476_指パッチンが一番早い件 #肉体

「アメリカの俳優でありコメディアンであるグルーチョ・マルクスは『目を閉じて、株価表示板のどこかを指すだけでいい。こうやって選んだ株を買えば株価が上がっていく』と言ってます。時にはなにも考えずに適当にしていることが成功に導いてくれます」


「やっほー、役立つ知識を伝える世界一の美女サクラです! 今回は『指パッチンが一番早い件』です。よろしくお願いします」


「読者様はフィンガースナップはできますか?」


「え? 『そんな言葉知らない』ですか。失礼しました」


「たしかに、フィンガースナップではピンときませんよね。フィンガースナップとは、親指と中指もしくは薬指に張力をかけて、手のひらに勢いよく当てて、音を立てる動作のことです」


「いわゆる、指パッチンのことです」


「読者様も指パッチンを練習して、音を鳴らせる人もいるかと思います。私も子供の頃に練習して、今でも鳴らすことができます」


「ちなみに、指パッチンの歴史は古く、紀元前320年頃のギリシャの陶器に、牧神パンが躍りながら指パッチンをしている様子が描かれています」


「現代でも、強者が指パッチンだけで敵を倒すようなシーンが漫画などに描かれていたりすので、とっても身近な指遊びです」


「そんな指パッチンですが、実は一番早いということを読者様は知っていますか?」


「今回は指パッチンの速度についてお話ししたいと思います」


「人体の神秘に迫れればいいなと思います」


「参考文献はアメリカのジョージア工科大学の研究となります」


「研究内容は至ってシンプルです、高速度カメラを使って、指パッチンの様子を撮影して分析しただけです」


「その結果、色々と判明したわけです」


「さて読者様、指パッチンを分析して、何が分かったと思いますか?」


「まあ、難しいですかね?」


「指パッチンについて考えたことがないと思いますので、思い浮かぶことがないかもしれません」


「ということで、結論に入りましょう」


「指パッチンを分析した結果、指パッチンはーー」


「記録された中で、人体が生成する最高の回転加速度だと判明しました!」


「指パッチンを分析したところ、毎秒7800度の回転速度と毎秒160万度の回転加速度を持っていることが記録されました」


「すごいですね。人体でこのような驚異的な速度を記録できるなんて、とても不思議です」


「とはいえ、『だから、何』って感想の読者様も多いと思います。私も、同じ気持ちです」


「たまには、こういった無駄知識もいいですよね。毎日高級フレンチを食べていたら、時にはジャンキーな食べ物が恋しくなるのと同じです」


「同じような内容を続けていたら飽きてしまいます。息抜きは必要です」


「そう、今回は息抜き回だったのですよ」


「さて話を戻しまして、指パッチンの速度を計測したわけですが、これがどれくらいなのかってことも研究者は示してくれています」


「これまでに計測された最高の回転速度は、プロ野球のピッチャーが投球する際の腕でした」


「指パッチンはピッチャーに回転速度は負けましたが、回転加速度についてはピッチャーの3倍も上回っていました」


「読者様、指パッチンのすごさを知りたかったら、野球を見ましょう。プロのピッチャーの腕を見れば指パッチンの回転加速度のすごさを知れるでしょう」


「…………本当に、知れるのでしょうか? 自分で言ってて疑問しかありません」


「まあ、ともかく、指パッチンはすごいってことです」


「その他にも、研究者はまばたきとも比較してくれてます」


「まばたきは速さは150ミリ秒で発生するのですが、指パッチンに至っては7ミリ秒で発生します」


「実に、20倍以上の速さだったのです」


「読者様、まばたきをしてみてください。指パッチンはその20倍以上の速さですよ」


「これなら、どれくらい速いか実感できるのではないでしょうか?」


「研究者は、素手以外の方法での指パッチンの様子も撮影していました」


「その結果、手袋や指ぬきを着用していると指パッチンができなくなることも発見しました」


「え? 『知ってる』ですか。たしかに、手袋をしたら指パッチンはできませんよね」


「研究者は、どうして手袋をすると指パッチンができなくなるのか説明してくれています」


「手袋をすると指先の摩擦が増えます。速度と加速が低下します。指が手のひらに動くまでに時間がかかるようになります。そのため、十分なエネルギーが得られず、音が鳴らないみたいです」


「要するに、摩擦が少なく高速で指が動くことで、指パッチンの「パチン」という音が鳴っているのです」


「なので、手袋をしているキャラクターが指パッチンをするのは現実的に考えて不可能に近いです。覚えておきたかったら、覚えておいてください」


「指パッチンを練習している読者様、音を鳴らしたいのなら速度を意識しましょう。きっと鳴るはずです」


「……私の読者様に指パッチンを練習している人はいるのかしら……って所で今回のまとめです」


「研究者は高性能なカメラを使って、指パッチンの様子を撮影して分析したよ」


「すると、指パッチンは人体が生成できる最高の回転加速度を持っていることが判明したよ」


「指パッチンって実はすごかったんだよ」


「練習すれば、簡単に鳴らせるようになるので、そんなにすごいことと思わないでしょう。ですが、身近なものに意外な真実が隠れていることは多いです」


「読者様も、普段は気にも止めないことを再度確認すると新たな発見に繋がるかもしれませんね」


「ちなみに、指パッチンを研究した所で、何の意味があるの、って思っている人もいるでしょう」


「実は、指パッチンの研究によって、ロボットの摩擦の複雑さを改善できる可能性があるのです。超精密な動きのためにも、摩擦を理解するのは大切ですよ」


「近い将来、指パッチンがロボットをスムーズに動かす鍵になる日が来るかもしれません」


「ということで、今回は『指パッチンが一番早い件』でした。知識のプラスになれば嬉しく思います」


「ありがとうございました。高評価、コメント、リクエスト、お願いします」


「次回の『依怙贔屓がチームのパフォーマンスを高めるのに役立つ』で、会おうね! 目指せ、知識の完全制覇。バイバイ」



参考文献

The ultrafast snap of a finger is mediated by skin friction

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