第62話 トワとキノコ
「みてみてー、いっぱいとれたよー!」
アルダの森での戦闘終了後、
「おぉ、まさかあの間にここまで集めるなんて、やるなトワ」
「ほんと、トワ、すごいじゃない! これだけあれば、きっと依頼主も大満足よ」
今回、活発化した魔物退治の依頼と、さらに薬草集めの依頼も平行してこなしていたのだ。そしてトワが戦闘に参加していなかったのは、役割を
「えへへ、あっちの茂みの奥にいっぱい生えてたんだよ!」
「こんなにとるのを大変だったでしょ?」
「ううん、ぜんぜん苦には思わなかったよ。むしろ楽しくて楽しくて、ついつい熱中しちゃった!」
トワは両腕を
「ふふっ、トワは採取系の依頼の才能があるのね! アタシこういうちまちま集めるの苦手だから、すごく助かる!」
「ははは、オレもレティシアと同じタイプだ。これはもうトワにがんばってもらうしかないな」
「えへへ、任せてほしいんだよ! こうやってアイテム集めるの楽しいから、無限にできちゃうよ! もう四六時中、ずっとやっていたいぐらい!」
胸をポンっとたたき、自信満々に宣言するトワ。
「なんて頼もしいんだ。ただ勇者としては、少しどうなんだって話だが……」
「――うっ……、だって、だって、わたしゲームは攻略するより、アイテムや素材を集めまくるのが好きなタイプなんだもん! だからいざ実際に冒険すると、その血が
シンヤのダメ出しに、トワが必死にうったえてきた。
「まあ、それならしかたないか」
「だよね! あ、そうだ! これみて! さっきレティシアさんに教えてもらった食べられるキノコも、ついでに集めといたんだ!」
トワが別の袋を見せてくれる。そこにはおいしそうなキノコがいっぱい入っていた。
「ほんとだ! しかもどれも立派で食べごろのやつばかり! さっすがトワね!」
「えへへ、あとね!」
なにやらもったいぶった笑みを浮かべながら、茂みの奥へ入っていくトワ。
「――じゃじゃーん! ほかにもきれいでおいしそうなのも集めといたよ!」
そして彼女は両腕いっぱいにキノコを
そのキノコはきれいな水色だったり、オレンジ色やピンク色だったり。どれもあざやかでとても立派な代物である。
「あれ、トワ、これ食べたらやばいやつ」
レティシアがトワの抱えているキノコを一つ取り、さらっと伝える。
「え?」
「あとこれも、これも、これも」
それからレティシアが次々に別のキノコを指さし、仕分けを。
これにはだんだん顔色が青ざめていくトワ。
「え? え? じゃあ、もしかしてここにあるの全部……」
「残念だけど、やめといたほうがいいよ」
「ウソ!? 絶対レアものだって、張りきって集めたのに!?」
トワは
よほど食べるのを楽しみにしていたのか、ショックの勢いがすごかった。
「確かにおいしそうには見えるんだけど、毒とか副作用あるやつばっかりだから。冒険者が現地調達したキノコを食べて、大変な目にあったって事例が多いから気を付けてね。街に戻ったら植物図鑑貸してあげるから、それで勉強しよっか」
レティシアはトワの肩に手をおき、やさしく笑いかけた。
「――う、うん……」
「そうだ! せっかくトワがとってきてくれたことだし、さっそく食べましょうか! 調理するからちょっと待っててね!」
シュンとするトワに、レティシアが
「わー、いい香りー、レティシアさん、まだ? まだー?」
トワが
彼女の先ほどの落ち込みようは、レティシアのフォローにより無事解消されたらしい。あれからレティシアが慣れた手つきで焚き火を用意し、調理してくれているという。
「ちょっと待ってね。うん! そろそろいいかも! はい、キノコと干し肉の串焼き! 熱いうちに食べて!」
レティシアがいい出来だと満足げにうなずき、シンヤたちへ勧めてくれる。
料理はトワが取ったキノコと持ってきていた干し肉を使った、串焼きだ。
「わぁー、おいしーい!」
「おぉ、うまいな。レティシアもサクリみたいに、料理できるんだな」
キノコの串焼きをトワと
味は素材を生かした見事な一品。さらに自然いっぱいの中で食べることもあり、よりおいしさを感じられる。これならいくらでも腹に入りそうだ。
「ありがと。でもこれなんて素材を串に刺して、調味料かけて焼いただけよ。だれだってできるサバイバル料理だし、そこまで
「いやいや、作ってるときの手際、すごくよかったぞ。味つけも絶妙だし、
「そ、そう? ふふっ、ありがと!」
レティシアがテレくさそうにほおを
「それに焚き火とかもさくっと作ってさ。見ていてすごく勉強になったよ。やっぱ冒険するなら、こういうサバイバル技術は会得しとくべきだよな」
「確かに覚えといて損はないよ。冒険がすごく快適になるし、なによりいろいろやれて楽しいひとときを過ごせる。冒険者の中にはそういった自然の中を
「ちなみにレティシアは?」
「ふふっ、わりとそっち系かも! だからアタシと冒険するときは、外でしか味わえないステキな体験をいっぱいさせてあげる!」
レティシアが手を差し出し、得意げにウィンクを。
「わぁー! すごく興味あるー!」
「ははは、オレたちのパーティに、ぜひとも入ってほしい人材だ」
楽しい冒険ができると、トワと一緒に目を輝かせる。
「ふふっ、なんだか乗り気で、うれしい限りね! うーん、もし時間に
「おぉ、魚釣りとは定番だな」
「一回、やってみたかったやつだー!」
「自分たちで釣った魚を、新鮮なうちに食べるのは格別よ! ちなみに釣りはアタシの得意分野の一つだから、レクチャーは任せといてね!」
レティシアがガッツポーズして、頼もしい宣言を。
「そのときはリアちゃんも参加させてあげないとだね!」
「そうだな。きっと喜ぶと思う」
「リアちゃん?」
「うん、実はわたしたちのパーティにリアちゃんっていう、10歳の女の子がいるんだ」
「今はちょっと別件で離れてるんだが、教会の方が落ち着いたらこっちにも顔を出せるようになるはずだ。たぶん協力者として、手伝ってもらう形になるだろうな」
「あっ、シンヤたちが
「ちょっと立場的な問題で、正式な冒険者にはなれなさそうなんだよな」
リア自身は乗り気だったのだが、教会側に止められてしまったという。
「リアちゃんはすごいんだよ! なんたってあの封印の巫女なんだから!」
「封印の巫女って、邪神の
リアの素性を知り、
「リアちゃんはあかるくて、とってもいい子なんだ! しかもかわいくてかわいくてたまらない、ステキな女の子なの! レティシアさんにも早く会わせてあげたいなー」
「あのときちらっとみたけど、確かにすごくかわいらしい子だった! あんな子をぎゅーと抱きしめて
トワの熱弁を聞いて、レティシアがなにやら
「おいおい、もしかしてレティシアもそっち系の……」
「はっ!? どういうの想像してるか知らないけど、アタシはいたって健全なやつだから! 女の子どうしのスキンシップよ、スキンシップ! ね、トワ」
レティシアは必死に抗議を。それからトワを後ろからぎゅーと抱きしめた。
「――そ、そうだね」
これにはテレくさそうにうなずくトワ。
「ふふっ、会うのがすごく楽しみになってきた! よーし、その子もふくめ、みんなを楽しませるプランをいっぱい考えておかないとね!」
そして
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