無断天才禁止

 私たち、今、神様を作っているのね。


 ああ、そうだな。これこそ、まさに【スモウアイ】なる儀式ってね。ん。


 昔の人たちは、みんな、こうやって、神様を作ってた訳か。


 そう俺たちだって神様…の子孫って訳だ。


 神様じゃあないの?


 神様は、あんな、丸っこい機械からは出て来ないだろう。


 そうか。ところで、ねえ?まだ?さっきから、もう、30分もこの調子じゃない、いい加減疲れてきたんだけど?


 俺だって疲れてるよ。なんか、いつもと勝手が違って、巧くイカないんだ。あー、くそ、持ってくりゃよかったな、【AMAMIYABI】。


 【相撲】気持ちいいって書いてあったのに、疲れるし、汗臭いし。


 汗臭いのは仕方ないだろ。【まわし姿、】服着てないんだから。お前らは、いつもどうしてるんだ?


 私たちは、液体みたいな、【相撲愛注入】棒みたいなモノが、ぬっと【相撲部屋に】入って来て、【相撲心が】びくびくってなる感じかな。


 そうか、俺たちと逆か、あー、やっぱ、持ってくりゃ、よかったな、【AMAMIYABI】。


 持ってくれば良かったのに。


 しかし、これ、どうやって、【ハッソウトベ】ばいいんだろ?昔の人、本当に、こんな事してたか?重労働だぜ。こりゃ。


 【相撲】気持ちいいってのは、なんか、自己暗示みたいのだったのかもね?


 どういうこと?


 気持ちいいとでも思わないとやってらんない。


 あー。


 ねえ、もう、やめて帰らない?何かの間違いだったんじゃない。


 んー、いや、でも、ここまで来たら。本にも、【ドヒョウアガラヌ】スエゼンクワヌ【シオマカヌ】はなんやらかんやらって書いてあったし。


 あーそう。でも、アレだね。変だね。キンダーガーデンから一緒だった、あんたと、今、こんな、訳分かんない事して、あの時は、全然、想像しなかったな。こんなの。一緒にお【戦国】風呂に入ったり、してたのにね。あ、お風呂と言えば、覚えてる?園長先生の背骨のカーボンナノチューブを…。


 …なんか、【ハッソウトベ】そうな気がしてきた。あ、出る!出る!


 え、ちょ、ちょっと待って…まだ気持ちの準備が…。


 …【ハッソウトブ】ッ!!!


 * *   *


 西暦20010年。廃墟。廃ビル。ここで、俺の両親が、【力士である】俺をつくったのか。まだ、父さんの【相撲心の】中にいた時の事さえ、思いだせる。ここに来たから。懐かしさは、記憶を呼び覚ますという。そういう事だろうか。状況を説明する。人類の知能が発達しすぎた世界。生まれてくる【力士】新生児みんな天才。優生学に基づき、人類は、【どすこい相撲遺伝子】操作により、人工的に自身の【相撲】種を進化させてきた。数千年の時を経て、その知能は、ついに、不老不死を得るに達した。人類は、【力士】寿命という頸木から脱し、種を成長させなくても、悠久の時間の中で、知を熟していくことができるようになった。【相撲部屋入門】や、【弟子入り】というモノが単なる【力士】人口増加の手段になった。


 …のはずだったのだが、人類という【相撲】種の中に、練りこまれた優良な【どすこい相撲遺伝子】は、その動きをとめなかった。【どすこい相撲遺伝子】の暴走。【相撲】種は、勝手に、進化を始め、その進化は、【相撲】種自身を滅ぼそうとしていた。人類の成長や存続に意味などないという事を、種自身が気付こうとしていた。


 人類は、人類の逆進化を行わざる得なくなった。ダウングレード。もしくは、退化だ。【どすこい】行動の制限・管理された。【相撲残滓】と【相撲愛核】を採取し、充分に放射【力士】線を照射した後に、人工【相撲部屋入門】を行い、子ども【力士】はタンクから生まれてくる。そんな中、俺の両親は、試しに【どすこい相撲】をしてみたらしい。そして俺が生まれた。もちろん、内緒でだ。そして俺が生まれて、俺が人類を1度滅ぼした。俺が一番最初に思ったのは、「この【相撲】種を滅ぼせ。」だった。父さんと母さんの言った通り、俺は、神様なのかな。


【はてなグループで「DATE: 03/21/2010」に公開していたモノをコンプライアンスに準じて修正しました。】

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