第57話 シンヤVSミリー
「へー、あのゼノくんとやり合うなんて。見るからに頼りなさそうだったのに、あの子やるじゃん!」
トワとゼノの戦いを見ていたミリーは、感心した様子。
「普段はダメダメだけど、やるときはやる子なんだぜ」
「きゃはは、じゃあ、そんなトワと一緒にいるシンヤくんも、それはそれは強いんだよね?」
「ははは、試してみたらいいさ」
期待のまなざしを向けてくるミリーに、リボルバーをくるくる回しながら不敵に笑ってみせる。
「ヒュー、かっこいいー! 向こうも盛り上がってきたみたいだし、こっちもやり合おうか! ミリーの華麗な動きに
ミリーは小悪魔っぽくウィンクを。そしてくるりとフリフリのスカートをふわりとなびかせながら、一回転。再びシンヤに向き直った瞬間、彼女の方から
「はっ!?」
その瞬間、エクストラスキル予知により手に入れた力。スキルホークアイで閃光がシンヤの胸板に吸い込まれていく軌道が見えたという。なのですぐさまリボルバーの照準を閃光の軌道に合わせ、引き金を引く。
するとキィーンと鋭い金属音が鳴り響き、弾丸が襲い掛かる閃光をはじき飛ばした。
(あれは氷のナイフ?)
はじきとばされ地面に刺さったものをみると、それはナイフ。しかも驚くのはそれが氷でできていたということ。どうやら魔法で氷のナイフを生成し、投てきしてきたらしい。ちなみに氷のナイフの刃先は丸まっており、親切に非殺傷用にしてくれているみたいであった。
「ちょっ!? 完璧な不意打ちだったのに!? かわしたんじゃなく、ナイフそのものを撃ち落とすなんて!? しかも
ミリーは口を押さえ
彼女が驚くのも無理はない。不意打ちに対し、ほとんど動じずに対処したのだから。それもこれもホークアイで攻撃を事前に察知できたおかげ。事前に軌道や攻撃範囲がわかっていたため、冷静に動けたのだ。
もし転生したばかりの被害察知能力の場合、ダメージを受けた予感から逆算し、回避行動するだけで精一杯だった。しかし今だとどんな攻撃なのか事前に見極められるため、対処の幅が格段に広がったといっていい。しかもそれを冷静に余裕を持ってやれるのだから、次の行動にも生かせた。
(ははは、ホークアイ様様だ。それにこの心象武器のリボルバー。自分の手足のように馴染み、狙ったところに当たってくれるのも大きいな)
スキル心象武器は人の想いを、武器にして召喚する。しかもその武器は使用者と相性がよく、手にとてもなじんでさまざまな特性や能力を持つことも。そんなシンヤのリボルバー。なんとシンヤの思った通りに
「新人のくせになまいきー! これならどうだ!」
ミリーは氷のナイフを右手に三本、さらに左手にも三本生成し、一斉投てき。合計六本の氷のナイフが、シンヤ目掛けて
「そこだ!」
常人ならばどれをどう対処すればいいか、混乱するだろう。しかしシンヤは彼女の攻撃の軌道と範囲を事前に把握(はあく)できるスキルホークアイがある。なのでさっきどうように冷静に照準を合わせ引き金を引いていった。目にもとまらぬクイックドローで四本を撃ち落とし、残り二本を少し身体をそらし紙一重に回避。ほおをかすめる程度の被害で押さえ切った。
「今度はこっちの番だぜ!」
ナイフをやり過ごした瞬間、ミリーに向かって銃撃を。
「ッ!?」
だが彼女は
投てきの技量。さらに回避の動きからみるに、ミリーも相当の
「――うそでしょ……。今のをあんな見事に……」
ミリーはシンヤへ
「なんなのあなたたち……、ただものじゃなさすぎ……」
「ははは、まあ、こっちもいろいろわけありでな」
弾丸をリロードしながら
本当はここで勇者とその補佐役とかっこよく宣言したい場面だが、身分のほうはしばらくだまっておくことになったので自重しておいた。
「まったくー、一般的な新人の力量を超えすぎだって。相手させられる先輩の気持ちになってほしいよー」
