冒険者生活編
第13話:混乱と冒険者
僕はソラ。
変わらず10歳だ。
学院へ行くまであと4ヶ月くらい。
つまり年を越したのだ。
ということであけましておめでとうございます。
年越しまで超越魔法の{深淵}で訓練して既に実力はXランクでも通用するだろう。
なので冒険者になることにした。
この世界にも冒険者ギルドは存在していて、Aランクにでもなれば未開の地へ派遣されたりと、冒険をする者として活動できるようだが、それまでは民間の警備隊のようなものだ。
冒険者ギルドの本拠地はブレイトシス皇国の首都にあるが、支部は世界各地に存在する。
ただしカタスティックと魔大陸にはないようだが。
本拠地がブレイトシスなだけあって権力は絶大だ。
戦争には一切関与しないらしいし、冒険者が参加するのもグレーらしい。
平和の国と言われるところが本拠地なのだから仕方ない。
ちなみに我らがユニティ魔導帝国は世界で一番の国だ。
前界で言うとロシアとアメリカと日本を吸収してできるくらいには。
それだけすごいのだ。
だからか、帝国の首都、いや帝都には冒険者ギルド副本拠地が存在する。
帝都は三重の壁で囲われており、一番外の壁の内側が平民街、その内側が貴族街、中心が魔導街だ。中心は研究施設や皇帝の城がある。
ギルドはさすがに平民街にあるのだが。
「よし。着いた。ここが異世界の夢と希望とテンプレの冒険者ギルド……!」
と目を輝かせる。
貴族に生まれたが、前界の影響で憧れはあったのだ。
貴族でもなれるとあればやるしかない。
「しっかし大きいな……」
大きさは4階建てのアパートくらいはある。
普通に大きい。
「よし」
深呼吸をして扉をあける。
そして「新規受付」と書かれた板を見つけると、そこへ向かう。
「いらっしゃいませ。新規受付ですね?」
「はい」
「それではこの板に名前と、できることを書いてください。出来ることは嘘でなければ何を書いても構いません。あ、代筆は必要ですか?」
「いえ、大丈夫です」
そう言って板を受け取る。
「名前は……フルネームでいっか。
ソラ・マーク・クロノス、と。
出来ることは……正当な評価が欲しい。過小評価されないように書こう。
超越魔導が行使できます……と。
次に……剣術だな。よし。
あとは肉弾戦?でいっか。(生命昇華持ってるし……)
よし。書けました」
「わかりました。確認させていただきます。
えーっと……!? ん! ……ふぅ……
か、確認ですけど、嘘はついてないんですよね!?」
まあ驚くのも無理はない。でもさすがプロ。
驚きの表情はあったが大声は出さなかったようだ。
テンプレにはならなかった。
どっちでもよかったけど。
「はい。嘘はついてないですよ。というか名前見ました?」
「え? あ~って! クロノス侯爵家の方なんですか!?」
「そうですよ?」
「う~ん……でもどっかでクロノス侯爵家の三男がとんでもない才能を持っているって聞いた覚えがあるような……すみません。一回ギルマスに確認してもいいでしょうか?」
「ええ。構いませんよ」
「では着いてきてください」
そう言って受付嬢は歩いていく。
一階は受付、二階は依頼置き場、三階は職員スペース、四階はギルマスと副ギルマスの部屋がある。
つまり四階へ行くわけで。
つまりは注目されるわけで。
「おい……なんだあの子供。受付嬢に連れて行かれてるけど何なんだ?」
「知るかよ。なんかやらかしたのか?」
「いや俺に聞くなよ」
なんて会話が聞こえてくる。
残念僕は五感が鋭いのだよ(キリッ)
なんてことを考えているうちに着いた。
3回ノックして、
「失礼します。アンリエッタです。確認させていただきたいことがございます」
そう言うと
「入れ」
と少し渋いおっさんの声が。
ドアを開けると
そこにはガタイのいいおじさまがいた。
「座りたまえ。それでアンリエッタくん。確認したいこととはなんだね?」
「この少年が新規受付に来たのですが、
名前がソラ・マーク・クロノスと書いてあり、
出来ることに
超越魔導と剣術と肉弾戦と書いてあったのです。
服装は上等なものですがにわかには信じがたく……」
「ほう。そうか。面倒くさいことは嫌いだ。クロノス侯爵家の邸宅に行くとしよう。それでいいかね?少年。嘘というなら今のうちだが……?」
「いえ。大丈夫ですよ」
「ほう?そうか。それじゃあ」
多分「行こうか」と続くのだろうが、その言葉は発されることはなかった。何故ならノックが3回響いたからだ。
「失礼します。ジェシカです。クロノス侯爵家から書簡が届いております」
「何?内容は?」
「はい。そのまま読み上げます。
『今頃ソラと名乗るクロノスの名字を持つ少年が向かっただろう。
それは本当にクロノス侯爵家の子息で間違いない。
髪色は黒く目の色は青い。そして超越魔導が行使できると書いたりしたのだろう。信じられないかもしれないが本当だ。』と」
「見せてみろ……なるほど。確かにこれは本物のクロノス侯爵家の紋章だ。間違いない」
「これで証明出来ましたか?」
「ああ。出来たよ。疑って申し訳ない。許してくれ」
「構いませんよ。それを見越してお父様に頼んでおいたわけですし」
「それじゃあ冒険者になるための試験を行う。着いてきてくれ」
「はい」
こうしてテンプレな感じとなって冒険者生活が始まろうとしていた。
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