第27話 またあの占いかよ?
チュンチュン チュンチュン……
ん? もう朝か……って、今何時だ!?
はぁ……まだ六時かよぉ……
前にもこんな事があった様な……
結局昨日は……いや、今日だな。
皆から来るメールの相手をしていて……それで、いつの間にか寝てしまったんだよな? 最後の方のメールなんて全然覚えて無いぞ……
グル~グゥ~グゥ……
あっ、そういえば昨日の夕飯食べてないぞ!!
確か机の上に置いたままだったよな?
冷えてるけど、腹減ったし食べてからリビングに行くとするか……
「母さん、おはよう」
「あら一矢、おはよう。今日は随分と早起きね? ちゃんと夕飯は食べたの? 昨日はあんた、とても疲れた顔をして眠っていたから起こさなかったんだけど……」
「疲れた顔かぁ……当たっているかもな……」
「えっ?」
「い、いや何でも無いよ。気を遣ってくれてありがとう。それでさっき昨日の夕飯食べたから、お腹一杯だし朝ご飯はいらないよ」
「そ、そうなの? アンタ最近、凄く疲れてる様に見えるんだけど大丈夫なの? 学園で何か大変な事とかあるじゃないの? お母さん、とっても心配だわ」
「あ、ありがとう……でも大丈夫だよ母さん、学園は基本的には楽しいから大丈夫さ」
「それなら良いんだけどねぇ……あ、でも、何かあればちゃんと言わないとダメよ?」
「ああ、分かってるって……」
『
あっ!!
まだこんなくだらない占いやってるのか!?
『蠍座のあなたは、今日も周りの人達に振り回され、家に帰っても疲れは全く取れず、夕飯も食べられずに朝を迎えるでしょう……』
「それ昨日の俺じゃねぇか!! っつうか今日も同じ事を繰り返すのかっ!? フザけんじゃねぇッ!!」
「ひっ、一矢どうしたの、急に大きな声なんか出して? あんた最近、お父さんに似てきたわねぇ……テレビに向かって突っ込むところなんか、もうお父さんソックリだわ」
「ご、ゴメン……俺、この占いを聞いたらメッチャ腹が立ってくるんだよ……」
「えーっ、そうなの? でもこの占い、結構当たるって評判なのよ」
「そ、そうなのか!? いや当たっているような……イヤイヤイヤッ俺は信じないけどな!! まぁ……す、少しだけは気にしてしまうけど……」
『次に
あっ!!
今度は美代部長の番だ!!
『射手座のあなたは、上司と後輩に挟まれて複雑な思いになり、いつしか複雑な感情が芽生えると同時に、好きでは無い人から告白され続け、更に複雑な気持ちになるでしょう!』
何回、複雑になればいいんだよ!!
それに占いってこんなに細かいもんなのか!?
しかし……
この占いをまたしても美代部長は観てるんじゃないだろうな?
なんか、めちゃくちゃ心配になってきたぞ。
ただ、今回は『死ぬでしょう』っていう占いは無かったから少しホッとしている自分がいる……クソッ、この俺が占いなんかに振り回されているみたいでなんか悔しいぜ……
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
はぁ……やはりこんな早い時間に学園に来たって誰もいないよなぁ……
みんなが来るまでかなり時間があるから、少し寝よっかな?
そういえば昨日、舞奈からは一度もメールが来なかったけど……一体どうしたんだろう?
ガラッ、ガラガラ……
んっ!?
誰だ?
「お、おはようございます……一矢君」
「えっ、美代部長!? こんな早くにどうされたんですか? それも一年のクラスになんかに?」
「ひ、一矢君にどうしても会いたくなりまして……慌てて来ちゃいました」
えーっ!?
俺に会いたいだなんて……美代部長、俺マジで勘違いしちゃいますよ!!
ってか、俺が早く学園に来ているってよくわかりましたよね?
「えっ、俺なんかに何か用なんですか?」
「じ、実は……今朝の星占いを観ていたら……」
あっちゃ―――っ!!
やっぱ美代部長、あの占い観てたのかー!!
「今朝の占いによると、私が死ぬ事は無いみたいなんですが、今日は何だか複雑な日になるみたいですので、とても不安で不安で……それで居ても経ってもいられずに、一矢君にこの事を相談をしたくて早く来ました。でも……私、一矢君よりも二歳も年上で、『ネガティ部』の部長でありながら、まだ一年生で新入部員の一矢君に相談するなんて……見るに堪えられない『ブス』で、『ノロマ』な私は部長失格ですよね……?」
ヤバイ、また始まったよ……
美代部長はこのネガティブ発言さえ無ければ、完璧な美人なんだけどなぁ……
「みっ、美代部長、分りましたからここは一旦落ち着いて下さい!! でも、俺なんかに相談されてもどうする事も出来ないんですけどねぇ……」
「い、いえ、そんな事は無いですよ。最近の私は、一矢君にお話を聞いてもらえるだけで心が落ち着くというか……夜のメールでも同じ事なんですが、本当に心が落ち着くんです。そして、とても楽しくて……あっ、でも一矢君には逆にしんどい思いをさせてるかもしれませんね? ほんと私は『ブス』で、『ノロマ』で、『クズ』で、『相手の気持ちが全く分からない』ダメダメな部長です……」
「だ、だから美代部長……最後のセリフはもう良いですから。誰も全メダメ部長じだなんて思っていませんし……俺は美代部長の事、凄い人だなぁ〜って思っていますよ。美人だし、優しいし、素早い?し、それにあれだけ個性豊かな部員達をまとめてくれているんですから!!」
「ひ、一矢君……ありがとうございます……グスン……私、とっても嬉しいです……グズン……」
「あぁ~美代部長、それくらいで泣かないで下さいよ~」
ガラッ、ガラガラ……
んっ?
次は誰だ?
「ひっ、一矢ぁぁあ――――――っ!!」
「だっ、誰かと思ったら舞奈かよ!? どうしたんだ、お前までこんな早い時間に?」
「どっ、どうして昨日はメールをしてくれなかったのよぉぉおおお!? わ、私……私……ずっと寝ずに待ってたのにーっ!! ひっ、一矢の、バカァ――――――ッ!!」
「えっ、えぇ―――――――――――――――――――――ッ!!!?」
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