Episode.9



じーっ






 ぱくっ



「ね、美味しいでしょ!」



 もぐもぐ…


 「美味しい~



 けどぉ」


「けどぉ!?」


 「『ベルギーワッフル』のイメージが強いから」

 「やっぱなんかちょっと違う 笑」


「えー!」



 「でもバターとシロップだから…」


 「『パンケーキの親戚』って思って

  食べたほうがいいかも 笑」


「そっかぁ そっちかぁ」


「まぁでも…私も、

 こっちのワッフルのイメージが強くって、

 ベルギーワッフルは未だに受け入れらないから 笑」

  

「それと一緒だね 笑」


 「でも意外だった」


「意外?ワッフルが?」


 「ううん、希が輸入雑貨のお店やってるのが」


「急に飛ぶねぇ 笑」


 「じゃあもうちょい、ワッフル話題にするぅ?」


「いいよいいよ」

「特におもしろエピソードもないし 笑」



 「てーっきり『ほぼ』は

  音楽系とかに行ってるって」

 「勝手に思ってたから」


「ああ『ほぼ』ね」

「懐かし~ 笑」

 「ふふ 笑」


「高校出てしばらくは、

 沙織の思ってた通りのほういってたんだけど…」

「私のって『ほぼ』だから、

「これ!」ってのが結局無かったんだよねぇ」


 「調律師とかは?」

「無理無理」

 「じゃあエンジニアとか」

「私の音感って数値じゃなくって色だから、

 ヘルツで言われても「は?」ってなっちゃうし」


「ピアノもね、あれ平均律でしょ」

「『ドミソー♪』って弾いても

 ドとミとソにしか聴こえなくって」

「和音としては成立しないんだよねぇ、私の耳では」

       「マスター、コーヒーおかわりぃ♪」

「「じゃあ純正律が正しいの?」ってなると、

 それじゃ調律すらできなくなるし…」


                   「はいよ」

「管楽器のいいところは、

 アンブシュアで微調整できるところで」

「マスターはバリスタみたいな修業したんですか?」

          「修業?んなもんしてねぇよ」

「バイオリンとかって…触った事ないけど」

「ギターみたいに

「ここ押さえてください!」ってのがないから、

 そういう微調整ができるんだと思うの」

「じゃ希みたいに『感覚で』って感じなんですね♪」

「でもそこまで意識して

 演奏してる人って少ないと思うよ」

          「そだな、感覚でやってっから

          誰にも教えらんねえんだよ 笑」

「海外のオーケストラで

 ムッチャ情景が見える演奏してるとこって、

 多分そういう微調整、絶対してると思う」

          「ふふ そうなんですね^^」

「…っておーい!」

                    「ん?」


「なんでそっちで

 マスターとちょっと盛り上がってんのよ!」



    「だって希の言ってる事全然分かんないし」



    「話長いんだもーん♪」



「自分から話ふっといて放置って…」


「Sの沙織は健在だね 笑」


 「じゃあ希って、和音も色で認識してるの?」


「うん」


「ちゃんと和音が鳴るとマーブル色みたいになるの」

「和音によっていろんな色あいの、

 いろんな模様のマーブル色になるんだけど」


「ピアノって一度調律したら

 微調整なんてできないから」

「和音を鳴らしても

 それぞれの色が分離したようになるの」


 「ふーん」


「…ってもう興味が失せてるし 笑」


 「だって『マーブル』とか『分離』言われても、

  全然イメージできないんだもーん」


「でしょー! 笑」


 「ん?」


「音楽系いってみたけど、みんな基本数値だから、

 色彩な私に共感する人がほとんどいなくって 笑」


「だから割と早くにそっちの道は諦めた」


 「ゴール!♪」

 ぱちぱちぱちっ!

 

「ん?」


 「「音楽系行ってたのかと思ってたぁ」、

  に対する回答は今のでじゅーーぶん 笑」


 「平均律とかマーブルとか…

  結構タイムロスしましたねぇ、緑川選手!」


「それが会話のキャッチボールの醍醐味でしょ!?」


 「希の場合、

  時々遠くにポーン!って投げちゃうから」


 「取りに行くの大変なんだよぉ 笑」


「沙織はキャッチボールじゃなくって、

『餅つき』だもんね 笑」


 「そそ^^」

 「「はいきたー!それきたー!」

  ってスピードがいい♪」



「ノンの場合は…」



「将棋!」「将棋!」


 「「ほほぅ、そうきたか…」って感じ 笑」

「座布団が似合いそうなね 笑」


「でもあれから結構経ってるから」

「さすがにノンもあかぬけてんじゃない?」


 「どうだろう…」

 「案外『将棋』が

 『チェス』に変わっただけかもよ」




「「…チェックメイト」」




「言いそう 笑」「言いそう 笑」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る