浅草寺観音籤編
御神籤のリセマラは基本NG。とはいうてはりますが、地元の神様にも担当エリアというナワバリがあるものです。
僕の氏神様はおそらく近所の某東照宮。今回訪れたこの地は遠く離れた浅草寺。どちらの神様もきっとお目溢しくださると思います。いいでしょういいでしょう。これは彼の地でも御神籤を引けという神託です。ええ、そりゃあもう。
その前にお参りしておきましょう。遠い地より旅してきた者ですってご挨拶します。早速二礼二拍手一礼です。
さすが浅草寺。周囲は外国人だらけ。こうやってお参りするんですよ、とお手本となるようにお寺の真前で二礼二拍手一礼。堂々としたものです。
旅の同行人が言いました。
「浅草寺はお寺さんだから二礼二拍いらんで」
うお。やっちまった。ま、あっちに浅草神社も併設されてるからいいじゃないか。
浅草寺観音籤
第五十六 末小吉
生涯喜又憂(しょうがいよろこびまたうれふ)
喜びもあればまた悲しみごともあるように、吉と凶が代わる代わるあるでしょう。
解析:禍福はあざなえる縄の如し、ですね。大天使に使役される中天使アザナエルの役目です。中天使は他にもマカナエル、カンガミルがいます。
吉と凶が交互にやってくるようですが、本気の奴らなら凶にさらなる凶を重ねて凶インフレを起こすなんて容易なことです。吉が観測できるだけ幸運がまだ残っていると思いましょう。
最近吉報がありましたので、次は凶報がやってくるのですね。いやしかし前回の中間発表は落選しましたので、順番的には次の中間発表は残るの確定ですね。言ったな。言ったからな。絶対だな。
未老先白頭(いまだおひずまづはくとう)
それほどの年齢でもないのに白髪が目立つのは心労が多いためでしょう。
解析:フサフサですよ。僕はフッサフサですよ。ファッサーファッサーですってば。白髪もほとんど見られません。心労が多いだなんてとんでもない。若い頃から虐げられる環境に置かれていたのでメンタルはメタル級です。大きなお世話ですよ。むしろ多少の白髪も増えて貫禄を増したいくらいです。心労が足りない? そっちはけっこう。
勞心千百度(こころをろうすることせんひゃくど)
幾度も重なる苦労に出会うことでしょう。
解析:そんなひどい言いようありますか?
しかし1,100回の苦労ですよね。さすがに三日に一度は苦労してると計算すると、心労期間は約3,300日。すなわち約9年です。ちょろいちょろい。メタルメンタルに9年の心労などちょろいもんです。気にするほどのことではありません。
しかも先程吉凶が交互に訪れるとおっしゃいましたよね。1,100回の苦労のあとに1,100回の喜びがくるのですか? それとも苦労と喜びがセットになって1,100本ですか? どちらでも構いませんよ。
方遇貴人留(まさにきじんのとどめにあふ)
けれど観世音菩薩や目上の人の助けにより、力を得て末は幸せとなるでしょう。
解析:四コマ漫画ですか、これは。見事なオチです。それにしても御神籤ってやつはどうしていったんドブに叩き落として上から足蹴にしたのちにうやうやしく拾い上げて恩を売るスタイルなんでしょうね。許してしまいそうです。
幸せに到達するのならそれでいいんだけどカンゼオンボサツ先輩まで登場するなんてすごいことです。よほどすごい文芸大賞を受賞できるのでしょうね。なんせカンゼオンボサツ先輩のヘルプっすよ。ゼオンボ先輩ぱねぇ。
願望:叶いにくいでしょう。
おうおう、ズバリ言ってくれますね。こちらは第三回武蔵野文学大賞審査員賞受賞者ですよ? だがしかし文芸賞とやらはささやかな到達目標であり、切実な願望ではないのでこれはありとしましょう。受け入れます。僕の願望は我が県の最低賃金が20ドル/時間を越えることです。叶えてください。
病気:遅くなって治るでしょう。
年齢を重ねるごとに、小さな怪我や傷、軽い胃腸の荒れ具合も完全治癒になかなかの時間を必要としてきます。それは人間という生き物の身体能力の限界というものです。それはもういいです。
治るでしょう、と断言するあたりに自信の程が窺えます。病気や怪我が「治らない」場合、それはいわゆる「死」に直結するでしょう。この御神籤の有効期限である2023/12/31までには「病気は治る」、すなわち「死なない」と太鼓判を押されたようなものです。それなら何ら問題ありません。
失物:出てくるでしょう。
ずいぶんとあっさりしたものですね。
それにしても失せ物とは。海底にミステリーサークルのような立体的な紋様を描き出すアマミホシゾラフグのように神経質で几帳面な僕ですよ。失せ物なんてここ数年思い当たる節はございませんことよ。
待ち人:遅くに現れるでしょう。
以前も言いましたが、僕の待ち人はオタク趣味に大いに理解あるアラブの石油王です。スポンサーになっていただけたら何でもします。だから早く現れてください。なるはやで現れてください。
新築・引越:半吉でしょう。
半吉、ですって? 初めて耳にする単語です。浅草寺調べによりますと、運勢を12段階にランク付けすると第5位が「半吉」となるようです。吉も凶も半々、という意味合いを持つようです。ついさきほど禍福はアザナエルと言ったように、まさしく吉と凶が半分ずつってことでしょう。
それならば引越しの必要はなさそうですね。新築なんてとんでもないことです。凶の運勢が半分ある以上、事故物件を掴まされてしまうかもしれません。
ちなみに半吉のレアリティは約5%ほどだとか。なかなかにレアです。
旅行:一緒に同行する人があれば良い(安全)でしょう。
できれば一人でうろうろ徘徊したいとこですがそうもいきません。同行者のご機嫌を伺いつつ、旅先のマクドナルドでコーヒー飲んだりするわけですよ。
結婚・付き合い:まあまあでしょう。
御神籤で「まあまあでしょう」という意味不明なワードが聞けるとは思ってもみませんでした。まあまあ、ならば、まあまあ、なのでしょう。
「ぼちぼちでんな」って意味でいいですよね。結婚はもういいとして、人付き合いは大事です。カクヨムで知り合えた皆様。こちらの文章を読んでいただいた読み手様、これからもよろしくお願いいたします。
総評:浅草寺にて外国人に混じってジャラジャラと引いた御神籤です。異国の文化に触れるというものは何よりも楽しく、知的好奇心を刺激されるものです。積極的に御神籤を引きましょう。僕の次に引いたヨーロッパ系の人、文章の意味を理解できたのでしょうか。chatGPTに聞いてみましょうか。『ヂピティ』に続く。
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