第5話 世間を舐めすぎた若造 その4

「僕が君を殺しても、何もメリットは無いからな…」


「じゃあ、何で、あんたは俺にこんな事をするのだ!!」


「……どうしてだろうね?」


「君の関節を大ハンマーで破壊したくなった!」

「粉々にして上げる❤」


「!!!」


 僕は、映画のタイトルを言う様に少し陽気な声で言うと、男の顔は引きつっていた。

 最高だよ。伊藤君!! その絶望した表情!!


 族時代のお仕置きなら、この辺で済ませているが、今は『お仕置き屋』と言う仕事でおこなっているから、言われた通りにやらなければ成らない。

 そうしないと、対価が支払わないからな。


「あと3回我慢すれば、解放して上げるから、我慢してね♪」

「伊藤君!」


 僕は子供の様な、陽気な声で言う。


「さっ、3回とは、どう言う意味だよ!?」


「君の体を見てごらん!」

「自ずと分かるでしょ!!」


「…!!!」


 男は直ぐに理解出来たようだ。

 やっぱり、若いだけ有るな!!


「まっ、マジで勘弁してくれよ(汗)」

「こんな事をされたら、俺生活出来ないよ(汗)」


 僕は此処で、普段の低音口調に戻す。


「……君は、お母さんと一緒に住んでいるから大丈夫でしょ!」

「お母さんが君の面倒見てくれる筈だよ……きっと…」


「ひぃーーー」


 僕は言葉の後、直ぐに左膝に向けて大ハンマーを振り下ろす!


『グッシャーー』


「うぐあぁぁぁーーーーー」

「もう、本当に勘弁してくれーー」


(これで、両肩・両膝を破壊したが……寝返りさせるのも面倒くさいし、反省の色も全く無いからこのままやるか…)

(下がコンクリートだから多分行けるだろう。最後にきちんと確認はするし…)


 僕は膝から肘の方へ移動を始めると……


「おっ、お前って、もしかして、隣の奴に頼まれた奴か!!」

「そっ、そうじゃなければ、俺が母親の所に居るのを知らないからな!!」


「クソやろーー、中年チー牛の癖に、ぶっ殺してやる!!」

「俺に楯突いた事後悔させてやる!!」


「……」


『バキッ!』


 僕は左手で、男の顔面を無言で殴る!


「ぐぁっ!」


「ぎゃー、ぎゃー、五月蠅いんだよ!」

「黙らないと、もう一発行くぞ!!」


「ひっ……」


「……僕は君の事何も知らないが、君は僕に目を付けられて不運だね」


「嘘だ!」

「俺の名前と親と住んでいる事を知って居るではないか!!」


「あれ?」

「そうだね…。不思議だね!!」

「何もしていない君が……行き成り僕に、痛めつけられるからね…」


 言葉の後、僕は大ハンマーを振り上げると……


「ごっ、ごめんなさい!!」

「隣の人の車に傷つけた事は謝りますので、許してください。弁償もします!!」

「生活音もこれからは気を付けますので、本当にこれで勘弁してください」


(やっと……罪を認めたか)

(だが、これは仕事だから、きっちりと納めなければ成らない…)


「……何を言っているのか良く分からないよ。伊藤君?」

「君は運悪く、僕に目を付けられただけ。只それだけだよ…」


「ほっ、本当に止めてくれ!」

「これ以上されたら、真面まともな生活が出来なくなる!!」


「……そんなの、僕の知った事ではないよ……」

「これからは、世の中舐めちゃ駄目だよ…伊藤君❤」


「うぁぁーーー」


 ……

 …

 ・


 僕は依頼者通り、相手(伊藤)の肩・肘・膝を破壊して、これはサービスで鼻もへし折って上げておいた。

 世間を舐めていた、伊藤天狗の鼻は短くなりました!

 めでたし、めでたし。


 その後、僕は伊藤を強引に眠らせて、アパート近くの場所に、放り捨てるように伊藤を置いていく。

 この時期だから凍死する事はないし、熊等の野生動物が居る地域ではないから多分大丈夫だろう。


 僕は車から伊藤を投げ捨て、しばらく車を走らせ、見付けた退避場に車を停め、徳丸さんに電話連絡を入れる。


「はい……」


「山本です!」

「お仕置き完了です!!」


「……そうか、ご苦労」

「報酬は後日、持って行く……また、頼むな」


「分かりました。兄貴!」


 ……


 後日……


 これは、徳丸さんから聞いた話だがその後、伊藤は近所の人に見付けられ、救急搬送されたそうだ。

 その時に警察が来て、色々と事情聴取して言ったそうだが、僕もその辺は抜かりないので、僕までの所に警察の手が来る事はない。


 警察は暴行・拉致監禁の線で捜査しているそうだが、所轄警察署長に徳丸さんが、何時も通り鼻薬をきかせたそうだ。

 地位の有る人間ならまだしも、ニートまがいの男のために、これ以上警察が動く事はないだろう。


 結局、依頼者に対して隣人は、謝罪の言葉や修理代の支払いも無く、無言で引っ越して行ったそうだ。

 僕がお仕置きをして以来、依頼者は男(伊藤)と会う事無く、この町を去っていたそうだ。

 あれだけの事をしたから、男は身体上謝罪には来れないとは思うが、母親が何もしないとは……彼奴が全て話していると思うのだが?


(母親が駄目だとやはり子供ガキも駄目に成るんだな……)


 まぁ、僕も人の事は言えないが!


 さて、臨時収入も入ったし、偶には昔の仲間を呼んで、夜の街に繰り出すか!

 罪悪感がない訳ではないが……やはり人の道を踏み外す人間を僕は許せない!!

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