【改訂版】11人の方程式

黄黒真直

第1話 二つの衛星

 カーマインは幼い頃から、星を見るのが好きだった。

 毎晩のように家の屋上へ出ては、そこから色とりどりの星々を眺めていた。

 この星を回る二つの大きな衛星の追いかけっこは、朝まで眺めることができた。

 やがて少年となった彼は科学の本を読み漁り、双子衛星の年齢は少なくとも数万年は離れていて、全然双子でないことを知った。人類が双子衛星に降り立ったのはカーマインが生まれるずっと昔のことだとか、それに比べ地球人との交流が始まったのは比較的最近のことだということも知った。

 そうした本を読むうちに、カーマインはこう思うようになった。

 いつか、自分で宇宙に行ってみたい、と。

 憧れた夜空は、科学の力で身近になっていた。少し高い料金を支払えば、誰でも行くことができる。

 しかしカーマインが望んだのは、客としてではなく、船員として宇宙へ行くことだった。それもできれば、大型船の船員ではなく、自分だけの宇宙船で……。

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