第13話 ロリコン疑惑?
シンヤが逃げ込んだ部屋は、どうやら物置きらしい。中はずらりと
「さていったんはなんとかなったが……、これからどうしよう……」
「もごもご」
現在、シンヤは連れ込んだ少女が助けを呼ばないように、彼女の口元を押さえている状態。
外では異変に駆け付けた兵士の声が聞こえてくる。この様子だとしばらく立ち去ってはくれなさそうだ。
「てかこれ余計にマズイ展開になってないか? とっさのこととはいえ、なに
自身のとっさの行動に、深いため息をつく。
もしここで少女を説得できなければ、この拉致っている状況の罪が乗っかってくるのだ。そうなると向こうのシンヤに対する印象は最悪に。この件だけで
「えっと、オレは怪しいものじゃないから、とりあえずおとなしくしてもらえないかな……」
なにはともあれ少女に無実を主張し、説得する必要が。そのためできるだけやさしく話かけながら、彼女の口をふさいでいた手を放す。
相手は十歳ぐらいの修道服を着た少女。
「うぅ、リアになにをするつもりですか?」
するとリアと名乗る少女が瞳をうるうるさせ、さぞ不安そうな表情で問うてきた。もはや完全にシンヤを、危険な不審者とみなしている様子。警戒しかしていなかった。
「まさか封印を解けと……、っ!? いくら脅されようとも、痛い目にあわされてもリアは
涙目をきゅっと閉じ、必死にうったえるリア。
「待て、きみは勘違いをしてる! オレはそういうヤバい連中とは無関係で!」
「じゃあ、なんでこんな場所に連れ込んで……、はっ!? もしかして!?」
彼女はなにかに気づき、とっさに胸元を隠す。
「リアにいかがわしいことをする気なんですか……? そんなリアはまだ十才で、発育とかも全然……、それなのに手をだそうだなんて……、このヘンタイ!」
そしてリアは冷ややかな視線を向け
これには自身の名誉のためにも、さすがに訂正せざるをえなかった。
「いやいや!? それも違うから!? さすがにキミみたいな子供に手を出すわけ」
「でも世の中には小さい女の子が好きな、ロリコンっていう人がいるって……」
「まあ、確かに。実際このシチュエーションを目の前にしてると、なにかに目覚めそうになってくるというか」
目の前には涙目になりながら、震えている少女。この見るからにいたいけな少女に、なにかいけないことをしているようなシチュエーション。正直に言うと、すこしぐっとくるものが少なからずあったという。
「ひっ、やっぱり!?」
思わず出た本音に、リアは逃げるように後方へ飛び引いた。
「はっ!?」
そこでシンヤにとある予感が湧き上がってくる。
それはリアが勢いあまって後ろの
「今のは? まさか!」
シンヤはすぐさま後ろに飛び引いたリアへと駆け寄る。
おそらく今見た光景は、シンヤのエクストラスキルである予知の力によるもの。となるとこれから起こる出来事の可能性が高い。それに気づいたころには、すでに身体が動いていた。
「きゃっ!?」
すると予感した通り、リアが後方の棚にぶつかる。
そして中に入っていた物が、彼女に降りそそぎ。
「――イタタ……」
次の瞬間、シンヤの身体に次々と衝撃が襲いかかった。というのもとっさにシンヤが彼女を抱きしめる形でかばったのだ。
これができたのもシンヤの予知の力で事前にわかっていたから。もしその光景を見ていなければ、反応できず彼女にケガをさせていたに違いない。
「え? え? ――もしかしてリアをかばってくれたんですか?」
リアはなにが起こったのかわからず、混乱している様子。だが落ちてきた物や、痛がるシンヤを見てすぐに察してくれたみたいだ。
もしここで急に抱き着かれたことに対して叫ばれでもしたら、部屋の外にいる兵士たちに気づかれ、最悪変質者として
「まあ、そんなところだ。それよりケガはないかい?」
「――は、はい、おかげさまで……」
いつまでも抱きしめているわけにもいかないので、リアから離れる。
ちなみに彼女はというと、ほおを赤くしながら
「それはよかった」
「はっ、お兄さんこそケガはないんですか!?」
どこかうっとりしていそうなリアであったが、我に返りシンヤの身を案じてくれる。
「ははは、大丈夫、大丈夫。これぐらいキミを助けられたのなら、安いものさ」
リアの頭をやさしくなでながら、笑いかける。
実際のところ大したケガはなく、軽い打ち身程度の被害。全然問題はなかった。
