第26話地下迷路の裏ルート(2)

クリスマス会の日に消息不明になってしまったカンナちゃん。

侑はUからの封筒に、カンナの居場所が記されていると信じて、謎解きを始めた。

「田と月と女と又と心・・・、この五つの漢字には一体どんな意味がこめられているんだろう?」

侑は頭の中でイメージを浮かべたが、イメージがグチャグチャになってしまった。

そんな侑を見て、重雄は言った。

「ひょっとして、これは漢字を組み合わせるんじゃないか?ほら、テレビのニュースでそんな問題をやっていたよ。」

「そうか!!なるほど!!」

侑は五つの漢字を繋げた。田と月で胃、女と又と心で怒という漢字ができた。

「胃怒・・・?」

「胃怒・・・いど・・・井戸・・あっ!」

突然、重雄が思い出したように叫んだ!

「どうしたの、父さん!」

「屋敷の庭の東側に、使われていない古井戸があったんだ!!」

「えっ!?じゃあ、カンナちゃんは・・」

「早く伝えないと!!」

重雄はカンナの母親と警察に庭の古井戸のことを伝え、足早に現場へと向かった。

侑も後を追って、古井戸へ到着した。

しかし古井戸の周辺を探しても、カンナちゃんは見つからず、母親は絶望で心が狂い号泣した。

侑が古井戸をのぞきこむと、はしごがかかっているのに気がついた。

「ねえ、古井戸の中に入ってみようよ。」

「侑、お前本気か!!」

重雄が言うと、侑はうなずいた。

「一人では危険だ、警察の方に任せなさい。」

「あの、私も一緒にいいですか?」

カンナの母親が名乗り出た。

こうして警察官三人・重雄・カンナの母親の順番で、古井戸の中へと入っていった。

侑は古井戸を覗きながらみんなを待ったが、それから十分ほどして五人は古井戸から慌てて出てきた。

「父さん、大丈夫!?」

「ああ、だがあそこにはもう入りたくない」

重雄は唇を震わせながら言った、警察官三人も足が震えてガクガクしている。

「わ、私はもう一度行くわ!」

カンナの母親はもう一度古井戸へ入ろうとしたが、警察官三人にひき止められた。

「やっぱりぼくが行く!」

「侑!!」

重雄の制止を振り切って、侑は一人で古井戸の中へと入っていった。

底に着くと奥に続く横道を見つけた。侑はほふく前進で進んでいく。

五十メートルほど進むと、立てるほど広い空間へ出た。

「ここはもしかして・・・、地下迷路の?」

侑は辺りを見回した、暗い雰囲気と土臭い湿った印象が、まさに地下迷路だった。

侑は地下迷路の中を進んでいく、しかし歩き慣れている地下迷路でも今回はルートが違うため、Uが待つ部屋に行きつくことができない。

侑は歩き疲れてきた、一休みしようと腰を下ろした時だった。

侑の目の前に、サッカーボールくらいの大きさの光る球体が現れた。

「うわぁ、出たーっ!!」

侑は悲鳴をあげた、光る球体は侑に近づくと、侑を迷路の奥へと誘い込むように、奥へと向かった。

「もしかして、これについていけということか?」

侑は光る球体の後を追いかけた、するとあの扉へとたどりついた。

「よし、Uがいる扉だ!」

侑は扉を開けた、そこにはUとカンナちゃんの姿があった。

「あっ、カンナちゃんだ!やっぱり、ここにいたんだね。」

『侑、今回君を呼んだ理由は解っているな?』

「うん・・・、また謎解きをさせようということだろ?」

『そうだ、そして今回の賞品はこの女の子ということになった。さあ、久しぶりに謎解きを楽しもうじゃないか。』

Uはケラケラ笑った。

一方、自らの運命を握られているということを知らないカンナちゃんは、Uが用意したのだろうかぬいぐるみで遊んでいる。

そしていよいよ、問題が始まった。

『第一問、次の言葉を読め。かててんなちゃててんはててあていてすがてすてき。ヒントは手抜き。』

侑は問題があまりにも簡単すぎて、少し笑ってしまった。

『侑、何がそんなにおかしいんだ?』

「だって、これは"てを抜いて読め"ということでしょ?だから答えは、かんなちゃんはアイスがすき。」

『ぐぬう・・・、正解だ。』

Uは問題が甘かったと少し後悔した。

『それなら、難しい問題を出してやろう。次の文章にある文字をかぶせて、正しい文章にしてみよ。今日の人百は、漢子の書き取りだった。』

「えっ?文字をかぶせる・・・?」

一体、それはどういうことなんだ?

侑は首を捻って考えた、Uは悩む侑の姿にとても得意げにしていた。

『どうだ、侑?この問題は解らないだろ?早く答えないと、カンナちゃんが大変なことになるぞ〜』

「それはダメ!絶対に答えてやる!!」

侑は一刻も早く、カンナちゃんを助けるために考えた。

「えっと・・・、文字を被せる。"あ"は違うし、じゃあ"め"かな?うーん・・・」

『悩んでいるな、侑。それじゃあ、ヒントをやろう。「かぶせる文字はカタカナである」それ以上はヒントを出せない』

「かぶせる文字はカタカナ・・・?」

カタカナをかぶせる・・・、ひらがなにカタカナをかぶせるのは変だ。ということは、漢字にカタカナをかぶせるのか・・・ん?

「漢字にカタカナをかぶせる?」

そういえば漢字にはへんやかんむりといった部首に、カタカナに似ているものがあるということに気がついた。

侑は問題を解くカギを手に入れたのだった。











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る