少年魔術師、冒険者パーティーをクビになる(202309改稿)

 


 ~~~~~~~~~~~~~~~~


「アル、お前はクビだ」


 魔術師アルは冒険者ギルドで五指に入ると言われるパーティーの一員。


 その彼が今、リーダーのクリスによってクビを宣告された。


 他の二人も同意見のようだった。


 もう一人、知らない顔がいるが・・・。



 ―――宿屋の静かな一室。


 アルは今のクリスの言葉が信じられなかった。


 もう何年も冒険者として、

 背中を預けあってきた仲間なのに・・・。


「どうして・・・」


 震える声で問うアルに、

 クリスの高圧的な声が降り注ぐ。


「どうしてだって?

 自覚がないのか。

 いつも後衛で守られているだけで、

 一人では魔物一匹倒せるような力もない。

 回復魔法も1人ずつにしかかけられない。

 これまでどれだけ足を引っ張ってきたと思っているんだ」


「そうよ、この前のドラゴン戦の時だって」


「ね~?アルさえいなければ2匹とも倒せたのに。

 そうすれば報酬だって半分にならずに済んだのにさ~」


 他の二人もクリスの言葉に同意を示す。


 アルは言い返したりせず、努めて冷静に説明を試みた。


「・・・確かに、僕の魔法は威力がない。

 でも、それは皆が僕に使からだ。

 魔法陣さえ展開できれば、威力を倍増できるのに・・・」


「うるさい!!」


 説明はクリスの怒声によって中断、いや消去かきけされた。


「あんなウン・・・、

 下品な魔法陣なんか許可できるか!

 他の魔術師はちゃんと、

 五芒星や六芒星の魔法陣を描けるのに・・・!

 もうパーティー全体の恥となる存在はいらない!

 お前よりもっと有能な魔術師をスカウトしたからな!」


「そういう事です、アルさん」

 そう言って、

 クリスの傍にいたローブを着た女性が進み出る。


「あなたの後は私が引き継ぎます。

 私はあなたと違って全体回復も得意ですから。

 だから安心してパーティーを抜けてください」


(僕に一言の相談もなく・・・)


 アルはもう、抗議する気にもなれなかった。


 ただ最後に、

「無理だけはしないで……」

 とだけ言うと、部屋を出て行った。


【つづく】



 _________________________


『君』は読み進める……。


(なるほど、まずは定番の追放部分だな。


 この追放サイドも、主人公に本来の力を発揮させずに追い出すという、

 追放ものにはよくある連中だ。


 これはざまあし甲斐がありそうだ。


 しかし、展開を禁止されるほどの、

 主人公の下品な魔法陣とはいったい……。


 ――とりあえず、

 このまま画面をスクロールして、

『作品のフォロー』に、

『応援ボタン』や『コメント』で評価くらいはしてやるか。


 読んだ以上、それくらいはしなければな……)











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