第2話<夏草と旗>2

「気にする事ないですよ」


心配そうにハカセはフォローするが健太は「よし決めた!昼飯食い終わってから基地で反省会やろう!」と何事も無かったかのように立ち上がった。


それぞれの家で昼食を食べ終えた二人は、自転車で横断歩道下の河原に作った基地に集合した。

およそ河原には似つかわしくないカラフルな赤いソファーに、まるで我が家のようにくつろいだ様子で腰を下ろす二人。


「今日も駄目だったか~」


見込みの無い勝利を悔しがる健太。


「やはり予想どうりの結果でしたね」


満足気にノートを見せつけるハカセに健太は「負けた結果とか、そんな事より一緒に応援しようぜ」と持っていたメガホンを手渡そうしたがハカセは受け取らず「応援しても変わらないですよ、結果はデータどうりですからね」と冷たく受け流した。


「なんでも予想どうりじゃ面白くないだろ」と食い下がる健太にハカセは「僕にはデータ予想の方が面白いですから」と再びノートを見せつける。


「面白いと思うけどな~応援団」


両手を伸ばし退屈そうに背伸びする健太。


「二人では応援団とは言えないですからね」


ハカセの軽はずみな一言に健太は「じゃあ三人だったら良いよな」とまるでかぶりつくように前のめりになって、断る隙を与えない。


「どうせ集まらないですよ」


負け惜しみのようなハカセの一言に健太は「よし!決定~!」とハカセの了承も無いまま一人で納得している。


「そうと決まれば、先ずは団旗と団員募集のチラシだな~」


健太の企みをハカセが白々しく聞き流していると「団員はやっぱり声の大きい奴が良いな」と健太は自分の言葉に頷き、応援団拡大妄想に耽けっていた。


「それよりもさっきからあそこで見ている人が居ますよ」


話しを逸らしハカセが指差す先には、同級生の光久が笑顔で立っている。

河原の周りには基地以外何も無く、普段は人も通らない場所なので二人は不思議そうに首を傾げていた。


「丁度良いや、あいつ応援団に誘ってみようかな」


ソファーに置いていたメガホンを見て思い出したように呟く健太。

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