夏休みの宿題があらわれた!

 どうも、熊ノ翁です。

 うるさかったセミ達の鳴き声もめっきり少なくなり、代わりに秋の虫達の声がちらほらと聞こえてくる今日この頃皆様いかがお過ごしでしょうか?

 熊が学生時代の頃は、この夏の終わりの時期は決まって恐怖に震え、過去を悔やみ、この世に生まれてきた事を後悔し、明日なんて来なければいいのにと涙を流しながら世界の滅亡を願っていたものです。


 理由は簡単。

 夏休みの宿題の存在です。

 夏休みの間元気いっぱい遊びまくり、毎日が日曜日な生活が当たり前となったチミっ子達に突如として訪れる世界の終わり。

「日常とは、こんなに簡単に崩れ去ってしまうものなのか」

 義務教育真っただ中の子供たちに強制的に世の儚さを叩き込んでくるのが、この「夏休みの宿題」です。

 

 北欧神話には神々に死と滅亡の訪れを告げるギャラルホルンがあるわけですが、チミっ子達には夏休みの宿題が正にそれにあたります。


 ではこの死と破滅の運命、夏休みの宿題から逃れる術は無いのでしょうか。

 宿題をやらなかった子供たちは新学期という名のラグナロクの訪れを前に、滅びの定めを受け入れるより他に道は無いのでしょうか。


 かつて熊は新学期(ラグナロク)の度に滅びのげんこつを担任より浴びせられ、廊下に立って世界の終わりを毎年のように眺めていました。


 この哀しみの連鎖を断ち切るにはどうすればいいのでしょうか。

 これ以上夏休みの宿題の哀しき犠牲者を生まないためにも、今回はいかにして夏休みの宿題に立ち向かうかを考えていこうかと思います。

 ご笑覧いただけましたら幸いです。


 まず最初に、この忌まわしき風習である夏休みの宿題というものは一体どのような物なのか、確認していきましょう。


 夏休みの宿題とは、その名の通り夏休みに出される課題であり我が国においてはその量の多さが他国と比べて際立っています。

 各学校、各クラスによって違いはある物の、現代では主に漢字ドリル、計算ドリル、絵日記、自由研究、読書感想文から構成されており、この宿題制度は明治時代から既にあったと言われています。


 さて。

 我が国の学校制度は欧米を見習って作られたわけですが、当の欧米ではこの忌まわしい風習である夏休みの宿題はほぼ存在しません。

 ネットで調べてみると、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、フィンランド、オランダ、スイスとまあ欧米諸国は軒並み夏休みの宿題は無いかあっても少ないそうです。

 では何故、欧米諸国を見習って作ったはずの学校制度と夏休みであるのに欧米諸国と違って夏休みの宿題が我が国ではクッソ多いのかというと、これは実は学年の切り替わりの違いが関係しているそうです。


 日本では4月が新年度であり学年が切り替わるわけですが、欧米ではそれが9月です。

 よって夏休みに入る前にはその学年で学ぶべき課題は既に授業で終えているわけで区切りが良いんですね。

 しかし日本の場合は4月に新学年となったばかりで、夏休み前というのはまだその学年で覚えるべき事柄が山ほど残った状態です。

 その為に、学業を中断させないために山ほど宿題を出すのだ、というのが世界を闇に閉ざした大魔王達の言い分のようです。

 実にもっともらしく、それ故に邪悪ですね。

 もっともらしい所が特に邪悪だと思います。


 ちなみに余談ですが、この夏休みの宿題と言う制度が必要か否かについて、熊のTwitterアカウントでちょっとしたアンケートを取ってみました。

 結果は「当然必要」が34.9%で「いらねーよこんなもん」が65.1%という物でした。

 Twitterユーザーの中で一番多い年齢層は我が国では40代の方々なわけで、現在社会人生活を送っている方が学生生活を振り返ってみても「夏休みの宿題はいらなかった」と考える方が多いようです。

 これはもう何というか民主主義的に考えて夏休みの宿題はジェノサイドされるべき事柄でありながらもその要望は長らく日本国内で叶えられて居ないという事を示しているわけで、政治家の皆様は選挙で「夏休みの宿題撲滅」といった公約を掲げて頂けますと支持率爆上げ間違いなしかと思われます。

 政界に打って出る方は是非、ご検討を。

 

 で、夏休みの宿題と言えば、日本においては「漢字・計算ドリル」「絵日記」「読書感想文」「夏休みの自由研究」が古来より続く忌まわしき課題4点セットなわけですが。

 こいつらをどうするかについてもTwitter上で皆さんから意見を募集しました。

「三人集まれば文殊の知恵」と格言にもあります。


 Twitterの国内ユーザー数は4000万人。

 世界的に見ても夏休みの宿題は量が多く大変な事で知られる我が国なわけですが、日本国民Twitterユーザー4000万人の総力を結集すれば立ち向かえない事はありません。