「えっと、お兄さんはいい人みたいですね。すみません、なんかとっさのことすぎて、とり乱してしまってたみたいで」
すると手をもじもしさせながら、気持ちよさそうに目を細めるリア。
「いや、わるいのは、説明もせず連れ込んでしまったオレだから。とりあえずオレは怪しいものじゃない。ここだけの話、実はオレ勇者さまの
どうやら少し警戒が解けたみたいなので、ここで一気に説得へ。純粋な子供なら信じてくれそうなので、勇者の補佐役の件も包み隠さず話してみることに。
「勇者?」
「世界の危機に、女神さまから使わされた正真正銘の勇者だ。なんと闇を払う特別な力を与えられてるんだぜ」
「そんな方が本当に?」
「ああ、マジの話だ。今起きてる封印の騒動も、きっと彼女がなんとかしてくれるはず。勇者の名はだてじゃないってな。だから不安がらなくてもいいぞ。大船に乗った気でいればいいさ」
勇者のことを得意げに話しながら、リアの頭を再びやさしくなでた。
「――世界を救ってくれる勇者さま……」
それに対しリアは祈るように手を組み、ぱぁぁっと目を輝かせていた。
「先ほどは失礼しました。お兄さんもすごい人だったんですね」
そしてリアはぺこりと頭を下げ、
どうやらシンヤの作戦はうまくいったみたいだ。おかげで彼女をこちら側に引入れることに成功する。
「ははは、まあ、オレがすごいかは置いとくとして。さっきあそこにいたのは、怪しい女を追ってたからなんだ。オレがついたときには、あの兵士が倒されててさ」
「そうだったんですね。ではその怪しい女の人は?」
「それが逃げられてしまってさ。しかもあの女、なにかヤバげなことを
リアの両肩に手を置き、視線を合わせる。
「どうかキミの力を貸してほしい。今勇者さまは少しピンチに
そして少し
「リアが勇者さまの助けに?」
「そうだ。キミにしか頼めないことなんだ! もし協力してくれるなら、キミも今日からオレたちの仲間だ!」
「リアが勇者さまの仲間に! なんて光栄なことでしょう! わかりました!
するとリアは胸元近くで両手をぐっとにぎり、はしゃぎぎみに宣言を。
これで目撃者と
「それでその勇者さまは今どこにいるんですか? さっそくごあいさつを!」
「――えっと……、実は今、ここの牢屋につかまっててさ……」
期待に胸を膨らませる彼女に、申しわけない感じで伝える。
「え? もしかして今朝、封印の森で発見された女の人のことですか?」
きょとんとするリア。
唖然とするのも無理はない。勇者ほどの人物に対し、あまりに場違いな場所なのだから。
「ああ、その子が一応、勇者なんだよな」
「まさかこちらの手違いで勇者さまが!? あぁ、なんて無礼なことを……。早く出して差し上げないと! 待っててください! 今すぐ上に掛け合って!」
リアはあわてて部屋から出て行こうとする。バッと扉をあけて、通路内へと。
「ちょっと、リア!? まずは作戦をだな」
そんな彼女を急いで追うことに。
いくら説得したところで彼女は子供。そう簡単に信じてもらえるとは思えない。なので掛け合うよりも、リアには別のアプローチをしてほしかった。
「リア少し落ち着いてくれ」
通路に出てすぐ、立ち止まっていた彼女の肩に手を置き呼び止める。
だがここで問題が。
「――あ……」
リアをつかまえたのはいいが、目の前には兵士や教会の人たちが集まっていたのだ。しかも急に現れたシンヤをバッチリ目撃していたという。
そして思い出す。シンヤは見つかったらダメだったゆえに、さっきの部屋へと逃げ込んだのだと。
「キミは一体……。少し話を聞かせてもらおうか」
兵士の一人がいぶかしげな視線を向け、近づいてくる。
今のシンヤには不法侵入した件、倒れた兵士の件。さらにはリアと一緒に部屋から出てきた件。もはや怪しさのオンパレードといった状態なのだ。
(あ、ヤバイ、これはおわったかも……)
「違います、この人は……」
なんとかかばってくれようとするリア。
だがいくらいい案が浮かんだとしても、子供の言い分。シンヤの身の潔白を完全に晴らすのは難しいだろう。しかも最悪、リアまで立場が危うくなるかもしれなかった。
「この人は……、り、リアの護衛です!」
そしてリアはシンヤの上着をギュッとつかみながら、ある主張を。
(ご、護衛!?)
それはさすがに無理があるのではと、首をひねるしかないシンヤなのであった。
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