『200字文庫』投稿作品

藤野 悠人

スモーカーの憂鬱

目に痛いほどの青空に、紫煙が溶けていく。


空になった手元のパックを握り潰し、再び深く煙を吸い込んだ。


近所のコンビニは、軒並み灰皿撤去。


駅前の喫煙所は、いつの間にか解体。


ついにはオフィスも全面禁煙と来た。


私が見つけた最後のオアシスは、近所にある大きな公園……の、公衆トイレの裏で、人目を憚るように座っている細身の灰皿だった。


「お互い世知辛いなァ」


円筒形の小さな友も、ため息のような細い煙を吐き出していた。

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