第10話―四つの前悪10―
ゴーレムとは形を無き物と呼ばれる。
ここに出没する情報にはアースゴーレムの名が記されているが目撃者はそんなに多くは無いとされる。
土の鎧を纏いし巨人をギルドに入ったばかりの青年が一人で討ち果たさんとする。
(まずは基本的なアストラパーツを
アストラパーツの同時並列。
生まれて持った四つの呪い以外にも彼は他のアストラパーツをまだ騎士でいた頃から取得している。
「呪いが発動する前に勝負をつけさせてもらうぞ!」
シザーリオは走り出す。戦闘でおおきな障害となる四つの内どれかが自動発動される前に決着をつけないと死に繋がる。
走る方向は横でも後ろでもなく前。ただ前だけを走り出す。
スピードを優先して構えは解いた走行で。
「はァッ!」
地面を蹴り、シザーリオはジャンプする。飛ぶというより地を
至近距離での
だけど彼は足先に地面があたるスレスレ。、助走と跳躍を加えた一撃を放つのは、
ななめ左からの斬撃。さらに神からの加護である〖猛威〗で物理衝撃を増加させる。
ガンッ、とゴーレムの横腹部には命中はしたが頑丈さに剣が弾き返された。
「やはり…硬いか」
それなりに切れ味のある剣であったが通じなかったことに多少の悔しがることはあったが淡々とすぐ受け入れて次に活かそうと思考を止めない。
ゴーレムの左腕が大きく後方に動く。力任せに叩きつけると読び後ろに飛ぶ。
すると攻撃かけようとすれば
(それでも遅い。完全なる素人の剣よりも速度は遅い)
着地。そして右に回り込んでいき素早く横一文字に剣を振るう。
今度は、弾き返さずに斬撃を決める。
ダメージを与えれたのは足のある狙っていたからだ。その狙い定めた部位は膝の後ろの《
「これで、どうだ?」
「……」
泥人形は喋らない。ゴーレムの重さに足が支えられずに傾き始めて片膝をつくが、それも数秒で重さに耐えきれなくなる。
アースゴーレムはうつ伏せに倒れる。
砂土が舞い上がり大きな音が響き渡り、地面が揺れる。
「倒せなくとも、
距離を取っていた彼は一気に駆け寄ってゴーレムの背中に飛び乗る。
そして残った片方の膝の裏を斬り、
そして
「動こうとしないけど師匠に頼んでトドメを刺すより、ここで倒さないと。
あとは、首だけ。さすがにそこを斬れば起動しなくなるはず」
おもむろにシザーリオは首を斬ろうと歩いていく。人とは違う構成で出来ているゴーレムが手足をくっついて元に戻るという芸当もあるかもしれんと考えた彼はここで完全にトドメを刺すと決めた。
ドン、ドン――大きな地響がした。重い音の発生源は一つだけじゃない。
(足音は…複数?もしかして!いや、もしかしなくとも音の正体は)
視認が出来るところまで見えたときシザーリオは退却するべきだと本能が訴えた。
圧倒的な質量と物量を以て向かう敵は。
「ゴーレムの大群、これを群れと呼んでいいか甚だ疑問だけど…退いてギルドか騎士団に報せに行かなければ」
種族はどれもアースゴーレムのみ。そのアースゴーレム一体でも時間を掛けて、ようやく戦闘不能にさせたのだ。
この数に相手をするには実力不足だと痛感した彼はゴーレムを早くトドメを刺して村に戻ろうと決める。
「はああッ!」
そうと決まればシザーリオは迷わずに即を移る。騎士として学んだ一つに戦いで判断を迷うと、それだけ時間が浪費して失敗することを嫌という程に知っている。
すぐ実行に移る、シザーリオは剣を高々と上げて全力で袈裟斬りをする。
(手応えがある。けど、まだ切り落とせていないッ!!)
