なぜなに異界転生譚

長串望

こちらのエピソードは「異界転生譚ゴースト・アンド・リリィ」内において、「なぜなにゴスリリ1」として公開された文章と同じ内容です。

すでにお読みの方はお気を付けください。






 おはようございます。会えなかったときのために、こんにちはとこんばんはとおやすみなさいも。

 作者の長串望でございます。ながくし、のぞみと読みます。

 いつも『異界転生譚ゴースト・アンド・リリィ』並びに異界転生譚シリーズを応援いただき誠にありがとうございます。

 今日は名前だけでも覚えていってね。


 本編を期待された方には申し訳ありませんが、番外編どころか解説編でございます。

 登場人物紹介とか設定解説とかうっとうしいし背中がもぞもぞするという方は読み飛ばしていただいて、また次回の更新をお待ちいただければ幸いです。


 さて、ゴスリリもついに260話、途中の休載も含めて連載期間は三年を超えており、前回の話は何だっけで済めばいい方で、最初の方のことなど皆様うろ覚えのことと存じます。

 途中でちらっと出ただけの設定がさも常連ですよみたいな顔でしれっと出てくるので、みなさまにはしばしばご迷惑をおかけしております。


 そこで、皆様の疑問の声をここらでまとめさせていただき、忘れかけてきた情報のおさらいや、詳しく触れていない部分の解説などをさせていただこうかなというのが、このなぜなにゴスリリという次第でございます。

 ゴスリリ、とは銘打ってございますが、姉弟作である『異界転生譚シールド・アンド・マジック』や、かかわりのある『平賀さんはヒーラーなんですけど!?』にも触れていきたいと思いますので、まだお読みではない方はそちらもこの機会に是非どうぞ。


 長々とご挨拶をさせていただきましたが、このあたりでタイトルコールでも入れて本筋に入ってまいりましょう。


 なぜなにゴスリリ1

 Q&Aからはじめましょう


 はい、ということで、今回は皆さんからいただいた質問を一つ一つ答えていきましょう。

 普段から質問は時折頂くのですけれど、今回は改めて送っていただいた質問に答えてまいりますね。


 ではひとつめ。

 いつも応援ありがとうございます、クルロさんからのご質問と、Jhon=Smithさんの質問も一部かぶりですので並べてお答えいたします。


「実際のところ殺す気で戦った場合ウルウと無敵砲台は現地の強い人たちとどこまでやり合えるのか。カタログスペック的に」

「実際のところ、ウルウさんの強さと行った点は結構気になりますね。

 滅多に、というかほぼないでしょうが、本気で生死を分かつ戦いなら負けなしになるか否か。

 あと、ゴスリリによく出てくる固有名詞のルビは何語だったりとか。

 私、気になります!」


 ということで、主人公たちの強さは皆さん気になるようですね。

 ここでは本人たちのやる気やメンタルは考慮しないものとして、どうなるのかを考えていきましょう。

 また現地の強い人は、現時点までに登場した人物を対象としましょう。


 さて、ゴスリリの妛原閠ですが、「相手を殺すこと」だけを条件とした場合、最新章で転生者であることが明らかになったペルニオ以外は全員圧勝できますね。

 生き物である限り必ず殺すことのできる《死出の一針》と幸運値極振りの組み合わせは、即死無効であるペルニオを除きこれを防ぐ手段はありません。その上で、《隠蓑クローキング》をはじめとした姿や気配を隠すことのできる《技能スキル》を活用すれば、居場所が判明している限り確実に殺せます。


 もちろんこれは皆さんがお求めの答えではないと思いますので、ちゃんと真正面から戦った時のことも考えてみましょう。

 どうなるかといえば、こちらも実は同じ答えになります。ステータス的に言えば、閠はいままで登場した人物全員相手に一方的に勝利することが可能です。


 でも今まで結構苦戦してたよね、と思われるかもしれませんけれど、それもそのはず閠は縛りプレイをしていたようなものなのです。(比較的)腕力が低く、武器攻撃力で打点を稼ぐタイプの閠は、武器なしでは大したダメージも与えられず、本人の格闘能力もたかが知れています。しかし武器を装備してしまうと、今度はもれなく即死効果がついているので相手を殺してしまう。なので回避不能になるまで追い詰められてしまうのですね。


 全く勝てそうにないとぼやいているマテンステロ相手でさえ、不殺の誓いを破棄してしまえばそれだけで終わります。自分から攻撃できないから追い詰められるだけですので、追いかけて一撃当てればそれで勝ちですね。


