溺れる迷子

夢という記憶の海から酸素を求めて顔を出す。


天井はいつも通り、曇り空のように白々しい。


机の上にあった写真を不意に探してしまうのは、ここ最近の癖だ。


あの人と別れてから、もう随分と時間が経った。


あの人に関わるものは、全て処分した。


にもかかわらず、心は今でも、溺れた時に必死に掴まるものを探すように、あの人を探している。


我ながら未練がましいと、鼻で笑った。


私は、未だに最愛の残りかすを握りしめている。

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