これが対人であるなら絶命ではあるが泥人形の場合となれば再起不能と判別するのは見て分かるものじゃない。
あと数回で顔と胴体を分かれること可能かもしれないが確実にトドメを刺すことに固執しない。シザーリオはその場を飛んでクア・レディックに向かっていこうと疾走を――。
「くっ、こんな時に…呪いのアストラパーツが襲うなんて……」
力という力をすり減らしていく神にさえ疎まれて授けられた呪われし加護の一つの
〖
シザーリオは顔を歪める。
誰かが精神に干渉されて
「…動かそうとするだけで限界か。
なら俺がやるべきことはゴーレムの群れを備える必要を報せるより、ここで一体でも倒すことだ」
金属のように重たくなった腕を、なけなしの力を入れる。中段に構えてゴーレムの進撃に反撃を体勢を取る。
このまま待ち構えても激突して終わることは明白、そこで彼はここからでも遠くから攻撃の手段を選ぶ。両手でやっと握れる剣を右手だけで維持、そして空いた左手で手のひらを前に突き出す。
「接近が厳しいなら魔法で迎撃をする」
魔法。ある程度に慣れれば無詠唱を使用され、正規軍ほぼ全員が取得をしている。
手のひらに熱量が増すのを感じて順調に発動を段階に進んでいることに安堵をする。
初級魔法の炎系統を放とうと精神を集中させて、手には炎が生成されていき――消失。
「…ここでも連続の二回目なんて」
最悪のスキルは他にも立て続けに起きる。
生成されていた炎が消えたのは四つの呪われしアストラパーツ一つ〖
魔法を不発させ
シザーリオが魔法の道を諦めたのは、この呪いスキルが頻繁に発動するからだ。
ダメ出しにと魔法の迎撃を諦めて、シザーリオは剣で迎え撃つことにする。
動くのが難がある状態であっても。
「………」
ゴーレムが前腕を振り上げようとする。
彼は横に避けようと身体を動かそうと必死に力を入れようとした。
その巨腕で叩き潰さんと振り下げる。シザーリオは咄嗟にと剣を盾にした。
はげしい衝撃が襲われ得物である剣が吹き飛ばされ、シザーリオの5メートルほど後ろに
地面に落ちる。
「くっ!ま、まずい…」
ゴーレムは拳をゆるやかに引く。もう一方にいた他のゴーレムがシザーリオに体当たりをした。遅いとはいえ助走と圧倒的な巨体であるゴーレムの体当たり。
体当たりとはいえ猛進中に木々を木っ端微塵にしてきた威力。
「ガッ――!」
まともに受けてしまいシザーリオは矢のように吹き飛ばされていく。木の幹にと背中で衝突して吐血をする。
「がはッ!?」
血を吐いて地面に落下した。あばら骨が何本か折れてしまい苦痛に顔を歪めながらもシザーリオは手を地面につけて立ち上がる。
「はぁ、はぁ…さっきので
頭から血が流れている。右目を赤く濡らして視界の一部が真っ赤に入り込む。
また何かの呪いが来る前に、駆け出した。
村の方角ではなく体当たりを敢行した敵に真っ直ぐと向かって。
(たぶん出血量からして長く持たない。村に到着する体力だって持つのか分からない。
尽きるなら一体でも減らしてやる!)
ここで彼は命を捨てる覚悟をすぐ決めた。
これがシザーリオ騎士道の最後の戦い。
「はあああぁぁっ!!」
ゴーレムの胸部に手を伸ばして魔法を放っとうとする。消滅された初級魔法の炎系統を。
今度は、ちゃんと発現して爆炎を起こす。
指向性に設定されたとはいえゼロ距離からの魔法行使なので爆炎に巻き込まれて手を火傷をする。ゴーレムが燃えて倒れると後ろに続く仲間に火が回り巻き込まれていく。
その間にシザーリオは落ちていた剣を急いで拾い上げると突撃をする。
「うわあああぁぁぁぁーーーッ!」
斬撃、刺突、唐竹割り。剣の技を次々と打ち出して乱舞していく。
――数分後には、最後の一体に残ったアースゴーレムをゼロ距離から魔法を使用させて
燃やすのと同時に手にも深刻なダメージを
負う。
「はぁ、はぁ…はぁ。これで最後か…」
過酷な戦いを続けて勝利を飾る。満身創痍で立つのがやっとだった。ここで朽ちることに今になって後悔が襲う。
こんな最後になったことに
音は、後ろに起きている。振り返った彼は自我が崩壊する一方と手前にさせる。
「ははっ、はは!ここでゴーレムドラゴン」
「……」ゴーレムドラゴンは鳴き声しない。
「でも騎士道の物語としては理想的かな。
こんな最後になるのは」
高さはアースゴーレムほど変わらないが、大きさはドラゴンが上回る。
そして血で、どこを濡れているか判別が出来ないほど汚れているシザーリオ。
彼は剣を手にして玉砕を覚悟して突撃せんと一身を捨てようとするが心にあった恐怖心が広がる。彼の中で渦巻き広がりおののく。
「あ、ああぁぁっーー!どうして、こんな暴威に立ち向かおうとしたんだ俺は!?
は、早く逃げないと」
四つ目の負アストラパーツ〖
加護により恐怖心を増幅としていき戦意を落とす効果を持つ。
勇ましい覚悟のシザーリオは、この怯懦を四つ目の善悪の中で恐れていた。
戦いの場で戦意を失うことは死に直結するからだ。どうにか乱れる心を鎮めようとするが収まることはなかった。
恐怖に支配され思考は奪われる。
(うわああぁぁぁぁっーー!?)
「だ、誰か助けてくれえぇぇぇーー!!」
その叫び声に応える騎士がいた。
誰かが飛び込むのを視界の隅から人影が泥の龍に突貫する者がいた。
「ハッアアァァァーーッ!」
飛んでいた少女がゴーレムドラゴンを剣を切りつける。
「とりゃあぁぁっ!!」
気が抜けそうな掛け声を発して逆の袈裟斬りを決めると勢いをそのままに空を一直線で飛んで大上段の構えを取る。
「これで、どう!」
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