353 不妊処置の問題
こんにちは。
ニュースで、障がい者の赴任処置についてのニュースを見たのですが。
これは正義を振りかざすだけでは解決できない難しい問題だなぁと思いました。うちの家族もだれもこのニュースを見て言葉を発しなかった。障がい者がいる家庭において、善悪だけでは片づけられない問題であり、複雑な思いがそこにあるからだと思う。
当たり前の話ですが、誰もが平等に差別なく、子を成したいと思えば子供を産み育てる事が出来る状況が正しい世の中だと思います。それが大正解で大前提です。ただ、その正論を大声で言えない境遇の人たちもいるのです。
そもそもの話ですが、障がい者はお薬を日常的に飲んでいる確率が高いです。臓器が悪い事も在れば血圧の問題やてんかんなどの発作を抑えるお薬を飲んでいる事も在る。それを中止することはほぼ不可能に近い。生命を維持するために飲んでいるお薬なので。そんな状態で妊娠をする事を推奨は出来ないでしょう。発達障害などが無かったとしても、心の病気の治療やがん治療している人たちだって、お薬を飲み続けている間は妊娠を避けている。
確かにこのニュースの問題は、不妊を拒否した場合のペナルティーや避妊手術などを強制したかの問題ではありますが、望んでいようがいまいが、妊娠を自分たちでコントロールできない状態にある場合、どうしたらいいのだろう。
障がい者の子供を持つ親は、もし自分が子供よりも先にこの世を去ってしまったら、この子はどうしたらいいのだろうという恐怖をいつも持っている。私も、障がい者だった妹よりも親が先に亡くなったら、私が妹の面倒を見ないといけないと、口に出したことはないけれど、子供のころからずっと思っていた。障がいの種類や程度によって自立の度合いは様々だと思うけれど、自立がまず無理な子だった場合……妹はまさにそれでしたが、そういう場合、ずっと未来に不安を抱えることになります。現在も不安なのに。
そこに孫が加わったら、もうどうしていいのか分からない。生まれた子が障がいを持った子だったとしても、障がいが無い子だったとしても。そして、子供を産むことに母体が耐えられるのかという不安もある。まだ見ぬ孫よりも、自分の子供の命の方が心配なのは当たり前だと思う。
妹がもし、施設に入り支援を受ける事でギリギリ自立が出来る障がい者だったとしたら……私はきっと妹には子供は産んでほしくはなかったと思う。
だれが生まれた子供の人生に責任を取るのか。もちろんその人の人生はその人自身ものだけれど、責任を本人に譲渡できるまでの間は、愛情を注いで育てないといけない。それぞれの家庭にそれぞれの当たり前があっていいとは思うけれど、その子が世の中で取り残されない程度の世界を確立させてあげないと、誰が苦労するかは明確なわけで。障がいによって出来ない事を補てんできる人(あるいはシステム)が周りにいれば、成立するかもしれないけれど、それは簡単な事では無い。親にも寿命があり、兄弟にも人生がある。子供の成長は24時間待ったなしなのだ。それが成人するまで。ヤングケアラーを作るのは問題外。
たしかにこの問題。正しい事は何であるかは明白なのだけれど、問題は複雑です。ただ正義を振りかざして悪だと決めつけた仕組みをタコ殴りしたらいいと言うわけでは無い。正しい事を実行するべきだと言う人たちは、正しい事が出来るためのシステムをいばらの道だとしても提示して作らないといけない。そして、その過程で、色んな人がこの問題を考え、議論し、理解を深めないといけない。
人権を守るという事は、もしかしたら誰かの人権や満足や我慢を綱引きのように引っ張り合う状態なのかもしれない。避妊手術を相談の上に提案した職員さんだって、唇をかみしめながら血の涙を流す思いで言ったのかもしれない。軽々しく報道して、軽々しく人を悪人にしてはこの問題はダメになる。せっかく世の中に石を投げ入れたのだから。
一番いけない事は、入所者さん達のことを思って働いている人を働け無くして、利用者人たちが困るような事態になること。
みんな、ちゃんと考えて欲しいな、と思うニュースでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます