第28話 大学時代、僕はある人への愛情を隠した。

 こんにちは。お久しぶりです。比嘉さん、お元気ですか?

 比嘉さんとの出会いは確か僕が大学2年の頃でした。

 新入生のオリエンテーリングの時でした。   

 新入生でもない僕が、野次馬根性を発揮し、女子新入生の品定めをしに、フラフラと大学に足を運んだ時に、比嘉さんが僕のことを新入生と間違えて声をかけたのでした。

 僕は比嘉さんの可愛らしい沖縄弁に心を奪われました。 

 その時から比嘉さんに恋し始めました。

 比嘉さんの濃い奥二重の沖縄顔がたまりませんでした。

 僕は比嘉さんたちのボランティアサークルに入って比嘉さんに近づこうと企みました。   

 でも比嘉さんは僕の企みに気づいているようでした。

 そのせいか比嘉さんは僕を避けて行動していましたね。 

 でもいいんです。

 僕と比嘉さんは縁がなかったのでしょう。   

 比嘉さん、僕はあなたのことが本当に好きでした。でも僕は比嘉さんの友達の筒井さんに告白しました。なぜかというと、僕の比嘉さんへの愛を隠したかったからです。僕は比嘉さんに対する本物の愛を隠したかった。僕の比嘉さんへの愛はクリスタルのような透明で清く美しいものでした。その愛の結晶をサークルの仲間たちに汚されてしまいした。サークルの仲間たちは僕の比嘉さんへの愛を滑稽だとあざ笑い、馬鹿にしました。でも僕は悲しくなかったし、そういう行動をされても仕方がないと思いました。なぜなら僕も友達の恋を笑っていたからです。大学生とはそのようなものです。

 比嘉さん。僕はもうあなたのことが好きではありません。僕は今、どの女性も愛してはいません。かつてはあなたへの愛が溢れ、あなたへの愛情があなたに勘付かれました。それは当時の僕には恥ずかしいことでした。それ故に、あなたへの愛を隠すためにあなたの友達の筒井さんに告白しました。今思えば、バカなことをしました。あなたのことがすきなのに、なぜあなたに告白しなかったのでしょうか。あなたに僕の激しい愛を伝えて、派手にフラレたかった。あなたに平手打ちされたかった。嫌いと言われたかった。僕はあなたに対して本心を隠してしまった。僕はあなたにすべてをさらけだしておけばよかった。

 今、すごく後悔しています。

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