第18話 猫
二週間ほど海外出張することになった友人の猫を預かる機会があった。
シロくんという凛々しい顔をした白い美青年。
借りてきた猫とは思えないほど彼と馴染むおくさんだったが、一つ問題があった。
正しい名前で呼ばない。勝手な名前で呼びまくる。
招き猫みたいに真っ白だから
『福さん』
それならまだいいのだが(全然よくない)、次の日には
下から見た顎が尖っていて鯖に似ているから(この感覚の時点で分からない)
『サバ男』
鳥の笹身をレンジでチンしていたら「よこせ!」と言わんばかりにニャーニャー鳴くので
『佐々美』
その他『牛乳』『豆太』『豆次』『サバスティックエアライン』『猫』etc……
全ておくさんの所業である。
その結果、シロくんは友人の元へ帰る頃にはすっかりなんと呼び掛けても取り敢えず
「ニャー!」と返事する猫になってしまった。
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