 困難なミッションだというのは重々承知しては折りますが、熊は日本民族の底力を信じる事にして夏休みの宿題にどう立ち向かえばいいかを皆さんに聞いてみる事にしたわけです。


 その結果、諸悪の権化にして大魔王のかけた呪いである夏休みの宿題に立ち向かうにはこのようにしたほうが良い、と多数の戦略案が寄せられました。

 ここではその中から、熊が個人的に有用だと思った案を紹介致します。

 ご意見をお寄せ頂いた皆様、ご協力ありがとうございました。

 

・ひたすら気配を殺す。

 己の「他人に見られる能力」を極限まで抑えて限りなく透明になる。

 それで新学期を「シュレディンガーの猫」みたいに存在と無の狭間に立ってやり過ごす。

 立案、えいげい 快さんより

 Twitterアドレス @agk_ww


 物事は観測される事により初めて存在する事が可能となる。

 ならば息をひそめて観測さえされなければ夏休みの宿題もまた存在し得ないのだ、という量子力学的見地からのアプローチです。

 いわゆるコペンハーゲン解釈ですね。

 これは実に画期的かつ革新的な方法なわけですが、一つ重大な問題点がありまして。

 出席確認時には先生にこちらを観測して頂かないと欠席扱いになってしまう、という点です。

 その問題をクリアする事さえできれば、実に有用な方法化と思われます。


・お酒を飲んで、忘れる。

 立案、HIROさんより

 Twitterアドレス @10made10be


 これは実に社会人らしい解決方法ですね。

 そして、その効果は折り紙付きです。

「酒は、働く人に大きな力を与える」とギリシャ時代の高名な吟遊詩人ホメーロスも言ってますし、あの大音楽家ベートーベンも「一杯のブランデーは苦痛を取り除く」と言っています。

 酒を呑む事で大いなる力を得て夏休みの宿題へと挑み、その戦いの苦痛をブランデーで和らげる。

 正に攻防一体、隙の無い戦略案です。

 

 ただ気を付けなければならないのは、ランドセルを背負ったお子様が酒を飲むのは我が国においては禁止されており、学校の先生やお父さんお母さんに見つかり次第、夏休みの宿題をバックレる以上にシバき倒されるであろう事は間違いないだろうという点です。

 これは己が身の危険を省みない、実にカミカゼアタック的アプローチですね。

「皇国ノ興廃、コノ一戦ニアリ!」という大和魂全開な方意外はやめておいた方が無難かもしれません。


・一人でばっくれると怒られますが、集団でさぼればやり過ごせます

 勉強が子供の国仕事なら、団結権、団体交渉権、団体行動権をフル活用しましょう

立案、錦ノマグロさんより

Twitterアドレス @TunaMassive


「赤信号、みんなで渡れば怖くない」を地で行く戦術ですが、これは会社内で社員が会社を相手取って戦う場面において実に有効とされる手です。

 生徒が学校を相手取って戦う場面においてもその有効性は通じるものがあるのではないでしょうか。

 実際、古の国鉄職員達はこの戦い方により賃上げを達成させてきています。

 信頼と実績のある戦い方ですね。

 ただし、難を言うなら失敗すればレミングスの集団自殺となんら変わらないという事と仮に学校側をそれで説得できたところで親からのゲンコツは免れないだろうという点です。

 もし実行するならヘルメットとゲバ棒は忘れず用意するようにしておいてください。


・キャンプに持っていったらうっかり燃やしました(黒こげのテキスト提出)

立案、墨谷さんより

Twitterアドレス @e1bSunitani


 全ての宿題を焼いて証拠隠滅を図る。

 これは実に狡猾でIQの高い夏休みの宿題解決法ですね。

 この方法の優れている点は「コゲているため本当に宿題をやったかどうかを学校側は判断できない」という点です。

 正々堂々真正面から騙しぬく。

 実に気合の入った雄度の高いミッションインポッシブル的戦い方ですが、悪の組織学校法人達は往々にして状況証拠と思い込みだけで生徒をシバく悪癖があります。

 コゲた夏休みの宿題を提出しようものなら即座に「ウソついてんじゃねーぞコラ」と、勝手な決めつけと思い込みだけで糾弾してくる可能性がありますので、そうなった際は宿題と一緒に先生も焼いて証拠隠滅を図りましょう。

 

 と、まあこんな所でしょうか。

 正攻法で毎日コツコツやるのも良し、奇策を用いて一発逆転を狙うも良し。

 大切なのは困難に立ち向かう勇気です。


 最後に。

 見事夏休みの宿題をやり終えたあなたにカリスマ大魔王からのこの言葉を贈って締めとさせて頂きます。


よくぞ なつやすみのしゅくだいを おえた。


だが やすみあるかぎり しゅくだいも また ある……。


わしには みえるのだ。


ふたたび しゅくだいが ふゆやすみに だされよう……。


だが そのときは おまえは うかれていて おぼえては いまい。


わははは………っ。


ぐふっ!


夏休みの宿題があらわれた! ……END

執筆日、2021年8月31日


最後までお読み頂き有難うございます!

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