とほほと肩をすくめるミリー。
「まあ、ミリーたちのときも人のことはいえなかったけどさー」
それから彼女はぼそりとつぶやく。
「ということで先輩に
「ははは、こっちとしては勝って、
かわいらしくお願いしてくるミリーに、不敵に返す。
「わー、なまいきー。そんな新人くんには、おしおきしないとだね! はっ!」
ミリーは流れるような一連の動さで、氷のナイフを一本投てき。精度抜群のキレのある一撃だ。
だがホークアイで攻撃が見切れるシンヤには、あまり効果がない。直線で
「なっ!?」
だがここで異変に気づく。
なんとさっきの場所にミリーの姿がいなかったのだ。そう、彼女はなんと投てき後、シンヤに向かって身をかがめ猛ダッシュしていたという。ナイフを撃ち落とすことに集中しすぎて、気づくのが少し遅れてしまっていた。
「この!」
慌てて彼女に発砲するが、紙一重にかわされまたたく間に間合いを詰められてしまう。
「ふっふーん♪ これならどうだ!」
ミリーは氷のナイフによる、
キレがある見事な一撃。しかしその軌道を読み、シンヤは取り出したナイフで受け流す。
結果、すれ違う形に。それからシンヤへ振り向こうとするミリーに、銃口を突きつけ引き金を引いた。
「きゃはは!」
しかしこれもまた機敏な回避でかわされてしまう。
「ここまで接近したら、もう銃は使えないよね!」
そして彼女は距離を詰め、氷のナイフによる斬撃を。しかもそれは一撃、二撃でとどまらない。距離をとらせず食いつきながら、連撃を放ち続ける。その動きはまるで踊っているかのよう。優雅でかろやかな身のこなしからの、鋭いナイフさばき。さらにときには蹴りや
(この子、強い!? おそらくゼノ以上。レティシアクラスかもしれない!?)
ミリーの攻撃をしのぎながら、
彼女は非常に戦い慣れているといっていい。おそらく相当の場数を踏んでおり、修羅場をくぐってきたであろうことがわかる。一番警戒すべきはゼノだと思っていたが、彼女こそもっとも危険な相手だったみたいだ。
「もう、シンヤくんしぶとすぎー! なんでやらせてくれないのー!」
攻撃しながらもほおを
というのも押されまくってはいるが、ホークアイによりなんとかさばけているのだ。いくら手数が多くても、どんな攻撃か事前にわかっていれば手の打ちようはある。おかげで今だ倒されず、ミリーとやり合えていた。
「あー、もう! こうなったら!」
ミリーが攻撃しながらも、なぜか氷のナイフをシンヤとは別の方向へ投てきした。
「どこに投げて……、はっ!? トワ!?」
「え?」
慌ててゼノと戦っているトワの方へ視線を移すと、氷のナイフが彼女の足元近くに突き刺さった。
「凍っちゃえ!」
ミリーが指をパチンと鳴らした瞬間、氷のナイフが破裂。そしてなんと周辺を凍らせたのだ。
「あ、足が!?」
しかもその凍結に、トワの足が巻き込まれてしまう形に。
「ゼノくん、二人でシンヤくんをやっちゃうよ!」
「もう少しトワさんと剣を
なんとミリーのオーダーを聞き、ゼノはすぐさまシンヤの方へと突撃してくる。
対してトワは追いかけようとするが、氷が張り付いた足のせいですぐに動くことができなかった。
「キャハ、二人同時攻撃。これを
「シンヤ、わるいな」
ゼノに続き、ミリーも突撃を。二人はコンビを組んでるだけあって、息はピッタシ。見事なコンビネーションで、同時攻撃を仕掛けてきた。
「二人がかりとか
これには悪態をつくしかない。
ホークアイによって、二人の斬撃の軌道がシンヤをとらえているのがわかる。このままだと見切ったとおり直撃はま
(負ける!?)
もうお手上げだと、目をつぶった瞬間。
「はっ!? ゼノくん、
「しまった!?」
シンヤの目の前を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます