京都・五山小と密猟者
京都にある五山小学校5年1組の八ツ橋雪子、木山勇太、岸山航平、清流聡子、嵐山モミジは同級生の筆山絵美を鷹野と一緒に探していた。
「絵美は漢検と書道、漢字の暗記が好きなんです」勇太が「校内での『くん、ちゃん』づけ禁止、撤廃して‼」と墨で書かれた半紙を鷹野に見せる。半紙には『筆山絵美』と書かれていた。
「23歳の江西イチョウ先生が『みんなと同じことをしたくない子は、教室から出て行ってください』と言い、絵美は姿を消してしまったんです」雪子が通りを歩きながら小声で言う。
「子ども食堂や図書館、自宅で勉強しながら絵美を探してるけど、見つからへん」「うん。八ツ橋店の女性や子ども食堂のお兄さんも『絵美ちゃん、どこ行ってしもた?』って言うてたな」航平とモミジが、湯気の立つ抹茶を鷹野に渡す。
「筆山が『同級生を『くん、ちゃん』づけで呼べない学校なんて、楽しいと思えへん‼』と言ってから、五山小では教員不信と登校拒否者が続出してる。
ラインで暴言を送られ、不眠症になった小6男子と電話した時『いじめは増え続ける』と言っていた」鷹野は雪の上で足踏みをしながら息を吐く。
「鷹野先生!」肩まである黒髪の女子、モミジがたい焼き屋の前で不審な黒いテントを見つけ、中から黒いダウンコートを着た五山小の国語教師で30歳の五山煎一と目隠しをされた筆山絵美が出てきた。「五山先生は、密猟者や」と小声で言う航平に驚く4人と鷹野。
イチョウと5人の教師がテント前で「筆山さん!」と呼びかけるが、「イチョウ先生なんて嫌いや‼」と泣き出す。イチョウが煎一によって地面にたたきつけられ、ひたいとほおから血を流しながら「筆山さん!逃げや‼」と絶叫した。
勇太たちが絵美に駆け寄り、「絵美ちゃん‼よかった」と言いながら抱きしめる。
「筆山」鷹野が絵美の肩を軽くたたくと、キャスィーが八ツ橋店の女性と一緒に駆け寄ってきた。
「絵美ちゃん‼」「うちの柴犬、だんごも喜んでる」黒柴のオス、だんごがしっぽを回し、嬉しそうに絵美の顔をなめた。
「勇太、航平、モミジ、聡子、鷹野先生、キャスィー先生と八ツ橋屋さん。ごめんなさい」絵美はだんごの腹をなでながら、7人に向かって頭を下げた。
「見つかってよかった」勇太が塩からあげを渡すと「おいしいわあ」と満面の笑みを見せる。煎一は秋次郎と鷹野に捕えられ、刑務所で過ごすことになった。
イチョウたちは鷹野や八ツ橋屋の女性に怒られ、小学生40人の前で謝罪し『くん、ちゃんづけ禁止』と大型スマホを長時間使う授業を撤廃後に辞職。他の小学校でも校庭で走りながら汗をかいたり、公園まで歩き絵を描く授業が増えた。
小6男子は温泉小野球部に転入し、マオや他の男子と一緒にボールを打っている。
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