妹がブラコンすぎて困る。

寧楽ほうき。

第1話 タンスの中の悪魔

 突然だが、朝起きて着替えようとして開けた俺のタンスの中に女性用の下着が入っていたと言ったら、それを聞いた人は信じるだろうか。それも、上下セットのものだ。ピンクで統一されているそれらのデザインには、なかなか感動するものがある。

 サイドにリボンが付いていたり、レースがあったり……もちろんこういう下着を集めるという趣味があるわけではない。

 綺麗に畳まれたやや細めのパンツを広げて天に掲げると、一枚の紙切れがひらりと落ちてきた。

 それを見てみると、可愛らしい字で、使用済みだよ♡と書かれていた。こんなことするのはアイツしかいないんだよな…。


「優香、そこにいるなら入ってこいよ」

「あっちゃー、バレてたかー」

「当たり前だろ……」


 部屋に入ってきたのは、義理の妹の優香。

中学三年生で、超が付くほどのブラコンだ。

 その可愛らしい容姿とは裏腹に、こんなことばかりしてくる彼女は、常に俺の行動を監視しているようで。


「これ、使用済みなんだったらさっさと洗濯機に入れてこい!」


 手の中にあったブラジャーとパンツを優香に投げつけるが、彼女はそれを受け止めて再び俺の手の中に返してきた。

 何故かニヤニヤと不愉快な笑みを浮かべている。


「可愛い妹の使用済みの下着なんだよ…?春にぃだったら、それを使ってナニをしてくれてもいいよ?——それとも、下着じゃなくて私の体で…」


 スカートをゆっくりとたくし上げて、その中身を見せようとしてくるが、俺は慌ててその手を掴んでなんとか阻止した。


「あのなぁ、何度も言ってるが、俺はシスコンじゃないからな…」

「ツンデレな春にぃも嫌いじゃないけど、素直なほうが可愛いのになぁ」


 チラッ、チラッとこちらを見てくるが、俺はそんなことでは騙されない。


「いいから部屋から出てけ」


 優香を部屋から追い出し、下着もその時に放り投げてやった。

——というわけで、俺、高野たかの春斗はるとは超絶ブラコンで変態な妹に困らされている。

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