 閠を相手にした場合の最適解は、《隠蓑クローキング》などを使われないように、絶対に一度も視界から外さず、かつ接近を許さず離れもせずのつかず離れずを維持したまま遠距離攻撃を連発し、閠が消費して動けなくなるのを待つことですが、そんなことができたら苦労しません。

 閠が逃げに回った場合、全力で追いかけないと見えないところで姿を消されてそのまま暗殺されるといういやらしさ。

 閠の自動回避の仕様上、回避不可能な範囲攻撃に巻き込むことも有効ですが、その場合、閠の姿が見えなくなる攻撃を仕掛けてしまうとそのまま姿を消されて暗殺というルートがががが。


 なんだこの夢キャラ。メアリー・スーかな?


 ゲーム内では命中率の高い連中が隠形看破の装備やバフを使い、完全に囲んでタコ殴りにして運よくワンキルしたり、全然関係ない罠にはまって死んだりなどはありましたので、絶対に勝てないわけではないのでしょうけれど。

 多分火山の噴火とかに巻き込めば勝てます。


 さてお次は無敵砲台ことシールド・アンド・マジックの二人組、紙月と未来ですね。

 この二人はもう少し易しいかなというとそうでもありません。

 タンク役の未来とアタッカーの紙月、突破不能な壁と圧倒的な火力とみられがちな二人ですが、その実態は「対応力の化け物」でした。


 本編で衣装持ちとも称された紙月ですが、未来も同じように、属性ごとの装備を常に持ち歩いています。重荷にしかならないので普通は使わない道具や装備は倉庫に預けるものなのですけれど、二人は常に最低限なんにでも対応できるように装備を幅広く持ち歩いているんですね。そのためアイテム目的の狩りでは荷物を持ち切れず、荷物持ちの人などが別途必要になるとか。


 装備だけでなく《技能スキル》構成も実は対応重視です。未来のステータスこそ耐久特化みたいなところがありますけれど、《技能スキル》は幅広く、どんな状況にも対応できるようにしていますね。

 その代わり攻撃に使用できる《技能スキル》はほとんどなく、たとえ無類の防御力を誇っていても、ソロで戦闘しようとしたら、無駄に時間かけた上に削り殺されるしかありません。


 一方の紙月はアタッカーとして活躍もしますが、その実態は攻撃もできるサポーターです。回復も使える。バフもデバフもできる。《技能スキル》回しが早い。などなど。

 《技能スキル》それぞれのレベルは低い代わりに幅広く《技能スキル》を取得しており、なんでもできる器用貧乏なんですね。

 普通なら器用貧乏というものはうまく活躍できないものなのですけれど、紙月の場合は極端に魔法の行使にのみ特化したステータスを振り、高価で希少な装備によって威力不足などを強引に解消しています。


 この二人はそれぞれの長所を生かして組み合わせ、状況に応じて最適な装備と《技能スキル》回しを行うことで「無敵砲台」とまで言われるようになったんですね。なので事前に取り決めておいたフォーメーションが崩されたり、予習していない完全に予想外の攻撃を食らうと意外ともろかったりします。


 まあ色々言いましたけれど、この二人が現地の人と戦った場合、大抵の場合は単純に磨り潰せます。

 こっちは設定書いてるだけで楽しいので文字数は勘弁して下さいね。いえい。


 どういうことかといいますと、城攻めと同じ理屈が発生するからです。

 通常城攻めには相手の三倍の兵力がいるとかなんとかweb小説界隈ではよく言うらしいんですけれど、未来がどっしり構えるだけで、小さな城ができてしまうようなものなんですね。簡単には突破できない城壁です。それも物理にも魔法にも対応する。

 そこに紙月が内側からバフをかけデバフをかけ砲撃もして補給もしてとなるわけです。


 ここでは強い現地の人として、マテンステロ、アラバストロ、ウルカヌスをあげてみましょう。

 マテンステロは多彩な魔法をワンアクションで使用でき、本人も凄腕の双剣遣いです。冒険屋としては殆ど最上級といっていいでしょう。この人が一番相性悪いです。豪快に見えて手数と技術で勝負する人ですので、単純に堅い未来を突破できません。属性防御が不要なくらい、それぞれの属性攻撃が弱いんですね。


 アラバストロの場合、ゴリ押しでいいところまで行くかもしれません。単発の出力が高く、魔力の回復も早いですから、言ってみれば城壁にひたすら大砲ぶち込む砲兵ですね。シンプルに単発火力が高いので、シンプルに削れます。ただ、紙月からの攻撃があるので、じり貧ですね。

