106――透ちゃん

 五才の息子がひとりでお風呂に入った。誰かと遊んでいるような楽しげな声が響く。私はそっと聞き耳をたてた。

「ぶくぶく~!」

「ぴゅっぴゅ〜っ!」

 それは先月事故で亡くなった夫がよく息子とやっていた、タオル遊びと手遊び水鉄砲のことだ。私は思わず戸を開けた。

 湯船に息子とは別の波紋が、見えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る