4-6.よい魔女を演じるスーリ
4-6.善(よ)き魔女
ここからはノンストップで、第四話のクライマックスまで進んでいきます。なかでも、この回は気に入っている部分。薬草医のスーリが魔女を演じる面白さもありますし、しかものちのちスーリは魔女とわかるので、そういうひねりもあって、いいんじゃないかと。
慰労会の夜、ヨハンナのしたくからはじまります。
きれいな小壜に蜂蜜酒を詰め、砂糖やスパイスで風味をつけ、絹のリボンを巻いた偽の媚薬。ヨハンナをプリンセスに仕立てた練り香水にローズウォーター、タフタ織のドレス……。このあたりの描写は書いていて楽しく、気に入っています。
村娘の恋に協力してやるスーリを、迎えに来たオスカーは「おとぎ話の
ふだんは魔女あつかいを嫌がるスーリですが、娘の恋に協力してやった理由には、ジェイデンの思いに対する罪滅ぼしもありました。
ふたりの恋は見かけ上、あんまり進展してませんが、すくなくともスーリは他人の恋心というものについて認識をあらためたようです。
後半は、オスカーがスーリに疑問をぶつけます。いったい彼女は何者なのか、なぜ高価なドレスを持っているのか、父フィリップとの関係など。
このあたりも、なんどか出てきている伏線ではありますが、念押しで書いている部分です。
後半にかけてこのあたりが解決していくのが、伏線回収のカタルシスで面白いと思うのですけど、冷静になって読み直すと伏線が多いかなとも思いました……。
伏線の分量が多いというよりも、本筋をしっかり進めているという感覚がもうちょっとあったほうがいいのかもな。
ここから慰労会のあいだ、本筋ではあんまり大きな動きは起こりませんからね。やっぱり三話をつぶして、四話を前後編にわけてしっかり書いたほうがよかったかも。
そういう反省はありつつも、単体では好きなエピソードでした。こういう会話劇みたいなのは得意な部分かもしれません。
会話単体でおもしろくしようとするより、そのキャラがいま一番気にしていることはなにか、そのことにキャラがどう思っているのか、そして相手方のキャラとの意見の相違はどのあたりか、みたいなことを事前に整理しておくといい感じな気がします。会話というより、ことなる意見をすりあわせるディベートみたいな感じ。会話そのものはアドリブで書いています。
「シーンとは、つねにキャラクター間の『パワーバランスの変化』がからんだ取引の場」と言われますが、会話も基本的にはおなじ役割のものだと思います。会話の終わりには、なんらかの変化が生まれているべき。「」に入った言葉は、読者に強い印象を残します。「」内のセリフは、キャラの性格を説明するもの以外はすべて伏線というくらいのつもりで書きます。
会話の役割については、まだまだ語りたいことがありますが、また別の回で。
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