95 埋葬
こんにちは。
今月一日に亡くなったインコをやっと土に埋めました。
本当はもっと早くに火葬するとか土葬するとか。何かしなくてはいけなかったんでしょうが、どうしてもそんな気になれなくて。
火葬もペット専門の所へ依頼したら出来るんだろうけれど、鳥って飛ぶために骨は空洞だしほとんどが灰になって無くなってしまうんだろうな、と思うとどうしても……。それ以前に業者に一時的にでも渡すと言う事が出来ないのですが。
歴代のインコの時も、祖母の時にも思ったけれど、体から魂が離れてしまって“死んだ”という状態になる事は最大に悲しいのだけれど、それを乗り越えても、次にやって来るのが体も無くなる、触れる事が出来なくなるという悲しみ。喪失感は、こちらの方が大きいかもしれない。
話しかける対象も、触れる対象も実体が無くなってしまう。
亡骸を四六時中抱えているような事はもちろんないのだけれど、いつもの様におはようとおやすみを言って、頭を撫でて、かわいいと褒めて。そんな当たり前が無くなってしまう。
ここ数日容赦なく季節は進んで暖かくなってきて。保冷剤で冷やしてはいるのだけどそれでも室内で、花に囲まれた状態で置いているものだから、状態が心配なのも事実。
状況は全く違うのだけど「永訣の朝」が頭に鳴り響く。
トシさんは賢治さんにあめゆじゅ(積もった雪)を所望したけれど、もうドライフルーツのイチジクもヒマワリの種も、大好きだったヒヨコのぬいぐるみも取って来てとは言ってくれない。そんな状態でももし、臭いって思われたら彼は嫌がるだろうし、可哀想だなと思ったり。
本当は昨日に埋葬するつもりでしたが、昨日は決心が鈍ってしまって。
今日、奮い立たせて実行したのです。
コットンの白いダブルガーゼを簡単な袋に仕立てて、そこに花と大好きだったドライイチジクとヒマワリの種多めでごはんを入れて、彼もその上に置きました。
うちは庭が無いのですが、屋上で父親が土を敷き詰めて野菜を育てているのだけど、端っこのミカンの木の根元とか絶対に掘り返さないだろうという所に埋めたり、お墓だとわかりやすいように鳥の庭飾りを墓石に見立てて置いたりしているのに、ことごとく掘り返されて来た過去があり……無神経に腹が立ちすぎるので話題にも上げませんが……今回はもう最後の手段で大きめのプランターに土を入れ、そこに埋葬しました。
……自然の道理からは外れてしまっているかもしれませんが。
一応、彼とペアになっていたインコを埋葬したミカンの木を掘り返された後の土を使いました。ちょっとでも残ってくれていたらいいのだけど。(ミカンは別の場所に植え替えられてた……)
向こうで会えただろうか。親分肌の友達に。
親分肌は飛ぶのが上手でアクロバティックな飛び方や着地をする子で、人間だったなら厨二な子だったんだけど、彼はのほほんと育ったため飛ぶのも下手で。よく、同じようにかっこよく壁のちょっとした凹凸(押入れの枠の縁とか)に着地しろって怒られて、失敗していたなぁ……と。合流したなら、また厨二を仕込まれているのかもしれない。
着地に失敗して落ちてしまったりしたのを抱き上げてヨシヨシしていたら、彼はうっとりするのだけど、親分肌が文字通り飛んで来て「人間にそんな事をしてもらうんじゃないっ!」と叱っていた。
親分肌がいなくなってしまった後、私にベタベタだった事を叱られているかもしれないなぁ。
でも親分肌が亡くなって悲しくて体調を崩して、黄色い尾羽を生やしたほどだから許してあげて。
黄色い尾羽は二本でした。
これは世界中で彼だけの特徴なので、一本だけ、最後に私が頂きました。
あぁ、今晩から触れられなくなったんだなぁ。
生き物って、スキンシップがとても大切だと実感します。
針金の人形に抱き付かせて育てたサルと、タオルなどの柔らかい布を針金人形に巻き付けたもので育てたサルでは、情緒の安定に差が出来たらしいですからね。もちろん柔らかい布の方が情緒が安定したそうです。
触ることが出来るってすごく大きい。
嫌だけど仕方がないですね……これが現実だから。
一年くらい経ったら、クローバーでも種をまこうかなぁ。
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