでしまいました。
なぜなら、いつも優しいオーラ全開の翔くんがとても怒っていたから。
「とりあえず離してもらってもいいですか。貴方達みたいな人が美月に気安く触って言い訳がないんです」
そう言って私の手を握っていた男性の腕を翔くんが握ると、男性の手は勝手に離れていきました。
「お、おいなんで勝手に」
何かしたのは翔くんなんだろうな、と思いましたが私には何がなんだかわかりませんでした。
「なんでこんな奴にお前やられてるんだよダッセェーなー」
そう言って今度はもう1人の男性が翔くんに殴り掛ろうとしました。
「翔くん危ない!!」
私はそう言いながら翔くんが殴られる所を見たくなくて目を瞑ってしまいました。
"ドンッーーー"
次の瞬間聞こえて来たのは、殴られたにしては重そうな音でした。
恐る恐る目を開けると、目の前に立っているのは無傷の翔くん。
倒れているのは先程声をかけて来た2人の男性でした。
何故こうなったのかはわかりませんが、翔くんが2人から私を守ってくれた事だけはわかりました。
私はその瞬間、翔くんに抱きついていました。
「翔くん助けてくれてありがと!!」
「み、美月!?……うん、僕の方こそ遅くなって、怖い思いさせてごめんね」
「うんん、大丈夫。翔くんが来てくれたから」
「そ、それでいつまでこうしているつもりなんだい……」
「もう少しだけ……」
そうして騒ぎを聞きつけたスタッフが駆けつけて来るまで私は翔くんにぎゅーをしていました。
「本日は私たちの目が行き届かず誠に申し訳ありませんでした。お詫びと言ってはなんですがこれは3階で使えるドリンク1本無料券、お二人分ですのでお使いください」
「いや、悪いのはこの人たちだと思うのですが、でもここはお言葉に甘えて頂いておきますね」
恥ずかしくなったので今はぎゅーではなく手だけを繋いでいる私は、無料券をもらっておく事にしました。
そして今は階段に上がっている途中です。
手はもちろん繋いだままにしてもらっています。
「あの……先程はどうやって男性2人を倒されたのですか??」
「あ〜それはね……」
私が翔くんに聞くと、昔、妹を守るために合気道を習っていた事を教えてくれました。
翔くんって強者だったのですね。
今回の事で私はまた一段と翔くんのことが好きになりました。
翔くん大好き。
そろそろ階段を登り終わります。
そしてその先が漫画コーナーと岩盤浴エリアになっているのです。
"ピッ!"
"ピッ!"
2人で持っていた専用タッチカードをかざして中に入ります。
タッチカードのイメージ的は駅の改札みたいな感じです。
早速私は翔くんの手を引っ張り、漫画コーナーに連れて行きます。
漫画を取る前に場所取りをした方が良いとインターネットに書いてあったからです。
「すごい広いね!美月?そんなに急いでどこに向かってるの」
「いいから、とりあえず着いて来てください」
そして、半個室エリアにやって来ました。
ちょうど一つだけ空いている場所があったのでそこを直ぐにとりました。
「今日私たちが漫画を読む場所はここですよ!!翔くん!」
私がそう言うと、
「こ、こんな狭い所をふ、2人で……」
「はい!いっぱい漫画読みましょうね!」
「う、うん」
ふふ、とても動揺していますね。
どうにかハプニングもありましたが漫画コーナーのこの場所を取ることができました。
さて、ここからがデートの本番です!
頑張って行きたいと思います。
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77話読んで頂きありがとうございます!
少し急いでいる感じがでてはいますがこれでもゆっくりな方だと思っております。
まだまだ夜ちゃんのデートはこれからです!!
あっという間に総合PVが17万を突破致しました!
日を重ねるごとに読んでくれる読者様が増えている事に私はとても嬉しいです!
本当にいつも読んで頂きありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。
コメント、応援、いつもしてくださりありがとうございます。
とても励みになっております。
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よろしくお願い致します。
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