199 届いたハガキ
こんにちは。
先日、一枚の絵ハガキが郵便受けに届いていました。出かける前に気が付いて、私宛てだったので抜き取って確かめると、オーケストラ公演のお誘いDМでした。
毎年開催されているオーケストラ公演で無料なのです。二度ほどお邪魔した事があるのですが、プロの公演では無いものの、目の前で揺らした空気の振動が音圧となって体全体を震わせるというのは、迫力があり気持ちがいい。年々有名になってしまって、お客さんが増える一方だったのですが、コロナ禍で色々大変だったことでしょう。
息を使う系の楽器は練習だけでも大変でしょうしね……。音の大きさと感染対策。個人練習も合同練習もそれぞれの理由で大変だろうし。それを続けていらっしゃることに頭が下がります。
そして私はそのDМの絵柄面を見て笑顔になりました。なぜなら、そこに会いたい人が写っていたから。
絵柄面は、お決まりで昨年の公演の様子とメンバー勢ぞろいの写真が使われているのですが、そこに私の会いたい方が写っているのです。会いたい人はフルート奏者のおじさま。私が前に一緒に働いていたおじさまです。
とっても良い方で、そのコンサートに初めて行ったのも、私がバンドをやっていたり音楽が趣味と言うのが共通しているから誘ってくれたのがきっかけでした。
もし私が同年代で若い頃に知り合っていたなら、こんな優良物件(言い方……)はいない!と言うくらいの人格者で、しかも元イケメン。今はイケおじ。性格は穏やかで物腰も柔らかで、奥さんが遅いと自分が当番でなくても夕食を作ってくれるし、趣味はフルートと鮎釣り。絵を描くのも趣味で、頼まれた用事は傍から見たら面倒だなぁ~と思う事も、想定していたこと以上の仕上がりでこなしてくれる。しかも、男手は必要ですからね、と。……優しすぎる。人の悪口なんて絶対言わないし、それに加齢臭が全くしない!(そこ?)
まぁとにかく、やさしいイケおじを絵にかいたような方で。
その頃、みんな仲が良かったからなぁ、お互いを労わりあっていたし、本当に良い職場でした。職場は人ですよ、ほんと。そんな良い思い出の中の一人なのです。久しぶりにお顔を拝見して、自然に顔がにっこりしてしまいました。
今年も出演されるのかなぁ。だったら行きたいなぁ、会いたいなぁと。
彼は一度、色んな事情が重なって職場を退職し、楽器屋さんに勤めたのです。数カ月たった頃、偶然町で出勤途中の彼と出会った時も、二人とも嬉しくって手を握って「お久しぶりです!」「元気にしてましたか?」とキャッキャしました。その時、楽器販売のノルマなど色々辛い事があったようで、もともとスレンダーだったのに痩せられていて心配しました。
それから半年ほど経ち、私は出会った時の記憶もあったのか、彼が職場に戻って来たいと言っている夢を見たのです。そして、それを同僚のような上司様な(絶妙な間柄なのです……)に伝えると、聞いたその流れで、即座に彼に電話をかけて職場復帰になりました。彼もそろそろ限界で、戻りたいと思っていたそうです。
従業員からもお客さんからも評判がいい彼が戻ってきてくれたことは、職場的にも良い事でしたが、また縁が繋がったことが、私個人として嬉しい事でした。心が豊かになると言うか……プラスのエネルギーを人に与えられる人って、なかなか出会えるものじゃないですからね。人版パワースポットです。
あぁ、本当に会いたいなぁ。またみんなで食事に行きましょうね、と言っていたことも、なかなか実現できずにいるので、後ろめたい気持ちもあり……その辺りは少し複雑ですが。
人はグイグイと行ったっていいような場面で、変に相手の環境や都合を考えすぎて遠慮して音信不通になってしまったりするものなんですよね……
彼と、あと二人一緒に働いていた人を誘って食事に行きたいなぁ。他は女ばっかりで嫌かなぁ。
写真付きのハガキというと、年賀状が代名詞みたいなものですが、今回本当の意味での「写真付き年賀状(はがき)」の良さが分かった気がします。
会いたい人の顔を、笑顔を見る為なんだなぁって。そして、それを見たら、こんなに心が明るくなる物なんだなぁと。
あぁ、会いたいなぁ。また手遅れになる前に会わないといけない。
あの頃のみんな、大好きだ。
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