恋人たちのMerry Christmas
ピコっぴ
プロローグ
ドスン と大きな、成人男性が一抱えするような大きな鉢に常緑針葉樹が植えられている物を、文字通り抱えて来て、王子王女達が集まるサロンの窓際に置くデュバルディオ。
「デュー兄さま、なあに? それ」
「まぁ、立派な
赤や金色の小さな球体に紐がついたものを手渡されながら、アルメルティアやフローリアナがデュバルディオに訊ねる。
近隣国の習慣に広く知識を持つシスティアーナには、ディオが何を始めたのか解ったようだ。
「そう。北の国には昔から毎年年末の25日に、聖人の生誕を祝うお祭りがあるんだよ。近年では、リングバルドでもやるらしくって、母と去年見た時に思ったんだ。うちの国でも流行らないかなって」
「聖人様のお誕生日をみんなで祝うの?」
「んー、チっチッチッ ちょっと違うんだな、生誕──尊いお方が
「お誕生日、誰も知らないの⋯⋯ 可哀想」
「大丈夫よリアナ。世界中の人が、今では宗教の違う国でも、みんなでお祝いしてあげるのだから、きっと、幸せだなぁって思ってるわ」
「ほんと!?」
「ええ」
「リアナもお祝いしてあげる!」
「樅の木に、飾り付けをして、みんなで祝ってるよって、天にいらっしゃる聖人さまに見えるように、いっぱいい~っぱいキレイにしような?」
「うん!!」
王子達は全員、公務はもちろんプライベートで城下に出た時でも、国民に声をかけられると笑顔で応えるし、外交も日常的で当然対人スキルは高いが、取り分け、ディオは四人の中でももっとも子供の扱いが上手かった。
「ディオは子供の相手もお上手で、いつも感心するのよ」
「きっと、いい父親にもなれるわね。
「ん? 何? やっと、僕が婿にも子供の父親にも最高だと気づいちゃった?」
ふざけたように軽く返すディオの綺羅綺羅しい笑顔に、システィアーナの胸がチクリとする。
「さあ、飾りつけが終わったら、ごちそうの仕込みを始めるよ」
「わーい、ごちそう? デュー兄さまが作るの?」
「勿論さ。下拵えはみんなでやるんだよ」
「楽しみー!!」
14歳のアルメルティアですら、8歳のフローリアナにつられて、初めてのワクワクに童心に返っていた。
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