第7話 感覚共有

 無意識に二度寝していた僕が目覚めた時、既に件の少女は目覚めていた。

「アンタ、何を見たの?」

 目覚めた少女は、僕を拘束し、その首元に杖を突き付けてそう問うのであった。

 

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「お、おっぱいが大きくて、銀髪の美しいお姉様が変な奴を倒してましたっ!!妹がどうとか言ってました!!」

 命惜しさに僕は意識を失っていた間、夢で見た光景を全て話す。

「銀髪…」

 そう呟いた少女は僕の拘束を解いた。それによって、尻餅をついた様な態勢に僕はなる。

「変な奴って何よ?」

 更にそう問う少女。拘束は解かれたものの、杖は頭部に突き付けられている。

「えっと…確か邪神って言ってました!!素敵なお姉様に木の枝でボッコボコにされて命乞いしてましたけど。」

 こんな貧乳の幼児体型でなく、あのお姉様に虐められるのなら、最高の幸福であったのに…

 そう心で嘆きながら僕は答える。

「邪神を木の枝で…」

 僕の返答を聞いた少女はギリッ!と悔しそうに表情を歪めてそう呟く。

「どこまで私を虚仮こけにするのよ…」

 少女は、悔しさと憎しみ、恐怖…そして隠せぬ羨望…様々な感情の籠もった表情と声でそう言った。



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「認めたくないけど、私とアンタは繋がっているわ。」

 僕を小さな足で踏みつけながら、少女はそう言った。

「繋がる?」

 少女の言葉に疑問符を上げる。僕は知らないうちに大人の階段を上ったのだろうか?

 だとすれば、覚えていない自分を呪い殺したくなると同時に、どうせなら、もっとエチエチなお姉様と繋がりたかったと思うのであった。

「そうよ、私とアンタは本当に不本意だけど繋がってしまってるわ…忌まわしき呪術でね。」

 少女の言う言葉と、僕が想像したソレが全く異なっているとその後知ったのであった。


「呪術…?」

「そう、ヌメロアン、忌まわしき呪術よ。」

 僕の無意識な呟きに、彼女はそう答えた。

「忌まわしき呪術?」

 彼女の言葉を繰り返す様に、そう問う僕を、氷の様な目で睨む少女。

「そう言ってるでしょ!!忌まわしき呪術、二つの別個体を強制的に運命共同体とする呪術!!アンタと私の痛覚がリンクしてるのがその証拠よ!!」

 そう怒鳴り、更に強い力で僕を踏む少女。

 僕の後頭部に強い痛みが奔る。


「「痛ったぁ!!」」

 何故か少女も同時に後頭部を抑え、床を転げ回る。

「なにすんだよ!!」

 そう叫ぶ僕に、

「うっさい!!私だって同じ痛みを感じてんのよ!!」

 そう怒鳴り返す少女。

「忌々しいけど、アンタと私は感覚を共有しているわ…」

 涙目で、舌打ち混じりにそう言う少女。

 感覚を共有しているって分かっているなら、なんであんなに全力で踏みつけたんだろう…

 それに、どうせ踏みつけられるなら…

「ドSなお姉様に踏みつけられたかった…それならご褒美なのに…」

 そう思う僕を、少女はゴミを見る様な目で見ていた。

 





 


 



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