第14話 体育はやっぱりブルマ!?

 この世界の体操着はブルマ何なのか?


 制服はこちらとそんなに変わらなかったわけだし、やっぱりそうなのかな? 

 それに、この世界には遊びで来ているわけではない。


 任務で来ているわけだから、流石にそんな冗談みたいなことはしないだろう。

 一応、着替えておくか。


 この世界は魔法の『デザイン』で衣装チェンジするに違いないから、更衣室とか無いはずだ。

 

 いや、覗きたいとか、そういう目的ではない。

 ここでしか着替える場所がないということだ。


 俺は制服を脱ぎブルマに着替えた。

 俺が小学生の時はもう短パンになっていたから、実際見るのは初めてだ。

 

 まさか自分が履いたやつになるとは思わなかったが。

 服をブルマの中に入れる方がいいのかな? いや、出す方がいいのかな?


 というかこれエロいなぁ。もし学生時代に女子がブルマだったら、楽しみが増えただろうに。だから滅びたのかな?

 

 さてと、そろそろグランドに行かなくては……。

 うーん、でもこれで外に行くのは恥ずかしいな……。


 よし、この上から制服着よう。


 しかし一方では、魔王軍が人間を滅ぼそうとしている状況なのに、ブルマがエロいとか恥ずかしいとか言ってるのは、かなり温度差があるよな。

 

 それは『討伐隊』が陰で頑張ってくれてるお陰かもしれない。

 俺も組織で影ながら守ってきたんだから、この世界では守られる側で、平和に過ごしたいね。



 俺はグランドに出る直前で、制服を脱ぎ木陰に置いて授業に出た。

 

 参加者は15人ぐらいで、今回一番少ない人数だ。

 男女比率はちょうど半分ぐらいで、分かれてやるようだが。

 

 しかしここでも俺は注目を浴びてしまった。

 なぜなら、ブルマは俺だけだったから。


 あいつら、本気で任務を舐めていやがる! 帰ったら説教だ!!


 みんなの服装は、男も女も質素な半袖短パンという感じだ。

 当然だが、男子からは離れた所からガン見され、女子は物珍しそうに俺の周りに寄って来た。



「ねぇ、これあなたが『デザイン』したの? 初めて見るよね」

「あ、う、うん」



 一応、適当に答えたが、女子達に囲まれて逃げられない。



「いいなぁ、可愛いいなぁ。ねぇ、もっと見せて。いいでしょう?」

「いや、あ、あんまり見られるのも」

「あたしも見せて!」

「私も!」



 やばい、バーゲンセールの争奪戦みたいになって来たぞ!



「私も見たい!」

「なんか触り心地いいね」

「おい! 触るな! あっ」



 いつの間にか俺は女子7人に『襲われていた』と、言っても過言ではない状況になってしまった。

 

 中には脱がそうとしてきた子もおり、みんなブルマというものを詳細に調べていた。

 

 そして、暫くすると、女子達は指先に魔力を集中し始めた。



「デザイン!」



 すると1人が『デザイン』と魔法を使うと、俺と同じブルマ姿に変わり、残りの女子も次々とブルマ姿になっていった。

 

 これで俺1人が目立つことはなくなったから、良かったとすべきだが、男子の視線は凄いものを感じる。



 キン、カーン、ポン


 

 授業が始まり校舎から、40代ぐらいの男性がやってきた。どうやら、先生は1人でただ男女に分かれているだけのようだ。

 

 

「おっ、あ、俺はBランクのドンボだ!」



 今、女子達のブルマ姿に動揺したな。



「いいか! この授業では魔法は一切禁止だからな!」

「「えーー」」



 他の生徒は大ブーイングだが、俺にとってはその方が助かる。



「魔法ばかり頼ると体力が落ちるからな! 俺なんか腕立て伏せ5回は出来るし、ランニングも300メートルは走れるぞ!」


「ぶっふふ、腕立てが5回で、ランニング300メートルって」



 俺は思わず吹き出してしまった。

 あれだけ啖呵たんか切って、腕立て伏せ5回は笑うだろ。


 しかし、そう思ったのは俺だけで、先生は少しご立腹のようだった。



「なんだお前は? 腕立て5回がそんなにおかしいか? 5回だぞ! それにランニング300メートルだぞ!」


 「いや、あの……」



 頼むから5回とか連呼しないでくれ、笑いを堪えられなくなる。

 しかしなんだ、この世界は5回出来ることが凄いのか!?


