恋哀美学。
山下 巳花
皆既月食。
その姿が、
陽の光に変化するように。
あたしの心は、
彼の声に満たされる。
その、幻想的な空の下。
月が朱く染まる夜。
あたしは、久しぶりに彼から連絡をもらった。
彼の声を聴いた瞬間、
渇いた気持ちは、潤い始め。
くすぶった想いは、明白になった。
いつもは無口な彼が、
今夜はやけに饒舌だった。
神秘が招いた幸せな
夜空が白み始める頃まで、ずっとずっと続いた。
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