幕間-48 大司教と聖魔法大導師の剣術試合開始宣言
「それでは、ただ今より聖魔法大武道場並びに闘技場にてコヨミ王国騎士団団長金紅・フォン・ゴールド、副団長、アタカマ・フォン・コッパー、騎士団団長令嬢ライオネア・フォン・ゴールド、副団長令息スズオミ・フォン・コッパーの試合を執り行う! なお、今回はここ空中闘技場を地上闘技場へと変更する! これは皆に試合を堪能してもらう為である!」
穏やかながらも耳に残る声で伝える聖教会本部大司教の声に、大勢の観客が歓声を上げる。
観客の大半は騎士団員。
残りが関係者と、騎士団団長と副団長の武勇に惹かれた者達。
士官学校生と学院騎士クラスの学生達も紅潮した表情。きらきらとした目で空中闘技場の中心に立つ大司教と大導師を見つめている。
男女問わず団長、副団長、団長令嬢を応援する者達も。副団長令息の応援も僅かだが存在していた。
共通しているのは皆が観劇の際の様な正装ではなく、活動的な服装であるという事。
万が一の時には流血などもあるという事も理解している者達だ。
ついに始まる。
高揚する観衆の中に、今度は朗々たる聖魔法大導師の声が響いた。
「本日の出場者は、ここに居る聖教会本部大司教と私、聖魔法大導師が選びし魔石殿達に認められている! それ故に防御の道具、鎧は石殿達が彼らに合わせたものである! 存分に称えよ!」
今回の剣術試合、本来の意図は騎士団団長令嬢と騎士団副団長令息の発展的婚約解消の為の剣術試合なのであるが、それよりは騎士団団長対副団長、団長令嬢対副団長令息の実力を示す大舞台とした方が盛り上がる事は間違いない。
真の理由を知っている者もここには多数存在するが、それはそれ、これはこれだ。
うおおっ、わああっ、という歓声がこだまする。
「本日はコヨミ王国第二王子殿下、第三王子殿下、第三王子殿下のご婚約者筆頭公爵令嬢殿並びにそれぞれの召喚獣殿、ダイヤモンド階級取得者ハンダ-コバルト殿ご一家、竜族カバンシ殿にもご観覧頂く! 本日は出場者の為の日故という皆様方からのお申し出からご挨拶等は頂戴せぬが、斯様な方々の尊い耳目が存在することを自覚し、正しい態度で観覧する様に! 警備の総責任者は騎士団魔法隊隊長にして上級大将閣下たる千斎・フォン・クリプトン殿、現場を巡回される責任者は第三王子殿下の伝令鳥にあられる! むしろ捕縛をされたい、などと願わぬ様に!」
大司教が次々と高名な方々のお名前を挙げていく。
その為、一瞬、空中闘技場は緊張感に包まれたが、最後の部分で大きな笑いが起きた。
そこへ、大導師が皆が待っていた言葉を投げる。
「続いて、空中闘技場を地上闘技場へと展開する! 多少の振動を感じるかも知れぬが、心配は無用!」
聖教会本部の総代表と大陸一、ともすれば世界一の聖魔法使い。
その二人が空中闘技場底部への魔法貝への魔力注入を開始した。
膨大な魔力量だ。会場全体が唸りを上げているかの様。それなのに振動は感じるかどうかという些細なもので。
もう少しだ。
大歓声と共に、観客達は手に汗を握り始めた。
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