 

「分かったぞ! 俺が5回も出来ないと思っているんだろう!?」

「いや、あの俺じゃなくて私は、1回も出来ないから、5回も出来る人いるのかな? って」



 俺は咄嗟に先生に合わせて、そういう風に言うと、先生は得意げな表情に変わった。



「がっはっはっはー! そうか、そうか、分かるぞ! では見せてやるか! 腕立て5回やる所を!」



 先生は頼んでもいないのに、腕立て伏せの構えとり、もの凄い声を出して気合を入れた。



「ぬぅぅぅぅぉぉおらー!!」



 俺はこの滑稽な光景に、笑いを堪えるのに必死だった。どんな罰ゲームだよ!




「はぁ、はぁ、どうだー!! 凄いだろー!! 今日は調子が悪かったから4回だったがなー」



 5回すら出来んのかーい!! って、心の中でツッコミを入れたが、周りは違った。



「先生ー、凄ーい!!」

「がっはっはっはー! とりあえずお前らも1回やってみろ!」

「えーー無理だよ!」



 どうやら、1回でも出来れば凄いみたいだけど、大丈夫か?


 男子は辛うじて1回出来たようだが、女子は全滅だった。俺も周りの女子に合わせて1回もやらなかった。



「じょ、っじょ女子は全滅か! 気合が足らんぞ!! もっと集中しろ!」



 お前もまだブルマに動揺してるじゃないか!



「よし、今度は20メートルランニングだ!」



 すぐ終わるだろ!



 ……。


 ……。


  

 こうして、今日の授業は終わった。

 

 体力トレーニングというよりは、リハビリをしている感じで、ここの世界の人の体力無さには本当驚いた。

 

 何でも魔法でこなしていくせいだろう。



 俺は制服に着替え寮に戻ることにしたが、まだ時間もあるし、これからについて一度考えを整理しようと思い、校舎の屋上に向かった。

 

 ここからの眺めは周囲が見渡せるな。

 しかし、もう少し柵を低くしてくれたら良かったのに。

 俺が小さいからだけど。

 

 気がつけばもう夕方だ。

 

 時計が無いせいか、時間が経つのが早いような気がする。

 朝食で食べた『ジュレ』の腹持ちがいいのか、腹もあんまり減っていない。


 さぁ、これからどうするか?

 ここならゆっくりと考えれそうだ。


 今回の任務の1つ、この世界に逃げた魔法使いの調査だけど、向こうは俺が美少女になったことを知らないから、バレる心配はない。


 それに、Sランクだから普通に過ごしていても、そのうち分かるような気がする。

 

 そしてもう1つ、俺が魔法を使えるようになる事だ。

 この世界にいる以上、魔法が使えなくては生きていけない。

 

 しかし、魔法を使えるようになるには、魔法使いに『起動』という魔法? をしてもらわないといけない。

 

 今、それを頼めそうな魔法使いはミルネしかいない。

 問題はどうやって頼むかだ。


 俺は一応、Cランクの魔法使いになっているのに『起動』をお願いするのは矛盾する。

 だから、なんか理由をつけて頼む方がいいだろう。

 

 例えば、魔力の調子が悪いからもう一回起動して欲しい。

 そう再起動……なんかパソコンの再起動みたいだな……。



 それにしても日が暮れると寒いな。部屋に戻るか。


 俺は考え事をしながら部屋に戻りドアを開けると、部屋の中はミルネの魔法? なのか明かりは付いていた。


 もうミルネは部屋に帰っていて、俺の姿を見るとこっちに寄ってきた。



「マユリン遅い! 夕食待っていたのに!」


 

 よし、今晩中にミルネに起動してもらうぞ。

 そして俺は魔法使いになる!

 

 

「マユリン?」

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