わたしの彼氏は腐男子でした!

羽弦トリス

第1話わたしの学校

わたしは、九州のど田舎の栗林高校普通科二年の霧島こずえ。部活はスポーツが苦手で、芸術の才能もないので、帰宅部である。

栗林高校普通科は進学校であるが、偏差値は低い。去年、先輩が九大に受かったので一度は村八分状態であった高校だが再び注目を浴びている。あだ名がE.T.だった先輩が早稲田に合格したが、わたしは大学進学を目指していない。高校を卒業したら、町役場に勤める事を目標に、地方公務員試験の過去問を解いている学生生活である。


「こずえ~」

声を掛けてきたのは、小学生からの同級生である北園友美である。

「こずえ~、またあんたのバカ旦那、たまごクラブ読んでいたよ!あんた妊娠したの?」

「は~?アイツに言ったのに!学校でたまごクラブ読むなって!」

わたしは、ため息をついた。アイツとは、幼なじみで彼氏の山下幸太の事である。

イケメンで女子に人気はあるが、どうしようもないバカなのだ。

スポーツ苦手で何の才能もないから、帰宅部なのである。ま、わたしも帰宅部だからとやかく言う権利は無いのだが、とにかくアイツはバカなのだ。


「こずえってさ~、週何回、旦那とやってんの?」

「まぁ~、週二回くらい」

「飽きない?おんなじ男の子だけじゃ」

「バカだけど、アイツの事、大好きだから他の男の子には興味ないよ」

「へぇ~、あんたってアイツに一途なんだね」

かく言う、彼女には彼氏はいない。

「お~い、こずえ~」

聞き覚えのある声だ。スケボーに乗った男子がこっちに向かってくる。

これから、帰宅のためにバス停に向かっているのに何をしてるのか分からない。

男子は猛スピードで近付いてくる。

「こずえ~、止まんないよ~。僕を掴まえて!」

そう叫ぶ男子をわたしは避けた。

男子はそのまま、田んぼに落っこちた。

そう、コイツがわたしの彼氏の山下幸太なのだ。

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