親なバカ
とりあえず、
「そこで座って、待っていてくれ」
白い子にそう伝えて俺は外に出た。もちろん扉の鍵はしっかり閉めた。5回くらい確認した。これでもかと確認した。
何にせよカネだ。カネさえあればこの世界では願いの叶わぬことはないみたいな事を歌っていた歌手もいるくらいだからカネは重要だ。
走りながら通帳を開く。
残高は家賃分しか無かった。
給料日が来たばかりで家賃分以外は下ろしたわけだが、だが一度、一度だけ記帳してみよう。
無謀な期待を込めて最寄りのATMで記帳を行う。
その結果に俺はATMの前で溜息を吐いた。
末尾には何も印字されなかったからだ。
当たり前だよな。やはり無謀な期待だったか、と思いつつ走って家に帰った。
ひとりでお留守番は高度だったか? まだひとりにするには早すぎたか!? などと走っている間ずっと頭の中で俺が叫ぶ。
近年稀に見る素早い手付きで扉を開き、室内に飛び込み鍵をかける。
指定した場所からミリも動いていない白い子を見て俺は胸をなでおろした。
声をかけようと近づくと白い子は右手をあげた。
「ママから」
その手には茶封筒があった。
「貰っていいか?」
と問うと白い子は茶封筒から手を離した。
中には自己主張の激しいおっさんの似顔絵が描かれた長方形の紙が10枚とクソ
手紙にはクソ
殺さなきゃ何してもいいわよ。
やはりクソはクソだった。でもカネと保険証は有り難く貰う。この子の為に使うんだ。俺は既に親バカだった。
保険証を確認すると白い子の名前はシロとなっていた。
俺が白い子白い子と心の中で言っていたのをヤツが覗いていたからなのか、それともただ単純に白かったからシロなのか。
何でもいいや。この子はシロ、俺の大事な子だ。
でもなんだか俺らしくないな。天使の浄化パワーは強すぎるみたいだ。
あんな神々しい姿を見たら邪念なんて簡単に浄化されるだろう。整いすぎていて襲う事すら忘れてしまう。
こうして、俺は
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