空へ、さようなら
晴れの日は
扉を開けると青空が見える
今日は雲一つない水色で
すっきりとした空色だけれども
暖かい場所から出て来た身体は
鼻の奥をツーンと刺す
ぴりぴりしてきた手を擦り合わせながら
足早に駅へ向かうと
同じように向かう人たちと出会い
顔なじみではないが
この時間帯の人たちの雰囲気が分かる
もう、この時には空を見ずに
ただ前へ前へと進んでいく
日々に追われていると
ああ、いつのまにやら日も暮れた
オレンジと紫が混ざったような夕焼けが
もう少しで群青に染まるかと思うと
一日の終わりを意味してくれる
手袋が嫌いな自分は
手を擦りながら帰路につく
扉を開けると、空はお仕舞い
暖かい場所に戻り、一日を終える準備をする
諸々片付けるとカーテンを引く為に外を見るのだ
もう暗く、星が見える
いつか「星が見えなくなりますよ」なんてことを聞いた気がする
これも見えなくなるのか、と思えば
寂しいような気がした
感傷に浸っていても明日は来る
ロマンチストは止めてカーテンを閉めると
空のことは忘れてしまう
だから、空へ、さようなら
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