 悲しいことに、魔力自動生産機能付きという規格外の性能なのに、ハイエルフとかいう雑な一言で紙月の方が豊富な《SPスキルポイント》量と回復速度誇ってるのでいいとこありません。


 ウルカヌスは火属性特化の非常に優秀な魔術アタッカーです。現在登場した人物中、火属性魔法は一番強い人ですね。未来の属性防御でようやくといったところで、酸素を焼き尽くす「欠如」を押し付けることができるので長期戦は危険です。ただ、属性がはっきりしてるだけに紙月に対処されやすいですね。


 最悪なまでに鈍足なので積極的攻めには向きませんが、仮に地竜のタマを移動手段にした場合移動要塞になります。バカの考えた最強かな?

 このような具合で、《魔法の盾マギア・シィルド》の二人を相手にした場合、突破は困難です。


 対処法としては、二人を分断させるのが一番ですので、独りでいる時を狙うこと。

 正面から戦う場合は、一度に対応できない複数の属性の強力な攻撃の波状攻勢とかですかね。

 あとは、まあ、足元で火山が噴火したら倒せるんじゃないですかね。


 とまあこんな感じです。

 本編ではもうすこし縛りがきつかったり、本人たちが常に最適解で行動できるわけではないことなどが理由で結構弱体化しますので、ドキドキハラハラして頂ければ幸いです。


 Jhon=Smithさんの質問の後半部分、「あと、ゴスリリによく出てくる固有名詞のルビは何語だったりとか。」に関してですが、ほとんどの場合、ゴスリリ本編第四章第五話で出てくる「エスペラント語」ですね。

 ただ、動植物の固有名詞などは、エスペラント語の既存の言語を組み合わせた「かばん語」だったりします。


 例えば角猪コルナプロですけれど、これは角を意味するコルノ(korno)と、イノシシを意味するアプロ(apro)を組み合わせたものです。

 もう少し変形が激しいものだと、ポケットや小型を表すポーショ(poŝo)と保管倉庫を意味するスタープロ(staplo)を合わせて《自在蔵ポスタープロ》ですね。もっと激しいのもあるので、あまり真剣に読解しないでくださいね。


 エスペラント語以外では、隣人種の名前などがありますね。

 土蜘蛛ロンガクルルロはエスペラント語ですが、その氏族である足高コンノケンはアシダカグモの鹿児島方言です。天狗ウルカはざっくり言えばサンスクリット語で天狗のこと。

 ただ、作者の人も語源を書き忘れて何だったか覚えていないこともありますので、謎なのもあります。


 さて、二つ目の質問に参りましょう。


「もしウルウがカモノハシモドキの肉を美味しそうだと思わなかったら、無補給のままで居られたのでしょうか。」


 ポテフレさんからですね、ありがとうございます。


 これはどういうことかというと、閠は転生後しばらくは眠気も空腹も覚えず、汗もかかず、意識するまでは生理機能が働いていなかったことに関する言及ですね。しかしリリオが鴨鼠ソヴァジャラートを食べるのを見て「美味しそうだ」と思ってしまってから、それらの生理機能が徐々に機能し始めていきましたね。


 答えとしましては、あの時点で回避できたとしても、どこかの段階で感覚を思い出してしまっただろうというところでしょうか。しかしもし仮にずっと思い出さないままだったら、無補給で行動可能だったでしょう。ゲームにはスタミナシステムも空腹システムもなかったからです。


 そもそも閠が無補給で問題なかったのは転生者としても例外的な事例で、シルマジの二人は転生直後からとくに意識せずとも普通に生理機能が働いています。

 これは転生直後の時点での閠の感性がド畜生ブラック社畜生活によって麻痺してしまっていたから起こってしまった一種のバグで、現在は修正されて……いるんでしょうか。謎です。

 カフェインやエナジーなドリンクの過剰摂取と早朝出勤深夜帰宅、徹夜も社内泊も刻み休憩も頻発していたために睡眠のリズムも感覚もぶっ壊れて眠いという感覚が常態化して麻痺、食事も時間になれば補充していただけで味覚的にも空腹感的にも麻痺、という悲しい現代社会の闇ですね。


 という感じでいかがでしょうか。






 今回頂いた質問は以上です。

 ほかに質問がある方、記事内での答え方がいまいちに感じた方、以前も質問したけどもう一度聞きたい、もっと詳しく知りたい方など、いつでもお待ちしております。

 こちらの感想欄や、活動報告のコメント欄、またTwitterアカウントなど、アクセス可能なところでご質問ください。


 それではまた次の機会にでも。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る